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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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謎を秘めた涼子さん

 朝、目覚める時、午前三時を示していた。新聞配達の仕事に出かける時間だ。今日は光さんはいないので、僕がみんなの朝ご飯を作ることになった。朝ご飯はベーコンエッグにトーストにした。


 トーストにベーコンエッグを乗せて食べるのが乙だと僕は思って僕達は食して新聞配達の仕事に出かけて行った。もう四月なので暖かい兆しに僕の心は熱くなっていた。みんなの瞳にも燃えるような瞳をしていた。


 配達所に到着して今日は僕と斎藤さんともう一方は奈々子さんと涼子さんが組むことになった。


「斎藤さん。今日も頑張りましょう」


「ええ、頑張りましょう」


 僕と斎藤さんは語り合いながら、新聞配達の仕事をした。


「斎藤さんは涼子さんの涙をあの日以来見たことがないんだよね。両国高校に行けなくなってしまったこと以外」


「それ前にも話したことだよね。私が知っている涼子ちゃんはいつも元気で一緒にいるだけで相手の人も楽しくしてしまうような人だよ」


 そうだった。涼子さんの悲しみを知る人は長く付き合っている斎藤さんでさえ知らないんだった。もしかしたら本当に涼子さんは悲しみを抱えて生きているわけじゃないんじゃないかと思った。


「でも涼子さん。落ち込んだときとかはないかな?」


「落ち込む時はあるけれど、それでもまた元気に私達に笑顔を振りまいていたわね」


 本当に涼子さんは悲しみを抱いていないのか?だって涼子さんは公衆便所に産み捨てられたと悲惨な事があったのに。それでも悲しみをいっさい見せてくれないなんて。普通だったらそんな悲惨な事があったら、自分の運命を呪っていた。


 本当に涼子さんは悲しみをいっさい見せない。見せないんじゃなくて、本当に悲しみを抱えていないんじゃないか?僕は涼子さんの悲しみに触れたことがない。実を言うと僕は涼子さんには悲しみがあるんじゃないかと思っている。


 それは心の奥底に密かに隠しているのかもしれない。でも涼子さんはそれをいっさい見せたりはしない。本当にそうだったら、相当気丈な人だと僕は思う。だったら僕も涼子さんには僕自身の悲しみをいっさい見せない方が良いかもしれない。でも涼子さんには安井にいじめられたときに僕の悲しみを知っている。だったら何か悔しいな。僕は涼子さんと付き合っている。でも付き合っているのにも関わらずに涼子さんの悲しみを見たことがない。


 新聞配達の仕事は今日も僕と斎藤さんの負けになってしまった。実を言うと僕は勝ち負けなんてどうでも良いと思っている。僕は涼子さんを始め、三人の事もよく知っておきたいと思っている。


「アツジ、何か最近あんたと新聞配達の仕事をしているときに私語を話しているでしょ」


 奈々子さんに看破され「うん。そうだけれども」


「アツジの事だからどうせ、あたし達の事を知りたいと思っているんでしょ。特に涼子のことを」


「何でそんな事まで知っているの?」


「まあ、それは・・・」


「それは?」


 そこで涼子さんが「以前、あっ君と付き合っていたから、奈々子には分かるみたいだよ」満面笑顔で僕にそう言った。


「何よ涼子、あたしに喧嘩を売っているの!?」


「どうしてあなたはそう解釈するかな?別に喧嘩なんて売ってないわよ」


 やれやれと言った感じだが、僕は奈々子さんの事を知っているため、これは奈々子さんが怒り出すんじゃないかと思って見ていると、案の定怒りだして、涼子さんに突っかかろうとしたところ、僕は奈々子さんを羽交い締めにして、止めた。


「離しなさいよ、アツジ、この女に目にものを見せてやるんだから」


「まあまあ」


 となだめると、本当に奈々子さんは怒りっぽい性格だ。でも怒っている奈々子さんを見て僕はホッとしているんだ。奈々子さんは本当に嫌いな相手だと、笑顔を取り繕って接するからきっと、奈々子さんも涼子さんの事が気に入っているのかもしれない。


