みんなの自信の源は僕?
小説に没頭しているといつの間にか午後十一時を示していた。僕達は力が入りすぎて時間の事も忘れてしまうほどだった。この小説にかけた熱を明日に繋がるようにしておかないと行けない。明日は新聞配達だ。
僕達は眠って午前三時頃に起きて、光さんが朝食を作ってくれた。光さんの朝食は食パンの縁にマヨネーズをかけてその真ん中に目玉焼きがのっている。さあ、朝ご飯も食べた事だし、僕達は行かなくてはいけない。
両国高校に行けなかったのは残念だが、僕達には仲間がいる。それは熱き魂を共有する仲間達だ。僕達四人なら、そんな逆境を乗り越えられると思っている。たとえ志望校が受けられなくとも、僕達の熱は冷めやしない。むしろ燃えてきていると言った感じだ。
新聞配達所に辿り着き、僕達はそれぞれ組むことになる。まあこれはいつものことだが、今日は僕と奈々子さんで、もう一方は斎藤さんと涼子さんだ。僕と奈々子さんは語り合いながら新聞配達の仕事をした。
「安井にはやられたけれども、あたし達はその程度の事では、屈しないわね。あたし達には夢があるからね」
「そうとも僕達は負けはしない。両国高校に行けなくても他に道はあるよ」
「どうやらあたし達、両国高校に受けなくても良かったかもしれないね」
「うん。そうかもしれない」
「あたし達の自信の源はアツジ、あんたなんだからね」
「僕がみんなの自信の源なの?」
「そうよ。あなたがみんなの自信の源なんだよ」
そうだったのか、僕がみんなの自信の源だったなんて。いや確かに自信の源は僕かもしれないが、それ以外でも僕はみんなからやる気の熱を感じてやっている。これはみんながいなければ僕達は熱を感じながら勉学に進む事は出来ない。
そろそろ、僕達は中学校を卒業しなければならない。中学を卒業するには時と言う物が勝手にそうして貰うことになっている。残りの学校生活は特に何もなく映画やディズニーランドや思いで作りに行くための行事に参加することだった。
時々安井の視線を感じるときがあるが、安井の目を見てみると、不敵に笑っていた。僕達にざまあみろとでも言いたいのか?それはそれで良いが、もし今度僕達に何かをしてきたら絶対に許すわけにはいかない。
そして僕達は想い出作りの為に、ディズニーランドに行くことになった。僕と奈々子さんと斎藤さんと涼子さんで行動することになった。
「じゃあ、今度はあれに乗るよ」
奈々子さんは大はしゃぎ、これならもう両国高校に受けられなくとも僕達は大丈夫だろう。受験だけが人生ではないのだから。
乗るのはスプラッシュマウンテン、汽車の形をした絶叫マシンであった。乗ってみると汽車の乗り物なのに、凄いスリリングな感じがした。凄い怖いマシンであった。
「アツジ大丈夫?凄く足がカクカクじゃん」
「いやあ、凄い絶叫マシンだね」
ディズニーランドは凄く僕達に気分転換を与えてくれた。僕は学校に行けて良かったと思えている。安井には両国高校をダメにされたが、僕達は人生を終えたわけじゃない。まだ僕達の本物になるための青春は続く。
そして僕達は卒業式を向かえた。卒業式は誰にでも学校に行っていれば、必ずやってくる物だ。そうそれは誰にでもやってくる物。僕達は卒業式と言って何を卒業するのか訳が分からなかった。本当に尾崎の言うとおりだ。行儀良く真面目なんてくそ食らえだ。
それよりもくそ食らえなのは安井の方だ。あんな奴がいなければ僕達はもっと輝かしい青春を謳歌していたかもしれない。受験は人生で高校受験と大学受験の二回にしかない。その中で僕達は大人にならなければならない。安井にやられた事は泣き寝入りするしか残っていないが、安井が卒業の時、仲間達と笑い合っていたのは少々腹が立った。
