【♯48】プレデター事件解決。そして新たなゲームの始まり……!!
――地底空間・B3層にて、人生を狂わせるチートプログラム【プレデター】を散開させた張本人ハッカー『ハッタリの染谷』がキッドの手によって葬られ、そのプログラムの設計図・散開プランを纏めたPDFを、管理機関WGCに納品した。
この納品が、延べ3年に渡るA.I.M.S内の【プレデター】襲撃の終止符を打つ事となったのです。
というのも、染谷が作製したチートプログラムのハッキング方法から、無効・削除させる方法も全てこのPDFに書かれており、WGCが管理するA.I.M.Sの運営スタッフが迅速な対応によって急激な【プレデター】利用者を粛清させる結果となった。
eスポーツでいう“垢BAN”という用語があるでしょう。
不正を起こした人のアカウントを停止・剥奪させる事なんですが……プレデターを利用したプレイヤーはそれだけではない。利用や所持に関係なく、『15年以下の懲役』『2,000万円以下の罰金』に処せられるんだとか。覚醒剤取締法以上に重い。
しかし、人の積み重ねてきた人生を食い荒らす【プレデター】なのですから、覚醒剤と同等、いやそれ以上の罪があってもおかしくありません。
3年もの間でキッドを最初に、数多くのプレイヤー達が犠牲になり、記憶や名誉をゼロに帰された。それに耐えきれず自殺した者も数知れず。
それでも巨万の富と、願いが叶うと言われる“太陽の欠片”の為にA.I.M.Sに挑む者にとっては、醒めない悪夢がようやく終わった開放感がある事だろう。
―――染谷死して自由が蘇る。元はルシファーとの決闘を汚した報復に倍返ししようと考えたキッドが、思わぬ形でプレデターの根源を撃ち消した。その結果が、予想だにしない引鉄を引くこととなるのだった。
〘◇Now Lording◇〙
――ハッタリの染谷襲撃から数日が経った。
「――――――え、本当ですか!? 何でまた……はい、そういう事ならば……ありがとうございます!」
自宅にて、プレイギアを通じて通話しているキッド。何やら一驚転じて歓喜の声が聞こえたようだが、それを聞いていたのは我々だけではない。トリガーズのメンバー、それに響波姉妹も全員揃っていた。
通話も長話とはならない程の時間が過ぎ、ようやく自部屋から出たキッドが現れるや否や、直ぐ様駆け寄るはメンバー達。
「……で、孔雀のお嬢ちゃんは何だって?」
どうやら話し相手はWGCの副管理者・鳳凰堂孔雀だったようだ。真っ先に話を持ちかけたハリアーにキッドは満面の笑みを浮かべた。
「驚くなよ、鳳凰堂孔雀が俺の功績を認めてくれて―――――地上進出を許可してくれたんだとさ!!」
「おおっ!?」
「嘘ぉ!!」
「ホンマか!?」
「やったぁ!!」
「おめでとうございます!」
メンバー総員で、キッドの地上復帰を祝福してくれた。プレデターに経歴も記憶も消されかけてから3年。配信者として経験値を積み重ね、ようやく報復を果たせた彼の目は潤み、感無量の域に達していた。
「それじゃ、これで地上も地底も自由に行けるのね!」
「俺っちも待ち侘びてたぜ、お前に見せたい景色が一杯あるんだよ!」
「ワテも美味い店知っとんねん、今度教えたるわ!」
キッドが何したいか一言も言ってないのに、早速地上へのお出かけに催促するハリアーら三人。
ところが、歓喜していた筈のキッドの表情は曇りかけていた。
「……まだルシファーの事考えてるのか? キッド」
と、ハリアーが指摘するならば案の定、大当たり。
「何か妙に悪い気がしてさ、アイツの正体がWGCに創られたアンドロイドで、地底空間に放棄された所を這い上がって太陽見ようと躍起になってんだ。それを差し置いて俺が先に上がるってのは……」
良心が痛む。キッドの本音が素直な感情を躊躇わせた。
「キッドさん、ルシファーさんとまた戦う気なんですか……?」
そう質問したのは、意外にも響波姉妹の天音であった。
地底空間での食事で初めて知り合い、晩酌までした彼女は好敵手であるルシファーとキッドが激突する事を良しとはしなかった。それはキッドも同じ事であった。
「俺は……正直アイツを本気で戦おうと思う気はしない。ただアイツは、染谷のガキに利用された事で人間を軽蔑し始めてる。このまま下手すりゃ本当に俺等人間の敵になるかもしれない。俺はそれだけは止めたい。ルシファーをそんな外道と同じ穴の狢にさせたくないんだ……!!」
ゲームで通じ合った好敵手同士。敵同士であるが、キッドの心の中には僅かな絆が芽生えていた。
人間とアンドロイドの共存は決して安易な事ではないが、理解し合える事は決して不可能ではない。それを信じてキッドは和解の意を示そうとしていた。
「……だったら、お前は尚更地上に戻った方が良いな」
「ハリアー?」
「人間の心をもっと知るんだ。地底空間の皆みたいに思いやりがあって、優しい奴ばかりじゃないのが地上の奴らだ。それを憎むも恨むも、お前の目で確かめてそれをルシファーにぶつけてやれ!!」
「………………」
トリガーズの中でも特に親友の類であるハリアーに言い諭されたキッド。彼の思う心情にはまだ答えを見出していないが、覚悟は決まったようだ。
「―――――やってやるか。その正義を語れるのがゲームしかない時代なら、いつでも相手になってやる。理不尽に勝るのは果たしてどいつか、魅せプで分からせてやるよ………!!!」
キッドの右手には、マグナムを握る仕草が垣間見える。
一つの真実に、幾多の正義が交差する現実の地上に進出しようとするキッド。
そこに待ち受ける運命は何であろうか。 そしてA.I.M.Sでも……?
【NEWシーズン:〘HEAVYMETAL〙近日始動】
A.I.M.Sのゲームシステムに革命を起こす、新たなシーズンが開幕しようとしています。
果たして、“鋼鉄”を意味するシーズンタイトルは何を意味しているのでしょうか?
キッドの地上進出と同時に、動き出す運命の引鉄。それは同時に、新たな出会いとイベントの予兆でもあるのです!
FPS実況バトル小説『A.I.M.S』、次回は【SEASON 2】でお会い致しましょう!! 本日のゲーム、報告完了!!!
〘◇See you NEXT SEASON...!!◇〙
小説を読んで『面白かったぁ!』と思った皆様、是非とも下の「ブックマーク追加」や感想・レビュー等を何卒お願い致します!
更には後書きと広告より下の評価ボタンでちょちょいと『★★★★★』の5つ星を付けて、作者やこの物語を盛り上げて下さいませ!
A.I.M.Sで登場させたい実物の名銃も、感想欄で募集します! 次回も宜しく!!




