【♯73】ステルス&スニーク! 銃は無くとも勇士は征く。
――ちいさい秋みーつけた☆
……なんて呑気に季節の変わり目を肌身で感じていく9月、長月の日々を如何お過ごしでしょうか? 今月もA.I.M.Sレポートを報告する。
さて、今回のA.I.M.Sは趣向を凝らしたゲーム展開をお魅せしよう。
「ハリアー、お前メタル◯アとかやったことある?」
キッドは武器倉庫潜入前に、バックパックに保管したアイテムを確認しつつハリアーに話しかける。
「そりゃ愚問ってもんだろ」
「ちゃんと答えろ。新規の視聴者様と読者様が読んでるんだから」
配信者目線にスパイス感覚でメタさを醸して質問するキッド。それに渋々と答えるハリアー。
「やった事もあるも何も、メタル◯アは得意分野だよ。正直FPSよりも隠密行動のが俺っちの性に合うらしい」
風の向くまま、気の向くまま。風来坊な性格のハリアーにも個性的な特技あり。
敵を欺き、機械の眼をくぐり抜けて貴重な情報を獲得に成功した事から、戦場に赴くよりもステルスアクションに長けている事が彼の口から公に明らかになった。キッドは彼と幼馴染み故に、この事は既に分かり切っていた。
「それなら今日の配信にゃお誂え向きだな。――じゃ今俺たちが置かれてる状況から見て、お前ならどうやってこの無数の倉庫を全部確認できる?」
「……あ? 俺っちの目的は『AI−03』倉庫の防衛だけじゃないのか?」
ハリアーは企画された目的に若干の差異を感じ取り、話が違うだろと意見するが、ここは口八丁手八丁のキッド。持ち前の器量で説得する。
「ハリアー、俺達は倉庫内の兵器をレイダーズに悪用させない為の諜報活動するんだから。『AI−03』だけ守っても意味は成せないだろ。
『AI−03』以外、その周りの倉庫には何が隠されてるか分かるか?」
「あぁ、それも一応調べた。だがその周囲の倉庫は武器とか兵器は格納されてなくて、それらの部品・機材がごっそり入れられてるだけだ。つまりはゲーム情報屋にリークされる価値もない未完成品ばかり置かれてるだけだぜ」
ハリアーは情報収集する際、用意周到にA.I.M.S専用の倉庫の中を全て把握していた。
しかし公表するに相応しい情報は、先程の『AI−03』倉庫内の完成された巨大兵器のみと彼が判断した為、それ一点の防衛に絞るかと思っていた。
しかしキッドは既に、『AI−03』以外の倉庫の事が気になっていた。
「……ハリアー、その未完成品のパーツとかを詳しく聞かせてくれないか?」
「おい、巨大兵器の事はどーするんだよ!?」
「既に出来上がってる兵器の事調べたって意味ねぇだろ。それよりもA.I.M.Sの運営側が何を製造してるのか、そっちが気になってきたぜ」
知的好奇心は時に気まぐれな性格を持ち合わせている。グレーな情報である未完成品に興味を引かれたキッドは、そちらの探索とついでとしてレイダーズからの防衛にピン止め目標した。
「それだったら『AI−03』から南南西の『AI−08』の――――」
〘諜報員の情報共有もこんな感じなのかな〙〘会話からしてプロだw〙〘気まぐれに付き合わされるハリアー〙〘ステルスまだー?〙
等とコメント欄は、キッドとハリアーの会話にただただ感嘆を文字に刻むのみ。ようやく二人がステルスアクションを実行したのは、ここから5分後の事であった。
〘◇Now Lording◇〙
――東京ドーム3個分の規模に、何棟もの倉庫によって細い十字路を作って不審者の行動規模を制限させる団地帯。
その中に『ゲーミングロイド』と呼ばれる機械と電子回路の骨組みのみで構成されたAI型アンドロイドが、常に『ウェポンズ・ベイ』内の倉庫を警備されている。
謂わば”生きた監視カメラ“を数十機も設置されたフィールドに二人、顔や服を鼠色にペイントしたキッドとハリアーの姿があった。
「【トリガー・ツールNo.007】、潜入捜査用の特殊戦闘服『スニークスーツSTS』。久々にツッチーのトリガー・ツールが役に立ったぜ」
スニークスーツを装着する事で、自動的に背景の色彩に合わせて模倣される機能を持つ。
更に赤外線やサーモグラフィーをも99.9%透き通す事も可能であり、プレイヤーのみならずアンドロイドの眼をも欺く事が出来る。そう考えると、これを製作したツッチーの技術力を野放しにするのは惜しい気がする。
「『AI−08』手前の『SC』倉庫に歩哨が5機固まってやがる」
「それとゲーミングロイドの構造からして高圧光粒子レーザーを装備してる。最低限の武装にしては慈悲は無いね」
ハリアーとキッドが交互に遠方のゲーミングロイドの様子を、【トリガー・ツールNo.006/ホークスコープ】という万能双眼スコープで確認する。手動で500メートルまで見渡せる双眼鏡が、鷹の目の如く敵の動きをキャッチした。
「今は周囲の倉庫に行くのはキツイな。先に『AI−03』の様子だけ見に行こう」
「よっしゃ」
キッドとハリアーは『ウェポンズ・ベイ』突入。視界の狭い十字路をスニークスーツの迷彩機能を駆使して突っ走る。
因みに、人間の視界は両目を使えて270°まで見渡せると聞くが、偵察用ゲーミングロイドは視野が180°までしか見えない分、200メートル先の標的を明確に察知できる。
人間よりも狭い視野を利用し、偵察用ゲーミングロイドの眼を潜り抜けて、先ずは『AI−03』倉庫前に辿り着く二人。
「倉庫の中とか観れるんかな」
「バカ。倉庫は二重三重のセキュリティロックが掛かってて、運営にしか開けられないようになってんだ」
ハリアーにツッコまれながらも、キッドは一つ引っかかる事があった。
A.I.M.Sの運営に関わる極秘の兵器を格納した倉庫に、何故レイダーズの機械兵が近寄ったのか。特に爆破や占領もせずに立ち去ったのか。
気になったキッドは倉庫の外壁を触ったり軽く叩いたり、一周回って確認していく。
手の甲で叩きながら、倉庫特有の波型スレートの振動音を確かめるキッド。
(――――!)
だが、入口扉の丁度真裏の部分を叩いた瞬間、明らかに先程の振動音とは歯切れの悪く鈍い音を出した。
「……気が済んだか?」
長い捜索に飽きてきたハリアーに対し、手応えを感じたキッドが彼に話しかける。
「アイツラやりやがった。―――この倉庫の中に、何か仕掛けてるぜ……!!」
『AI−03』倉庫に仕掛けられたレイダーズの罠とは? そして奴等は何を企んでいるのか……!?
本日のA.I.M.Sゲームレポート、報告は次回に続きます!
〘◇To be continued...◇〙
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