卒業式が終わり、僕達は四月から通信制の絵の高校に行くつもりだ。またみんなと熱を感じながら勉学に挑むことを考えると何だかワクワクしてくる。高校に入ったら僕は光さんと同じ図書館の司書のバイトをするつもりでいた。
そして時は経ち、今日は三月の三十一日、明日四月の一日で光さんの誕生日だ。
僕達四人は光さんの誕生日プレゼントをサプライズで送るつもりだ。
光さんが喜ぶ物って何だろうと僕達は考えた。
そう言えば、光さんはポメラを持っていなかった。光さんにポメラをプレゼントすれば、光さんも小説を書くときに便利だと思う。でも光さんがポメラを持つことでまたネット小説のアクセス回数を増やしたら僕達はまた悔しい思いをしてしまうんじゃないかと考えてしまった。でも僕達は光さんが喜んでくれるなら、それで良いと思えた。
そして僕達は光さんのサプライズとしてポメラをプレゼントすることにした。光さん、きっと喜んでくれるだろうな。そんな事を考えているとあっという間に時間は過ぎていき、新聞配達の時間になってしまった。
秋葉原から新聞配達所まで一時間はかかる。これはもしかしたら遅刻してしまうかもしれない。僕達はバスに乗って新聞配達所まで向かっていった。恐れていたことが起こって僕達は新聞配達所に遅刻してしまった。ごめんなさいと社長に言うと、いつも僕達は真面目に新聞配達の仕事をしているので大目に見てくれた。それは何ともありがたいことだ。でも社会人としてちゃんとしないといけないよって言われてしまった。
今日は僕と涼子さんが組み、斎藤さんと奈々子さんが組むことになった。
「ねえ、あっ君、高校に入っても、私達は今まで通りに行くかしらね?」
「行くに決まっているじゃん。僕のライバルは涼子さんに奈々子さんに斎藤さんでもあるんだから」
「そうだよね。私達はみんなライバル関係でもあり、友達でもあるんだからね」
「それに僕は涼子さんと付き合って、涼子さんの事をもっと知りたいと思っている」
「私の事を知りたいかあ、そんなに良い物じゃないよ」
「僕はまだ、涼子さんの、何というかえーと・・・」
それは涼子さんの涙と言いたいところだが、何か怖くて恥ずかしくて言えなかった。
「男の子でしょ。はっきり物を言いなさいよ」
と僕は涼子さんに怒られてしまった。
「そんなに怒らなくても良いじゃない。涼子さんは僕のどこが好きなの?」
軽い気持ちで言ってしまったが、言って僕は何を言っているんだと反省させられる。
「それはね。あっ君はいつも誰に対しても平等に接するからだよ」
「僕、みんなと平等に接している?」
「自分では気がつかないか、あっ君は誰に対しても平等に接しているところが好きだよ。それに私達の自信に繋がっているのはあっ君あなたなんだから」
奈々子さんと同じ事を言われてしまった。みんなの自信の源は僕にあると奈々子さんは言っていた。
「本当に僕が自信の源なの?」
「そうだよ。自分では気がついていないみたいだね」
そうか僕はみんなが自信の源だと思っていたが、僕が三人の自信の源だったなんて気がつかなかった。
「あっ君、これからもどうぞよろしくね。良い青春が送れることを私達は期待しているからね」
涼子さんはにっこりと笑って僕にそう伝えた。そんな笑顔で言われると、僕は照れくさくなり、おまけに涼子さんの魅力に取り入れられて頭が熱くなった。
「顔赤いよ。あっ君は私と付き合っているのに、まだセックスもしていないなんて、おかしいと思うのにな」
「な、何を言っているの、そういう事はお互いのことをよく知ってからだと思うよ」
「あっ君、もし私とセックスしたくなったらいつでも言ってね」
そう言って涼子さんは僕にウインクをして、僕の心臓は大爆発を起こしそうな感じになった。




