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恋人はライバル関係  作者: 柴田盟
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ポジティブな僕達

 僕達は両国高校に向けて、学校が終わって暖房の効いた図書館で勉強している。いつもながらに思うことだが、こうして三人の熱に浸りながら勉強すると凄く捗る。僕達四人は燃えていた。それに勉強は一日二時間で一時間は小説に当てている。それに僕は密かに絵なんかを描いている。受験生がそんなことをしていて良いのだろうかと思うぐらいに。


 でも僕達は両国高校に受かる自信はある。両国高校に行ってまたみんなとバカをやっていたい。そこでこんな暇があるのかと言うと僕達にはあるんだ。僕達はみんな小説家になる夢だってある。あの文豪の芥川龍之介も僕達が入ろうとする両国高校に行って後に東大に行ったらしいのだから。僕も芥川龍之介の様に両国高校を卒業したら東大に行こうかなって考えている。


 でもそれはまだ先の話だ。その頃になってみないと分からない。東大に行ったからと言って、小説家になれるとは限らない。でも僕は仮に両国高校に行けなくても、小説家になる夢は捨てたりしない。一生小説家兼絵師の夢を追い続けてやると思っている。


 そろそろ新聞配達の仕事の時間だ。この新聞配達の仕事をする事で僕達は食費と生活費と両国高校に行く資金を稼いでいる。


 十二月に入り、もう空は午後四時を示しているが、もう空は暗くなろうとしている。新聞配達所に行くと今日は涼子さんと僕が組み、もう一方は奈々子さんと斎藤さんが組むことになっていた。そして仕事が始まる。


「あっ君はもう覚悟を決めたみたいね」


「うん。僕も両国高校に行くつもり」


「高校生活か?どんな事が待っているんだろうね?私は今からでもワクワクしているんだけれども」


「僕もワクワクしている。そこで良い友達に会えたら良いね」


「そうだね。両国高校という進学校だから、きっと頭の良い人達がたくさんいるんでしょうね」


「そういう人達の熱にあやかりながら、僕達は進んでいけば良いよ」


「さあ、おしゃべりもこれぐらいにして、ここは本気で仕事をしないと奈々子と翔子に負けてしまうよ」


「そうだね」


 僕達は奈々子さん直伝の新聞配達の仕方を真似した。本当にすぐに仕事が終わってしまった。そして新聞配達の仕事を終えて配達所に戻ると、奈々子さんと斎藤さんの姿はなかった。

「あっ君どうやら今日は私達の勝ちみたいだね」


 そして三分後、奈々子さんと斎藤さんは戻ってきた。


「あー今日はアツジ達に負けてしまったよ」


 悔しそうに言う奈々子さん。斎藤さんは「申し訳ありません奈々子ちゃん。私が足手まといで」


「別にあなたは足手まといなんかじゃないよ。仕事も良くやっていると思うよ。だから自分の事をそうやって責めるのは止めなさい」


 本当に奈々子さんの言うとおりだ。斎藤さんはいつも一生懸命に仕事をしている。そんな斎藤さんを責める事は奈々子さんには出来ないと思っている。僕と涼子さんは二人にジュースをおごって貰って、それを飲み干した。


「あー仕事が終わって帰りに居酒屋なんかにビールを飲むってこんな感じなのかしら」と涼子さんは言う。


 僕達三人もそう思う。もし僕達が別れずにこのままいつまでも四人でつるんでいられたら、いつか居酒屋なんかに入ってお酒を飲もうと思う。お酒の味は分からないけれど、きっとこの四人なら良いお酒が飲めると僕は思っている。


 僕達が帰ると、桃子と光さんが夕ご飯を作りにやってきていた。


「光さんに桃子、本当にこんな事をしていて大丈夫なの?特に光さんは図書館の司書のバイトで疲れているんじゃない?」


「大丈夫よ。私の心配よりも四人とも両国高校に行くつもりなんでしょ。だから四人とも、私達が食事の準備をしている間、勉強をしていなさい」


 光さんにそう言われて僕達は勉強を始めた。それに今日の小説のアクセス回数を見た。僕が三千で、奈々子さんが二千五百で涼子さんが三千で、斎藤さんは五千を超えていた。ちなみに光さんは一万回数を超えていた。


