【♯60】レイダーズを追い出せ、協力ミッション発令!
――エレメント◇トリガーズと、地上のゲーム戦士との協力プレイ……もとい、コラボ実況が開始された。
先程まで地底空間のゲーム戦士であるトリガーズ達に敬遠していた三人であったが、同じゲームに立ち、同じ志を持つ実況者という事もあって、すっかり意気投合。
「ねぇねぇアリスちゃ~ん、僕結構カッコよかった? 気に入ったら今度デートしない? 僕こんなブサイクだから彼女いない歴24年なんだよぉ〜」
「え、えぇ……ちょっと考えさせてくれない?」
前回まで顔に似合わずカッコいい事言っていた中田淳志こと『ナカター』。シリアスモードが切れた途端にキモカワで彼女無縁アピールをアリスに魅せる。彼女の方は割と本気で嫌がっていた。
(さっきの射撃センス良かったのに! どっちが本心なのよ〜!!)
「へぇー、アンタ『モブ』って言われてる割には色んなゲームしてんだな」
「モブは余計だ。俺やり込む事はガラじゃないけど、この時代に沢山のゲームが溢れてるだろ? 俺はそれら全部をやってみたいんだ!」
「知的冒険心って奴やな! 気に入ったで、今度ワテのレトロゲームコレクション見たってや」
ハリアーとツッチーは、何の因果か『モブ』というあだ名を付けられた……えっと……桜塚と意気投―――
「戸塚だ!! 語り部まで間違えること無いだろ」
こりゃまた、失礼しました。
「ハッハッ、先程は失礼仕ったねキッド君。ここから幕を開けるほまれ劇場第二章、地底空間の貴公子の君と、この私とで華麗な舞台を魅せようではないか!!」
「おう、宜しく頼むぜ……って、え、なに? 急に近寄っちゃったりして」
(あのな、僕のチャンネルは舞台演技しながらゲーム実況するのが特徴なんだ。君もアドリブで何か演技したまえ!)
(演技!? 俺そーゆーのはあんまし……)
実は矢野穂希こと『劇団ほまれ』、過去にミュージカルの劇団に入っていた事から、その癖が身に付いたというか、職業病というのか、それがゲーム実況でも染み付いた結果人気になったという。
「さぁ共に行こう、ホライゾンの彼方へ!!」
「ボーイズ・ビー・アンビシャス!!」
(…………なんか違う)
キッドさんには難しかったでしょうか。
この和気藹々とした雰囲気が、トリガーズの視聴者のみならず、ナカター達各チャンネルの視聴者にも影響した。
〘地底にも面白い奴がいるんだ〙〘トリガーズって面白いなぁ〙〘地上の人と仲良くなれてるとか感動〙等など、コメントから感嘆の声がちらほら。
………はっ、危ない! レイダーズの尖兵がキッドの後ろから!!
〘45〙〘45〙〘41〙
〘DEFEATED!!〙
キッドのエイムには、後ろにも眼が付いているのか。振り向きもせず、右手のマグナムを左肩に添えて、後方の不意打ちを狙うレイダーズ機械兵に三連射。断末魔も立てずに崩れ落ちる音を立てて撃破!
「ほまれさん、大丈夫ですか?」
「う、うむ……私はどうやら、とんでもない者を味方に付けたらしい」
FPSでこんな離れ業を為せるキッドに対し、一時でも敬遠してしまった穂希は若干後悔したという。
「ねぇキッド、幾ら『スクランブル』が時間制限が無いからって、敵が減らないんじゃ埒が明かないわ」
「そうだよ、確かヘビーメタルレイダーズってのを全滅させないと、クリアにならないんだったよな」
「そいつ等が一向に減らないってなると……ごっつ厳しい事になるわな」
トリガーズの面々が、倒せども湧いてくるレイダーズの機械兵達に手を焼き、ゲームの行方が心配になってきた丁度その時。
―――――RRRR……
「おっと、噂をすればなんとやら」
「メールだ」
各々は万能スマホ『プレイギア』の着信メールを開けば、想定通りの展開が。
「来たぞ、ゲームを終わらせる緊急ミッションだ!」
□――――――――――――――――――□
【A.I.M.S 『スクランブル』ミッション②】
・フルムーン・メガロポリスの政府が、
レイダーズを追い返す反機械転送装置
『システムオーバーZZ』を開発した。
この機械を作動させるには、フィールド内の
15個の起動パーツを探し、中央の装置に
セットしなければならない。
プレイヤーと協力して、装置を作動させよ。
・巨大装置を作動させられた時点で
現マッチのゲームは終了。各々の功績に合わせた
報酬を各自与える。
□――――――――――――――――――□
A.I.M.Sのフィールド、満月の摩天楼に居住する人々の知恵は、脅威を払う最先端技術があった。
レイダーズ追放を目標に、アンドロイドの生命機能を停止させ戦力を無力化させる『システムオーバーZZ』。それはフィールド全域に電磁波を発生させるパルス型電波塔である。そのシステムコントローラーに散らばった起動パーツを集めるのが、この協力ミッションだ。
「15個の起動パーツ……?」
「このフィールドかなり広いぞ。それで探すのは……」
「待った。何のために僕らが居ると思ってんの?」
トリガーズの会話を遮るナカター。せっかくの共同戦線を活かさずしてミッション達成は望めない。今こそゲーム戦士達の協力プレイを魅せるときだ。
「その通りだ。俺達の連携を魅せてやろうぜ。このEエリアは敵の姿も見えねぇから、手分けしてパーツを探そう」
「よっしゃ」
トリガーズ&ゲーム実況者トリオは、現時点に居るEエリア・半径2キロの周辺にて起動パーツを探すことに。とはいえ、そもそもパーツがどんな大きさで、どんな形をしてるのか全く不明な状況の中では勘だけが頼りだ。
特に今回のフィールドは常夜の摩天楼。闇の中で満月と眩しいネオンが入り交じる空間に捜し物は厳しい。
「………ん?」
だがFPSにて周囲の異変を察するのが早いキッド、得意の千里眼で遠方から、微かに小さく光るものに気づいた。そこへ恐る恐る近づいてみると……
□――――――――――――――――――□
『システムオーバー・起動パーツ』
□――――――――――――――――――□
アイテムに近づくことで提示されるクリアウィンドウから、確かにお目当てのパーツが確認された!
「「―――――あった、これだ!!」」
手を差し伸べるはUSBメモリのようなロングスティック。起動パーツをガッシリと掴んだ二つの手…………って、あら?
キッドさんの他に、もう一人!?
「誰だよ、人のモン横取りしようとしてんの………………は??」
第三者の手が目に移り、大人げない行為に怒鳴ろうとしたキッドが横を振り向いた目線に居たのは――――――【黒い稲妻・ルシファー】!!?
「人のモン……ならば機械人間が取っても差し支えは無いだろう?」
〘◇To be continued...◇〙
小説を読んで『面白かったぁ!』と思った皆様、是非とも下の「ブックマーク追加」や感想・レビュー等を何卒お願い致します!
更には後書きと広告より下の評価ボタンでちょちょいと『★★★★★』の5つ星を付けて、作者やこの物語を盛り上げて下さいませ!
A.I.M.Sで登場させたい実物の名銃も、感想欄で募集します! 次回も宜しく!!




