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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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僕達のバンド、再び結成

 第七世代のアイパットを購入して、クリップスタジオの契約をした。これでみんなデジタルで絵を描くことが出来る。それよりも丁度お昼だったため、秋葉原はおいしい店がたくさんあるので、そこに食べに行った。食べに行ったのはごっつと言うラーメン屋だった。僕はそこがおいしいことを知っているので三人に勧めた。


 涼子さんは小食のため、周りのお客の食べている姿を見て、あんなに食べられないよ。と言って食券を買うときに少なめにして貰い、僕と斎藤さんと奈々子さんは普通盛りにする事になった。食券を渡すときに店員に「油はどれぐらいにします」と僕達は聞かれて、僕と奈々子さんと斎藤さんは普通にして貰い、油が苦手な涼子さんは油なしにして貰ったみたいだ。


 このごっつと言う店はおいしいと評判であることを僕は知っている。でも涼子さんはあまりおいしいと期待はしていないみたいだ。そしてラーメンが出されて僕達はそれを食した。僕的にはおいしいラーメンだった。それに奈々子さんも斎藤さんも涼子さんもおいしいと言っていた。


 ラーメンはおいしかったが、油が僕と奈々子さんと斎藤さんのお腹に残ってちょっと気持ち悪かった。涼子さんは僕達に油なしにして貰えば良かったのにと言っていた。


 後は帰るだけだ。バス停まで帰ってバスに乗り込み、僕と斎藤さんと奈々子さんはへたり込むようにバスの席に座って帰ることになった。これは帰ったら小説や絵どころじゃないけれど、涼子さんはやる気だった。そのやる気に火がついたのは良いが、ごっつの油がお腹に残っていてちょっと気持ち悪くていつもの調子でない。


 僕達も涼子さんと同じように油を抜いて貰えば良かったと反省させられる。でも味は確かだったんだよな、でも油が胃に残っていてちょっと気持ち悪い。でもバスに揺られて帰った時にはもう油は残っていなくて僕達は早速今日買った第七世代のアイパットにクリップスタジオで絵を描くことになった。


 よし三人が熱を出している。この調子で頑張っていれば僕達は負けることはないだろう。僕達は四人がそろっていれば何も怖くないと思っている。両国高校に入学出来なかった事は残念だが、そんなことも気にせずに僕達はライバル兼恋人同士の涼子さんがいて、ライバル兼友達同士の奈々子さんと斎藤さんがいる。


 そして新聞配達の時間になり、今日は僕と涼子さんと組むことになり、後は斎藤さんと奈々子さんが組むことになっていた。


 今日は僕の恋人の涼子さんと組むことになった。この際だ。涼子さんの深い悲しみに触れるチャンスが来るかもしれない。でも涼子さんはそんな悲しみをいっさい見せずにいつもの太陽の様な笑顔で僕と対応している。


 涼子さんに公衆便所に産み捨てられた何てそんな事は直接言うのはどうかと思って僕は涼子さんの深い悲しみに触れる事は出来なかった。


「涼子さんはいつも元気だね」


「もちろんよ。私はいつも元気だけが取り柄だからね」


 その笑顔の裏には何が隠されているのか、僕は知りたかった。いや知らなければ、いけないと思っている。大切な人の笑顔の裏の涙に添える花がないなんてちょっと情けない気がしてきた。


 でも笑顔の涼子さんならそれはそれで結構である。そして新聞配達の仕事は涼子さんは無駄口叩いてないで奈々子と翔子に負けないように頑張らなきゃ行けないと言って、その悲しみにすら触れることが出来なかった。


 そこで僕は思ったんだ。無理にその悲しみに触れる必要なんてないんじゃないかって。いずれ涼子さんと長く付き合っていれば、その笑顔の裏に隠されている涙が分かる日がやってくるんじゃないかって。


