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【♯55】ゲームだったら交通違反しても良いとかマジで思ってます?

――TIPS――

【A.I.M.S 『スクランブル』基本ルール】


『スクランブル』とは、新シーズン開始と同時にスタートしたA.I.M.Sの新ルール。

ランク・カジュアルマッチと異なる点は、


①生き残った一組のチームが出たら終了、ではなく課せられたノルマを達成したらゲームセット。

②マッチ内では参加する人数・組は制限されない。参加費用は無料、自由に行き来が可能であるが、撃破されれば獲得したアイテムは全て没収。所持エイムズマネーは半分徴収される。

③もし部隊全員が撃破されたら→???



 

 ――そんなヘビーメタル・レイダーズの襲撃開始など知らず、というよりはその者らの存在自体も尚知らず。


 我らがエレメント◇トリガーズ、敵部隊全滅の戦利品だけでは当然足りないと見て、高層ビルの階段を降りては武器・アイテムを漁り、降りては漁りの繰り返し。

 そんなこんなしている内に、ビルの地上階まで到着した所で四人はビルを後にし、ハイブリッド車やら反重力ホバーバイクなど行き交う国道道路付近に向かった。


「……あのバイク良いなー。A.I.M.Sじゃなかったらバリバリ乗り回したいくらいだぜ」

「バイク大好きだもんな、ハリアー。やっぱフルカウル乗りたいとか?」

「それも良いけど、最近俺っち『トライク(三輪バイク)』にも興味持ってさ。あれって二輪よりも車体安定してるからドライブにも良いんだよ」

「随分渋いのに惹かれたな」


 トリガーズのメンバーの趣味嗜好は、多種多様であり博識。それが視聴者にも共感を得る効果にもなって、チャンネルを盛り上げる基材になるのだとか。

 チャット欄にてリアルタイムでコメントする視聴者も、ハリアーのバイク通に〘それな〙〘トライク知ってる人いて嬉しいw〙と彼のイメージ向上になっていった。


「そんなマニアな話は良いから、周囲の敵がいるかスキャンしてよ!」

「……チェッ、お嬢さんには男の浪漫が分かんないかね! ホークアイ、起動!」


 ◇――――――――――――――――――――◇

 ・ノーマルスキル【ホークアイ・サーチ】発動

 ◇――――――――――――――――――――◇


 ――――カシュッ、ピキュュュュュィィィン


 余計な皮肉も付け足して、ハリアーお得意の周囲察知スキャナー・ホークアイを作動。


【敵性反応・なし】


 しかし幸いにも半径100m内には敵反応は無し。ただ右往左往にSFチックな車が残像を残すかマイペースに突っ走る風情が映るだけ。……いや、ちょっと待った。


「……あぁ? 何かヤバそうなバイク群がこっち来てるぞ!」

「何だぁ?」


 キッドが西方面遠方に指差す先には、目が眩みそうな程のバイクのヘッドライトに照らされ、暴走族の如くサイレンを喧しく鳴り響かせる。

 走行中の車等を退けどけと言わんばかりに爆走するは、ブラックシルバーのコーディングで着色されたバイク軍団。フルカウル、ナナハン、先程ハリアーが申していたトライクと選り取り見取り。


 彼らの傍若無人な振る舞いは過度なもの、遂には走行中の車に蹴りを入れるは、方向とは逆方面へと逆走しては一般車にパニックを引き起こし、後方・近隣の車と接触、クラッシュと大惨事に!


「ヒドい!!」

「こらアカンなぁ、故意に事故起こしてら。奴らもプレイヤーなんか?」


「あんの野郎ッッ!!」


 視聴者にもトリガーズの面々にも目を伏せたくなる惨劇。とうとうその中でハリアーが、痺れを切らして道路で暴れまわる鋼鉄バイク軍団に物申す。



「高速道路逆走すんな!! ドラレコがテメーの愚行ちゃんと見てるぞボケェッッ」

「突っ込む所そこじゃねぇぇぇぇぇ!!!!」



 〘ボケてる場合かwww〙〘草〙〘ボケ老人かな〙〘ブレーキが踏み込み悪いとか通用しない〙


 等とハリアーが下手なボケをかました所。この怒号が鋼鉄バイク軍団の耳に届いたのだから、さぁ大変!


『何ダトゴラァ……!!』


 メットを被っても暴言には地獄耳か。見た目以上に短気なリーダーが全機に合図を送れば、忽ちにハリアー達に走り迫って来る!!


「ちょっと! 何暴走族怒らせてるのよ!!」

「ヤキ入れる気満々やんか!」


「だーー皆まで言うな!! 俺っちはな、ゲームだからって暴走行為を平気でやる奴が大嫌いなんだよ! 人の迷惑顧みずバイクぶっ放してる輩は、このハリアーが成敗してくれるわ!!!」


(あーあ、アイツのバイク野郎スイッチが入っちまったよ!)


 人の拘り、プライドは十人十色。ハリアーもそれには例外ではない。

 ハリアーは確かにバイク・車好きではあるが、交通ルールには非常に真面目な性格。自分もそれを乗り回している身であるならば、交通事故は絶対起こしたくない性分。


 だからこそ鋼鉄バイク野郎の暴走は、彼の矜持を汚す許すまじ行為なのであった。


「この不届き者が! 蜂の巣になりやがれ!!」


 ハリアー怒りのSMG、『SS-1000』が強烈な射撃音・高速連射をバイク軍団に浴びせる。

 ……ところが、SMG特有のライトアモ、弾丸がバイクのフレームはおろかタイヤのゴムまでもが弾かれる始末。


「何だありゃ、ただのバイクじゃねぇぞ!?」

「防弾仕様になってんのかな。じゃコイツで……!」


 ハリアーの攻撃が無効になったのを見て、今度はキッドがマグナムリボルバー『ファイアーバード』を、ネックなタイヤ部分に集中射撃するが……?


 ―――ドォォンッッ、キィン!!


「マジか、ファイアーバードも効かない!!」


 通常弾丸の3倍の威力を持つマグナムアモを持ってしても、シルバーメタリックのバイクは倒れる事を知らない!

 それだけでなく更なる謎が、トリガーズの付近にまで接近したバイク軍団の操縦者から気付いた。


「……え、嘘!? コイツらただのプレイヤーじゃないわ! 人間の形をしたサイボーグよ!!」

「サイボーグちゅーより、()()()()()()や。機械で身を纏った機械兵が、A.I.M.Sには存在しないマシン背負って来たって訳やがな。――――ワリャ何処のもんや!!」


 おそらく彼らトリガーズが、初めて機械兵達の素性を知る事になるゲーム戦士なのだろう。

 ならば聞かせてみせよう、奴らの名を!



『我ラ【鋼鉄(ヘビーメタル)の襲撃者(レイダーズ)】、ゴーストライダー部隊! 貴様ラゲーム戦士ヲ抹殺スル為二投入サレタ使者ダ!!』



 遂に明かされたヘビーメタル・レイダーズ、対するエレメント◇トリガーズはどう立ち向かうのか。

 そしてゴーストライダー部隊討伐の好機は何処にあるのだろうか!?



 〘◇To be continued...◇〙


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