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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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未来は決して僕達を裏切ったりしない

 涼子さんは言っていた。セックスをしたければいつでも声をかけてねと。涼子さんはもっと自分を大切にするべきだ。僕の前で軽々しくセックスがしたいなんて言って欲しくはない。そんな時僕は嫌らしく涼子さんの裸を想像してしまった。何を想像しているんだと、僕は自分自身を自重した。


 そう言った関係になるのはもっと大人になりお互いのことを良く知ってからだ。以前付き合っていた奈々子さんとも僕はセックスをしたことがない。それで良かったんだ。もし奈々子さんとセックスをしていたら、僕は奈々子さんと付き合う事を止めることはなかっただろう。


 僕と涼子さんはまだお互いのことを知ったりはしていない。涼子さんはいつも明るく元気に振る舞っているが。その笑顔の裏に何が隠されているのか今の僕には分からなかった。そうだ。涼子さんの事を斎藤さんに相談するのも良いかもしれない。彼女は両親が事故で亡くなり涼子さんの孤児院に来たと聞いている。


 それよりも明日は四月の一日、光さんの誕生日だ。光さんプレゼント喜んでくれると良いけれど実際の事は分からなかった。


 それに僕達は運が良い。四月の一日は僕達は新聞配達が休みの日だった。これで心置きなく、光さんを祝えることが出来る。光さんきっと僕達の為に桃子も一緒に夕飯を作りにやってくるだろう。僕達はケーキを買ってきて、光さんが晩ご飯を作りにやってくるのを待っていた。


「よし。みんな、光さんがきたら、クラッカーを鳴らすよ」


 僕が言うとみんなクラッカーを持って光さんが現れるのを待っていた。そして午後五時になると光さんと桃子はやってきた。そして僕達は光さんの誕生日を祝うように思い切りクラッカーを鳴らした。


 パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!


「「「「光さんお誕生日おめでとう」」」」


 光さんは驚いて「いったい何事なの?」と疑問に思っていた。


 僕が「今日は光さんの誕生日でしょ」


 奈々子さんが「あたし達のプレゼント受け取ってください」


 そう言って、小説を書くときに便利なポメラを差し上げた。


「ちょっ、良く私の誕生日が分かったわね。それよりもプレゼントまで貰えるなんて、それに私が今日自分の誕生日を忘れていたんだけど」


 光さんはどうやらいつも司書や僕達の事で手一杯で自分が今日誕生日だと言うことを忘れていたみたいだ。これは本当に光さんをサプライズで、なお喜ばせることが出来たようだ。


 光さんはプレゼントを受け取ってくれた。光さんは中身を見て、中身は僕達がいつも使っているポメラだ。


「あら、これはあなた達がいつも小説を書くときに使っているポメラじゃない」


 僕が「光さん受け取ってください。僕達はいつも光さんのお世話になっているからです」


「別にこんなに気を使わなくても良いのに」


 何て言っていたが光さんは本当に嬉しそうにしていた。桃子は今日が光さんの誕生日だと言うことを知らなかったみたいで、「どうしてうちにも光さんの誕生日を教えてくれなかったの?」と言われて僕は謝った。桃子は光さんが大好きなんだよな。桃子のやる気の源は光さんなんだからな。


「それよりもあなた達、両国高校に受けられなかったことを安井を訴える事が出来るわよ。豊川先生の力を借りれば」


 そこで涼子さんが「その事ならもう良いです。とにかく今日はおめでたい日なんだから、そんな暗い話をしている暇なんてないでしょ」


「まあ、あなた達がそれで良いなら良いけれども、あなた達悔しくはないの」


「悔しいけれども、私達四人はそんな事に屈したりはしません」


 そうだ。涼子さんの言うとおり僕達はそれしきの事で屈したりはしない。


 すると光さんはニコリと笑い出して「あなた達強くなったのね」


 そうだ。僕達は強くなった、安井に両国高校に行く事を阻止されたからと言って僕達はそれしきの事で屈したりはしない。僕達は一人じゃない。こうして仲間達がいる。この仲間達の結束を固めてくれたのは光さんあなただ。光さんに僕達が出会わなければ今の僕達はいない。


