【♯58】実況者は個性が命。癖強ゲーム戦士登場!
――ヘビーメタル・レイダーズの送り込んだ刺客『ゴーストライダー部隊』攻略の糸口を掴んだエレメント◇トリガーズ。
新ルール『スクランブル』では、エリアを敵に占領・襲撃される前に標的となるゴーストライダー部隊を全滅させなければならない。
その使命に駆られ、奪取した敵のバイクをかっ飛ばして襲撃中のE-3エリアへと向かう四人。進路は北北西75度!
「天ちゃん、琴ちゃん! そろそろ面白くなってきた所だぜ、いつもの応援頼むわ!」
『はーい、待ってました!』
『お任せ下さいませ!』
キッドと無線でやり取り合い、応対するはロビー内で今が今かとチアダンスの準備をしていた天ちゃん琴ちゃんの響波姉妹。今日もまたこの新シーズンの為に新曲を用意していたようですよ!
♪我らの声援、銃士に届け
さぁ弾を込めろ、狙い定めろ
勇気を乗せて、勝利の先へ!
レッツゴー! レッツゴー!
撃て、決めろ!!
事前にチアダンスと、掛け声のレクチャー動画を撮っていた響波姉妹。新曲の発表と同時に視聴者の掛け声のタイミングもレッスンしていたようで。
チャット欄には姉妹の掛け声とタイムラグになるが、〘Go!〙〘Go!Go!トリガーズ!!〙〘OhーーーHEY!! ¥1.000〙〘撃て、決めろーー!!〙と熱意の込めた掛け声コメントが、時々スーパーチャット込みで高速スクロールされていく。Eですね〜!
「◯◯さん、掛け声と一緒にスパチャ1000円ありがとうございます」
「すげーわ、天ちゃん琴ちゃんが観客をコントロールしてるわ」
「“熱狂の坩堝”ってやつね」
「えぇがな、盛り上がってくれた方がワテもやる気出てくらぁ!」
トリガーズの四人も、チャット欄の熱気に士気も上がる。そのボルテージは敵から奪ったバイクに乗せて、闘志を湧き上がらせた。そして……
「おっと、10時の方向に火災だぜ?」
「ドンパチやってんな、トリガーズの兄ちゃん達がお仕置きしてやらんと!」
火事場に意気揚々となるのは戦場に生きる戦士だけ。好奇心が疼く反面、治安を理不尽に潰そうと企む機械軍団を徹底的に叩き潰す。その怒りにも変えていた。
大橋をマシンで突っ走り抜けて、大都会の臨海部に位置する襲撃地点・E-3エリアに到達するトリガーズ。
そこは既にレイダーズの機械軍団が火器を引っ提げてゲリラ襲撃を行う。無表情のままに建物を破壊し、人々を撃ち殺す等と残虐に任務を遂行する。
そしてそこには、トリガーズと同じく『スクランブル』に挑むプレイヤー達が奮闘していた。
「ちょっとヤバいんじゃないの、杵柄く〜ん?」
「戸塚だよ! 何だよ杵柄って、昔何かで取ったのか?」
「狼狽えるのはまだ早いぞ、同胞よ。わたしの穂希劇場は序盤に過ぎない! でもプロローグやる前からやられたくない!!」
……何やら、癖の強そうなプレイヤーが3人も。
レイダーズの機械兵達の射撃を、建物の瓦礫や壁で必死に回避していくが、余りの多勢に逃避の手段も絶たれた。機械兵はSMGを構え、問答無用に彼らを撃つ手前まで来ている。万事休すと思われた……次の瞬間。
「こんちわーーーー!! 仕置人でぇ〜〜す☆」
バイクで修羅場に飛び込んで、元気に挨拶する必殺仕置人はいません。
バイクで滑走しながら颯爽と登場するはトリガーズのキッド。片手には十八番のマグナムリボルバー『ファイアーバード』、挨拶代わりに機械兵のこめかみに鉛をぶっ放す!!
〔90〕〔90〕〔45〕
メタリックな頭部をも貫通させるマグナムアモの威力。ヘッドショット2発に通常ダメージ一発でようやく一体を撃破する所を見ると、レイダーズの機械兵は頑丈だ。
「ん~コイツらおそらく、200くらい体力もらってんな。それと下手な所狙ったらダメージも通らない仕組みだ。機械野郎の装甲の薄い所狙えば大丈夫だ!」
「え、あ……分かった!」
逃避していた三人のプレイヤーは、キッドのアドバイスに押されて援護に回った。
小型のサブマシンガンから、マークスマンライフルと多種多様な戦略で、レイダーズを圧倒させるプレイヤー軍。機械兵のウィークポイントは頭部、両腕、足部の三点だ。
後からハリアー・アリス・ツッチーとプレイヤーを護衛する形で加勢し、数十体の機械兵をあっという間に全滅させていった!
〘◇Now Lording◇〙
E-3エリアの襲撃も鎮圧され、街やプレイヤー達に一時の平穏が訪れた。
実は狙われていたプレイヤー三人は、地上では名の知れたゲーム実況者であり、ライブ配信でエンタメ番組に出演するゲームタレントであった。
「いや~凄かったよ、四人とも強いし、何より顔偏差値がね……色んな意味で羨ましいわー」
中田淳志、通称『ナカター』。長身でブサイクなアバターが特徴でありコンプレックスでもあるが、個性的な面とは裏腹にゲームは熟練された腕でファンも多い。
「エレメント◇トリガーズか、確か地底空間随一のゲームチームって聞いたが……改めて強いな」
戸塚 晃司、通称『モブ』。
特に印象としては影が薄く、実力としては中の下であるが、名前をいじったツッコミが人気でオールマイティにゲームを熟す。
「ふぅん、中々やるじゃないか。お陰でわたしの穂希劇場の第一幕がようやく開くところだ。恩に着るぞ」
矢野穂希、通称『劇団ほまれ』。
ゲーム実況を芝居風に盛り上げるという変わった実況が人気。生まれながらのイケメンを芸風にしているが、意外にもヘタレな所のギャップから怪我の功名でファンも増加中だとか。
「てか皆、ソロで配信してる実況者達だろ? 何で束になって襲われてたんだ?」
彼らが有名な事は予め知っていたハリアーだったが、三人纏まって行動していた事に疑問を抱く。
「俺ら三人でコラボ配信していたんだよ。せっかくの新シーズンだから、良くチームを組んでる皆で出陣したら、ピンチになったって訳」
そういう理由ならトリガーズ達の納得も早い。
一方で中田を始めとする実況者チームの各チャンネルでは、突然のトリガーズの登場に一気に視聴者数が跳ね上がるわ、チャット欄はスクロール天国と化していた。
「コラボ中にすげぇ奴らが来るとは思わなかったよ。今のミッションの事も知ってるだろ? ここは俺らと手を組んで協力しないか?」
戸塚が縁をきっかけに、トリガーズと強力する提案を出していく。しかし………
「それは………どうなのだろうか? 地底空間のゲーム戦士と共に戦うことは、我々地上とリスクが伴うのではないか……?」
「それは―――――」
またしても、トリガーズの前に阻まれる地底空間のレッテル。ゲームでの交流も妨げる理不尽な壁を前に、戦士はどう戦い抜くのだろうか……?
〘◇To be continued...◇〙
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