 まあとにかく涼子さんの悲しみはとりあえず置いといて、僕達は通信制の高校に通っているため平日は自由に勉強する予定だ。とりあえず勉学の方はレポートをこなすことにした。レポートの内容は凄く簡単ですらすらと勉強が進む。一時間が経って勉強のレポートの問題もこれぐらいにして、絵の勉強に移った。


 絵の勉強はとにかく絵を描き続けることと書かれてあり、僕達は絵の勉強をタブレットを使って描きまくった。どちらかと言うと僕達はアニメチックに絵を描き、それでそれをコピーしてレポートに貼り付けて提出することになった。提出するのは手紙形式で済んだレポートを学校に送った。


 そしてお昼になり僕達は適当にご飯や肉が余っていたためにチャーハンを作ることにした。

 お昼ご飯も食べ終えて僕達はバンドの練習をするために図書館に向かった。図書館に到着すると光さんは一生懸命に働いていた。そんな光さんに一言挨拶をしてスタジオを借りることになった。スタジオに入ると早速涼子さんがドラムに座り、僕はベースを取り、斎藤さんと奈々子さんはエレキギターを取った。


 この時間が最高なんだよな、僕達は学校に行かなくても良いからバンドの練習をたっぷりと出来るそれに夢である小説家の勉強も出来るし。みんなと切磋琢磨をしていって、バンドはそれぞれ音を合わせるところまで行くことが出来た。


 以前やった曲はXJapanの紅とか、その中で僕達の中のオリジナルの曲があったりしていた。オリジナルの曲は出来るがX JAPANの紅は少々ブランクがあるために出来なかった。あの曲はスピーディーだけど簡単なんだよな。だからそれぞれバンドの練習をしてX JAPANの紅をやることになった。


 それぞれ練習して、ベースはドラムに合わせなければならない。ギターも同じように。そしてそれぞれの練習が終わって最終段階に入ってX JAPANの紅を演奏することになった。凄い僕達は凄いサウンドの中で演奏している。みんなの情熱のおかげで僕達は演奏することが出来る。


 やっぱりバンドは最高だ。それにオリジナルの曲をやろうとしたが、楽しい時間はあっという間に過ぎて終わってしまった。それにそろそろ新聞配達の仕事に出かける事になった。


 僕達が演奏して後片付けをしようとしたところ、光さんが現れて、「やあ、まだ時間はあるでしょ。だからあたしにも曲を聴かせてくれないかな?」と言われて僕達は光さんの前でオリジナルの曲を演奏した。


 楽器を弾いているときの僕達は何かシンクロしているようで気持ちよかった。


 演奏が終わり、光さんが僕達に拍手を送ってくれた。


「良いよ良いよあなた達、本当に良い演奏をするわね。今度コンクールに出るのはどうかな」


 そう言えば以前もそういう話が出てきたが体調を悪くして断念することになってしまったんだっけ。どうしようかとみんなで相談して即座に答えが出た。


「じゃあ、僕達はコンクールに出ることにするよ」


「そう来なくっちゃ!」


 と光さんは指を鳴らして、やることになってしまった。でも僕達はそれで燃えたんだよな。本当に僕達が力を合わせればその熱を放出して、みんな燃え上がるようになっていた。


 コンクール出場を決めて、僕達は燃えたわけだよ。通信制の高校だから、やることさえやれば後は自由時間だし、新聞配達の仕事も慣れてきて、今は朝夕それぞれ二時間で終える事が出来る。


「じゃあ、みんな、コンクールに向けて、頑張ろうよ。そして最高のパフォーマンスをしてやろうよ」


 そう言うと僕達は凄く燃えたんだよな。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  ベーコンエッグをトーストにのせるのは美味しそう。ラピュタパンの豪華版ですね。  本当に好きな人には笑顔ではなく怒り顔で対応する。菜々子さんのことをよく知っているのはやはりアツジくんです。…
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