 僕と涼子さんの家に戻るといつものように光さんと桃子が晩ご飯を作りにやってきた。


「ヤッホー四人ともいつもお疲れ様。今日は生姜焼きだからね。豚肉が安かったから」


 生姜焼きか、それはおいしそうだ。いつも光さんと桃子は僕達の為にご馳走を作りにやってくる。


 光さんと桃子が料理を作っている間、僕達は今日買ったアイパットで絵を描いていた。


「早速あなた達、絵を描くのね。それにアイパットなんて買っちゃって」


「僕達は絵を描く高校に行くから当然ですよ」


「あまり無理しないようにね」


 そう言って、光さんは台所に戻った。無理をしないようにか?それはこっちの台詞でもあるんだけれどもな。光さんは僕達のために司書のアルバイトをしながら僕達に手料理を提供してくれている。それも無償で。


 そう言えば涼子さんも同じだけど、光さんの悲しみも見たことがない。それはそうだ。光さんも涼子さんも、それに斎藤さんも奈々子さんもその悲しみをさらしたりはしない。奈々子さんと付き合っているとき、その悲しみを僕は触れた事がある。あの時は大変だった。奈々子さんのお母さんの骨髄を探すために親戚中探し回ったっけ。それで見つからずに奈々子さんの母親は亡くなり、奈々子さんの悲しみを目の当たりにしたんだよな。


 それにしても奈々子さんは強い女性だ。母親を亡くしてもその悲しみを乗り越えて行ってしまうんだもんな。でも今は僕は涼子さんと付き合っている。僕は奈々子さんと別れ、今は涼子さんと付き合っているんだからね。


 そんな事を考えながら僕はアイパットで涼子さんを描いていた。


「あっ君、何を描いているの?」


 涼子さんが僕が描いているアイパットを横目から見ようとしたところ僕は隠した。


「何よあっ君、別に減る物じゃないじゃない。だからあっ君の絵を見せてよ」


「分かったよ」


 僕は涼子さんを描いた絵を涼子さんに見せた。それは涼子さんの太陽のように笑っている姿だった。


 僕の絵を見せると、涼子さんはパアァと表情をほころばせて、うっとりとしていた。


「あっ君私の事を描いてくれたの?」


「うん。どうかな?」


「素敵!あっ君が私の事を描いてくれるなんて」


 その涼子さんの笑顔は斎藤さんの言うとおり太陽の笑顔だった。僕は涼子さんの新たな一面が見れて本当に嬉しかった。でも正直に言うと僕は涼子さんの泣く姿が見てみたいと密かに思っている。


 みんなそろって絵を描いていると、光さんと桃子が生姜焼きとサラダを食卓にのせて「さあ出来上がったわよ。たんと食べてね」と光さんは言う。


 僕達は絵を描くことをいったん止めて、光さんと桃子が作ってくれた生姜焼きを食べることにした。光さんと桃子の分もあり二人はいつも自分たちの夕食がてらに作っているようだ。本当にいつも二人には感謝している。


「ねえ、あなた達、受験も学校も終わったことだし、そろそろまたバンドを組んでみない?」


「やりたーい!」


 即座に言ったのが涼子さんだった。僕達も話し合って斎藤さんも奈々子さんもやりたい気持ちでいっぱいだった。そうだ。僕達にはバンドがあったんだ。きっと両国高校に入学していたら出来なかったことかもしれない。でも絵の通信制の高校なら平日はいつも開いているし、絵や勉強や小説などがやりたい放題だ。


 こうして僕達は明日から、いや涼子さんの熱意で今からバンドの練習に夕食を食べたら光さんと桃子と僕達で図書館に向かった。図書館のスタジオはこの時間誰も使っておらず、やりたい放題に出来る。


 早速、スタジオに入ると、涼子さんがドラムに座り、ブランクがあるというのに手際よくドラムを叩いている。涼子さんのドラムさばきはまさにX JAPANのヨシキの様な感じであった。僕達はそれに感化されるように僕はベースを取り、斎藤さんと奈々子さんはそれぞれギターをとって練習に励んだ。二人ともブランクはあったとしてもバンドを結成したいと言う熱い心がブランクというものを乗り越えていく感じだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  バンド再結成ですね!  ごっつ、今度行ってみます。脂に注意して。  更新ありがとうございました。
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