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【♯41】ゲーマーとしての意地。ガキっぽくても構わない、情熱は絶やすな。

 ――黒い稲妻・ルシファーから、突然の宣戦布告を叩きつけられたキッド。


 楽しかった食事後のこの始末に、地底湖付近のキッド宅では不満タラタラな叫び声が木霊していた。


「ちっくしょ〜〜〜ッッ!!!!」


 好敵手であるルシファーの分まで食事代を支払われ、終いにはそのルシファーに、キッド達の正体も悟られた事への迂闊さに対してキッドは相当苛立っていた。


「あの野郎、空腹の恩をこんな形で仇返しやがって! こんな事なら催促して中トロ食わせんじゃ無かった、ちっくしょ〜〜!!!」


 ……苛立ってる割には、怒りの矛先が余りにも単純なものですが。


「止しなよ、そんなどっかの太夫みたいにギャーギャー吠え立てんのは」

「あたしも悪かったのよ。まさかあの人がルシファーだったなんて気づかなかったから……」


 ハリアーとアリスも、それぞれの形でキッドをフォローする。

 一方では、仕事で食事に参加出来なかったが、仲間が律儀にタッパーに詰められた料理を平らげるツッチーの姿もあった。


「何やら穏やかちゃう空気が漂ってんのが、ワテにもよう分かるわ。それよりも気になるんわルシファーが言うてた『チームを“消せ”』つってた奴の存在やな」

「……そう、そこも気になるんだよね〜」


 そうです。キッドはルシファーの証言から、彼を駒に仕立て上げてトリガーズの始末を企もうとする輩の存在を示唆していた事。しかとキッドの耳には入っていたのだ。


「その点で一番近い人物は……多分コイツやな」

 と、ツッチーが自前のノートパソコンに表示した人物画像をキッド達に見せる。


「――――『染谷(そめや)』のクソガキ……!?」


 その写真の風貌から察するに、大学2年くらいの金髪に派手な服が特徴の、謂わばチャラ男である。だがこの青二才からは想像も出来ないような()()を持っていた。


「せや『ハッタリの染谷(20)』。自分を“大学生No.1ハッカー”と自負してる自惚れたガキハッカーやな」


 何と現役大学生にしてA級のハッカー。とある秘密組織の命令によって、一年で大手事業会社やゲーム経営事業等にハッキングを50件も仕掛けた事から、学生にして数十億もの資金を設けたという裏の顔を持ったトンデモない奴なのです。


「でもだいぶ前に捕まったって話聞いたぞ?」

「ところが、あっという間に釈放されたらしい。裏組織が糸引いて裏技でも仕掛けたんやろ」


「その悪行偏差値60のアイツと、ルシファーと何の関係があるんだよ」

 と、気になって耳を傾けていたハリアーも訪ねるならば、やっぱり知っていたツッチーの情報網。


「地上じゃ悪さ出来ねぇと思ったのか、自分から地底空間に入って、また金稼ぎにと裏組織を通じてバイトでもしたとちゃうか? それも、自分の手を汚さずに標的を始末出来るプレイヤーを携えて」


「………ツッチー、まさかその片棒担ぎさせてんのが……?」


「そのまさかや。黒い稲妻・ルシファーが、染谷と手ぇ組んどる話やがな!」

「………………う~~~ん」


 これを聞いたキッドは、リビングの椅子に寄り掛かりながら、腕を組んで考え込んだ。


 ルシファーと対面した時に見せた、彼の表情・感情からして、キッド達に対する『殺気』のようなものは何処にも感じられなかった。


 何の因果で、遊び感覚で社会を混乱させているケツの青い青年に利用させられているのか。奴とつるむ事で彼の性格を歪ませてしまうのではないか。

 お互い地底空間で苦難を共にした者、どうしても他人事に思えないキッドのお人好しが、彼を余計に悩ませた。


「………皆、ルシファーの事は天ちゃんと琴ちゃんには黙っといてな。あの娘達には少々酷な事になりそうだ」

「その辺は安心しな。アイツらまた2階でチアダンスの練習だ」


 とは言ったものの、ハリアー達には気になる事がもう一つあった。


「それで……キッドはルシファーとの決闘を受けるの?」

「染谷からの罠かもしれへんぞ」

 キッドとルシファーの決闘の詳細は、彼ら二人だけの一対一の勝負で、時刻は今から3時間後の午前0時。


 だが神聖な決闘の場を横入りされる危険性も考えてか、アリスもツッチーも心配になり、同行しようと思ったが……


「悪いけど加勢とか無粋な事は止めろ。ルシファーは後ろから狙われる事が嫌いな奴だ、正々堂々としてる奴に水を指すような事はアイツが許さねぇだろ」

「で、でも……」



「―――これは、ゲーム戦士としての誇り(プライド)の問題だ。プロゲーマーとして、粋がってるブラックサンダーに鉛食わせねぇとな!」


 これが、銃を携えるゲーム戦士の拘りなのでしょうか。


 赤いサラマンダーのキャップを被った顔の下には、底知れない熱意を迸らせた眼が、前方一線を見つめていた。


 ルシファーに対する感情の真意や如何に。



「…………俺っち、あんなギラギラしたキッドの眼。久々に見たな」


 〘◇Now Lording◇〙


 〔45〕〔45〕〔90〕〔45〕〔90〕〔45〕〔45〕〔45〕


 ―――数時間後の午後11時。ルシファーのルームに入る前にA.I.M.Sに起動したキッドは、単独で射撃訓練場にて孤高トレーニングを実施する。

 十八番のマグナムリボルバー『ファイアバード』を片手で構え、前方95メートル先の左右稼働型の的に目掛けて発砲中。


 拡張マガジンを装填して全8発。全弾が動く的に被弾し、そのうち2発はヘッドショットによる倍ダメージがエフェクトされた。


「……出来れば、配信じゃ使いたくなかったが―――」


 キッドは何を考えたか、マグナムに一発のみのアモを装填させ、両手に構えて狙い撃つ――――次の瞬間。



 ―――――ギュォォォオオオオオオッッッ!!!



 突如、マグナムリボルバーの銃口から発するマズルフラッシュの炎から、天翔ける焔龍の姿。

 龍の顔の形をした炎が、一直線に的に貫通したかと思えば、その枠から隅々まで燃やし尽くしていく……!


 〔225〕


 ヘッドショットを凌駕する5倍の被弾ダメージ。これが炎龍の四大精霊『サラマンダー』のPASを身に着けたキッドの底力なのか。……いや、彼の本気はこんなものでは無い。



「お前が俺を討つ気なら――――消炭になる覚悟は持っとけよ。ルシファー……!!」



 彼の脳裏には、ルシファーの待つルームのパスワード【Hypocrite《偽善者》】の文字。

『キッド』こと、火野暁斗のゲーム戦士としての矜持に火を付けた瞬間であった……!!



 〘◇To be continued...◇〙


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A.I.M.Sで登場させたい実物の名銃も、感想欄で募集します!


エレメント◇トリガーズ、次回も宜しく!!

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