いよいよ始まる高校生活
バンドをしている僕達は凄く気分が高揚していた。そう言えば涼子さん暇さえあれば布団や座布団をドラム代わりにして練習していたっけ。涼子さんは満を持して練習に取りかかっていたのだ。僕も奈々子さんも斎藤さんも暇さえあれば涼子さんと同じように練習していたっけ。
そう言えばバンドをするのは数ヶ月ぶりだ。それなのに僕達は少しの衰えはあったものの出来るようになっていた。僕はベースで僕達が作った曲を奏でるとみんな一丸となって僕達が作った曲を奏で始めた。それにキーボードの光さんとボーカルの桃子も参加して、二人もブランクを感じさせないほどの腕前だった。
受験で出来なくなっていたが、以前から出来るならバンドを組みたいと思っていたんだ。もし僕達が両国高校に行っていたら出来なかった事かもしれない。僕達もしかしたらバンドでデビューして、プロを目指すのも良いかもしれない。
僕達は安井達の陰謀によってバンドを組むことが出来た。だからこれで良かったのかもしれない。
僕達は通信制の絵の美術学校が始まるまで絵や小説に時たま勉強にそれにバンドをやりながら、そして通信制の絵の学校の始業式が始まった。始業式は廃校になった学校を使うことになっている。生徒数はおよそ同学年で百人くらいしかいなかった。中にはダウン症など知的障害者の人もいた。始業式が終わり、勉強は凄く薄い教科書を渡された。その教科書の内容を見てみると中学校のおさらいのような内容だった。
何か教科書を見てこれなら楽勝で勉学に励むことが出来るかもしれない。いやここは通信制の美術学校だ入ろうと思えば誰でも入れる場所だ。授業は平日月曜から金曜まで自主勉強となっていて週末の土日に授業が開催される。まあ、僕達四人の熱をあやかれば必ず出来ると信じている。
始業式と、クラス替えがあったが、僕達四人は同じクラスであった。それに席に着いてみると、それぞれレポートが用意されていた。中身を見てみるとさっきの教科書も同じだったが中学レベルの問題ばかりであった。でも美術に関するレポートはぎっしり詰まっていてさすがは美術学校の高校だと思った。勉強よりも美術を学ぶ学校だからな。
とりあえず始業式が終わり、先生の話を聞くことになった。
「ここは美術を習う学校だ。この一年よろしく。そして絶対にお前らを絵で食っていけるようにしてやるからな!」
と先生は豪語する。
絵で食っていけるならそれなら大いに結構だ。どうやら僕達は良い通信制の学校に入れて良かったと思っている。
とりあえず今日の所は終わって、帰りが大変だった。うすぺらい教科書と美術に関する教科書は分厚く、それを持ち帰るのに僕達はそれで疲労困憊しそうだった。
僕達はいつもの四人で帰って、丁度その時間は新聞配達の仕事の時間だった。僕達は新聞配達所に向かって、新聞配達の仕事に出かけていった。
今日は僕と奈々子さんが組むことになり、もう一方は涼子さんと斎藤さんが組むことになっていた。
早速新聞配達の仕事が始まる。
「アツジ、通信制の絵の学校はどう思う?」
「どう思うってもう気合い入れてやるしかないだろう。それに先生も僕達を絵で食べていけるようにしてやるって豪語していたし」
「絵で食べていけるか。あたし達は小説家兼絵師の夢を見て頑張っていくんでしょ」
「それもそうだけど、絵で食べていけるほど世の中甘くないよ。でも先生の目は本気の目だった」
「そう言えばあの先生なんて言う先生だっけ?」
「高岡先生って言っていたけれど」
「あの高岡って言う先生も熱そうな人だったね。あたし達の熱になってくれれば良いんだろうけれどもね」
「とにかく僕達の夢は小説家兼絵師の夢を見て頑張ろうよ。小説は独学で頑張れるけれど、絵はとにかくYouTubeとかで見て勉強して行けば良いと思うよ」