 光さんの誕生日に僕達は盛大に祝った。そう言えば僕達は光さんの事を知らない。もしかしたら光さんも何か心に闇を抱えて生きているんじゃないかと思えてきた。きっと光さんにも暗い過去があったに違いない。今は図書館の司書としてバイトをしているが、光さんの親族の話を聞いたことがない。


 でもいずれ僕達は光さんの過去を知ることがあるような気がした。そう思うと僕は無性に怖くなってきた。僕は光さんが幸せになってくれることを祈っている。この世の中には悲しい笑顔があることを僕は知らずに生きてきた。その悲しい笑顔を知ったのは奈々子さんと出会ってからだ。


 とにかく今は光さんの十八歳の誕生日を祝うことにする。光さんは本当に素敵な笑顔で僕達のサプライズに大喜びをしている。そんな光さんを見るとこっちまで幸せな気持ちになってしまう。僕達の大好きな光さんには本当に幸せになって欲しいと思っている。だから今日光さんが幸せそうな顔をして僕達のサプライズに乗ってくれた。


 今日の光さんと桃子の手料理は肉じゃがだった。僕達は光さんと桃子が作る肉じゃがは何度か食べたことがあるので、おいしいことを知っている。せっかくだからこの僕達が作ったケーキとご馳走を食べて、盛り上がり、僕はギターでハッピーバースディーの歌を歌った。


 歌い終わった後、僕達はまた、パンッ!パンッ!パンッ!とクラッカーを鳴らして盛り上げた。何かもう楽しすぎて両国高校に行けなかったことなどどうでも良い感じになってきた。進学校の両国高校に行けたからと言って幸せになれないと言うことはない。僕達は通信制の絵の学校でもやっていけると僕達は思っていた。


 本当に僕達の未来は決して裏切ったりしないことは確かだ。でも安井達に両国高校に行けなくされたことは未来に裏切られたと思ったが、世の中、学校だけがすべてじゃない。どんな未来になるのかはまだ、僕達は知るよしもなかった。でも楽しくなるはずだと僕は思っている。


 光さんの誕生会は大いに盛り上がった。お開きになった時はもう時間は午後十一時を示していた。こういった楽しい時間はすぐに過ぎてしまう。新聞配達も勉強も小説も絵も、好きなことをやっているのも同じように時間は刻一刻とすぐに過ぎ去ってしまう。一日が二十四時間と言うのは僕達にとって足りないぐらいだと僕は思っている。


 明日は新聞配達だ。今日はもう遅いので光さんも桃子も僕と涼子さんの家に泊まることになった。


 

 朝三時に目が覚めて、光さんは僕達よりも早く起きて、僕達の朝ご飯を作ってくれていた。

「光さん、そんなに僕達に気を使わなくても良いのに」


「何を言っているのよ。あなた達はまだ未成年よって私も未成年だけど、とにかくあっ君達は光さんに甘えちゃいなさい」


 何て光さんは言って、本当に光さんに甘えるのが癖になりそうだった。


 朝ご飯は相変わらずにトーストの縁にマヨネーズをかけてその中央に目玉焼きを入れている。本当に朝ご飯には持って来いの物だった。本当に癖になるおいしさだ。


 朝ご飯も食べて僕達は新聞配達所まで向かった。


 そして今日は僕と斎藤さんが組むことになり、もう一方が奈々子さんと涼子さんと組むことになった。今日は斎藤さんと組むことになって良かったと思っている。それは涼子さんと施設で同じように育ってきた斎藤さんに涼子さんの事が聞けるからだ。斎藤さんに涼子さんはどんな人だったのか僕は知りたいと思っていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  光さんのことを考えると、「聖女」「聖母」という単語が思い浮かびます。本当にまだ18歳とは思えないしっかりぶりです。  涼子さんの抱えている何かは少し前から気になっていました。  どうぞ息…
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