「みんなますます凄くなっているね」


 光さんはそう言って「僕と奈々子さんと涼子さんはいつも通りだよ。凄くなっているのは斎藤さんと光さんだよ」


「まあ、とにかくみんな前向きに考えていきましょう」


 前向きにか?僕達は全力で前向きに考えている。両国高校に行くことだって、僕達は受かる自信もある。もしこのまま両国高校をみんなで受かったら、全力でお祝いするつもりだ。僕達は勉強も小説もバンドも全力で頑張るつもりだ。何かをする事で僕達は何かを諦めたりはしない。楽しいことなら全力で走るように頑張るつもりだ。


 でも楽しいことばかりじゃないだろう僕達のやっていることは小説もバンドも勉強も同じように試されるときが来るだろう。その日が来るときまでにこの熱き胸の鼓動を感じながら進んでいけば良いと思う。僕達の胸は熱すぎて止まらない。


 そして桃子と光さんの手料理は完成した。今日のメニューはとんかつだった。そろそろ僕達も受験間近だ。そんな時に受験に打ち勝つとんかつのメニューを出してくるなんて光さんと桃子は乙だと思った。


 とんかつはおいしかった。そして少し休んでまた勉強と小説を始めて、僕達の熱にあやかるように桃子も光さんも勉強を始めた。この調子だ。僕達は負けてはいられない。僕達はつながっている。まさに以心伝心。ノートに書き出す手が止まらない。


 そして勉強の時間は終わって、僕達はそろそろ眠らなくてはいけない。今日も布団は二つしかなく僕と桃子と涼子さんが一緒の布団に入ってもう一方は光さんと斎藤さんと奈々子さんが使うことになった。さすがに冬は寒い、二つの布団をそれぞれ三人ずつ使うのはどうかと思う。これでは風邪をひいてしまうんじゃないかと思ったがそうはならなかった。桃子の体温と涼子さんの体温が暖かくて本当に眠りには持って来いの感じだった。


 

 そして次の日の朝三時僕達はいつものようにスイッチが入るように眠りから覚めた。今日も光さんが僕達よりも早く起きていて、朝ご飯を作ってくれた。メニューは以前と同じ、トーストの縁にマヨネーズをかけて真ん中に目玉焼きがのっているやつだった。これはこれで本当においしい。光さんは図書館の女神様だけではなく料理の女神様でもあると僕は感じた。本当にこんなおいしいメニューが作れるなんて光さんぐらいだ。


 朝ご飯も食べて、僕達四人は新聞配達の仕事に出かけて行った。


 配達所に行くと、今日は僕と奈々子さんが組むことになり、もう一方は斎藤さんと涼子さんがつくことになった。今日の勝負は新聞配達の達人の奈々子さんがついているから安心かもしれない。


 配達をしている途中僕と奈々子さんは語り合った。


「アツジ、本当に両国高校に行くつもりなの?」


「もちろんだよ。光さんに怒られるかもしれないけれど、僕はみんなとまだバカをやっていたいんだ」


「で、小説家兼絵師の夢はどうするの?」


「それは両国高校に行っても出来ることだよ。絵だったらどこでも描けるし、それに絵の描き方を学ぶにはYouTubeを使って学ぶ事だってできるよ。それに僕はちゃんとした学校に行けるのだから両国高校に行って勉強を頑張っていたいよ」


「そうなんだ。アツジなりに考えたんだね」


「そりゃあ僕だって考えるさ」


「でももし両国高校に落ちたらどうするの?」


「僕は落ちないよ。落ちない自信はあるから」


「アツジ強くなったね」


「それは僕だって変わるさ」


「あたしはアツジの事を応援しているから」


「僕だって奈々子さんの事を応援しているよ」


「あたし達っておかしな関係ね。ライバルでもあって友達でもあるんだから。それにアツジ達と勉強していると、本当にあたしも楽しいよ」


 そう語り合いながら団地に向かいいつもの新聞配達の仕事が始まる。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  この素直な熱さを四人とも持ち続けてほしいです。  光さんと桃子ちゃんも守護天使のよう。  菜々子さんと普通の距離で応援しあえらことができて、これはこれで、付き合っている頃よりもいい関係な…
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