そうだよな、今のご時世、絵の勉強はYouTubeで見れば学校なんて行かなくても良いかもしれないが、高校の単位も取らなきゃだし、そうしないと大学には進めなくなってしまう。
でもYouTubeだけでは限界があるかもしれない。ちゃんとした授業も受けなくてはいけないかもしれない。勉強はともかく僕達は絵を中心に頑張っていかなければならない。僕はよくアニメーションの絵を描いている。それにデッサンや前には涼子さんの似顔絵を描いたりしていた。
今日は僕は配達所に戻ると、最近ペアになった人と話し込む癖がついてしまったからか、負けることの方が多い。でも僕は悔しいって言っちゃ悔しいけれども、ペアになった人の話を聞くのも大事だとも思っている。みんなと話していると、ごちゃごちゃと言った感じになってしまうため、新聞配達の時間にペアになった人と話していると気持ちがよく分かるからだ。
帰ったら、それぞれの教科のレポートをこなさなければならない。それが終わったらお待ちかねのバンドの時間だ。これから忙しくなるが何か心の底から沸き起こるような楽しさがわいて出てきた。
僕と涼子さんの家に戻ると、光さんと桃子はもうすでにやってきていた。
「あら、あなた達帰ってきたのね。今入学記念にご馳走を作っているからね」
「お兄ちゃん達今日はうちと光さんのすき焼きよ」
すき焼きかあ、それは凄いものを作ってくれるんだな。本当に光さんと桃子には世話になりっぱなしだ。そこで僕達は自分たちの小説のアクセス回数を確認してみる。僕が四千で奈々子さんが三千で涼子さんが三千で斎藤さんが五千を超えていた。しかも光さんにポメラをプレゼントしたせいか?光さんのアクセス回数は一万七千を超していた。どうしたらそんな数がたたき出せるのか僕達は気になっていた。
「あっ君達にプレゼントされたポメラだけれども凄く便利だよね。これならどこにいたって書けること間違いなしだよ」
光さんも僕達のライバルだ。そんな圧倒的な数値を出されたら、僕達はちょっとやる気が萎えてしまう感じになってしまったが、また僕達で熱を出し合い負けまいと言う感じで頑張ることにする。
光さんは何でも凄い。聞いた話だと光さんは今通っている通信制の学校で一番をキープしているという。光さん美人だし頭も良いし、きっとモテるんだろうな。僕は涼子さんには悪いが光さんに恋心を抱いた事があった。
まあその話はもう止めにしよう。光さんは僕のお姉さん的な存在だと分かっていれば良い。僕には涼子さんという素敵な女性がいる。
さてすき焼きも食べ終わったし僕達は図書館のスタジオに行くことになった。今日は一時間だけ演奏して、それから二時間勉強と絵の勉強と小説を書かなければならない。勉強はすぐに終わってしまったが、問題は絵の勉強だった。レポートに人物画を描けと言う内容で僕は涼子さんを描き涼子さんは僕を描き、奈々子さんと斎藤さんはお互いの事を見せ合いながらデッサンをしている。
レポートにはこう書いてあった。とにかく描く時間よりも相手の事を見ることだと。みんなの絵を見てみると、みんなも良く描けている。さすがは僕のライバル関係だ。
勉強もお開きになり時計は午後九時を示している。そろそろ僕達も帰って明日に備えなければならない。
楽しい時間はすぐに過ぎ去ってしまうものだ。みんなと勉強していると凄く捗る。それはみんなも同じ気持ちなのかもしれない。いやそうだ。現に数学や英語のレポートもこなして、僕達は出来るようになっていた。
そして今日は奈々子さんは光さんの家に帰り、斎藤さんは僕と涼子さんの家に向かうことになった。
帰って寝る前、何か明日が楽しみで高揚してなかなか眠りにつけなかった。そして必然的に朝日は昇る。




