【♯25】ファントム再び、チーター撲滅施策強化中!
――TIPS――
【A.I.M.S ランクマッチ基本ルール⑤】
・A.I.M.Sのフィールド内でドロップされている武器・アイテム・武器アタッチメントには『レベル』の概念が施されている。
レベルの種類は5種類、レベル1=白 レベル2=緑 レベル3=青 レベル4=黄 レベル5=赤 と色分けされていて、ドロップ時やデスボックスに保管されている際はその色で見分けられるようになっている。
――善人を理不尽に泣かせたならば、或いは年頃のお嬢さん達の頼みとあらばエンヤコラ。
キッドら四人、エレメント◇トリガーズは響波姉妹の孤児院の院長を喰らった【プレデター】を討伐すべく、今日も勇んでA.I.M.Sのランクマッチに挑む。
ライブ配信から、そんな院長の仇である【プレデター】が実際にトリガーズのマッチに鉢合わせた事をログで確認し、キッドは奴の撃破を動画内で確かに約束した。
その様子を、別のノートパソコンで視聴していた響波姉妹は。
「頑張ってキッドさ〜ん! あ、そうだ。あたしもチャットで応援してやろうっと」
天音が動画のスクロールするチャット欄を巻き込むように、キッドの元へと応援コメントが送信される。
〘キッドさん、孤児院の皆の仇を取って〜〜! 応援してますッッ!!〙
そのコメントの中には『AMANE』と書かれていた。キッドも単独で周囲を警戒しながらも、そのコメントを拾っていく。
『任せなさい。信じる者は救われる、神エイムとトリガーズってな』
「キャーッ! キッドさんが返してくれた☆」
ちゃっかりなキッドの陽気な返事を、動画越しで返された天音は大はしゃぎ。
「キッドさんも他の三人も、アバターカスタマイズでパワーアップしてるみたいだし、【プレデター】なんてちょいちょいって倒せるよ! ね、琴音?」
「アリス様まだですかー?」
「ホントに、何で地底の人たちばっかり虐められるのかなー、琴音??」
「アリス様まだですかー!?」
「…………紅茶淹」
「アリス様まだーーーー!!?」
(全然聞いちゃいねぇ……)
〘◇Now Lording◇〙
それでは、アリスに惚の字になっている琴音のリクエストにお応えして。
別行動を取っているキッドとは別に、ファイアウォール縮小時に備えて、フィールドの中央付近にて見張りながら移動するハリアー、アリス、ツッチーの姿が。
「あら、彼処にデスボックスがあるわ」
長距離スナイパーライフル『ロングシューター』に装着された8倍スコープを覗くアリス。
指し示す方向、空中都市の人工芝で覆われた40m先の平野に、ポツンと撃破されたプレイヤーの物資が入った『デスボックス』が。
「取りに行きたいけど、無闇に近寄ったら撃たれちゃうわ」
迂闊な行動は大きな失敗を招く。FPSに置けるチーム戦での単独行動は、キッドのような自信がある者以外がやると、あっという間に敗北を招いてしまう。
「……アリスは何か欲しい物資はあるのか?」
「え、いや、長距離射撃に反動を抑制させる『スタビライザーバレル』があればと思って」
「じゃ、俺っちが取りに行く。お嬢ちゃんはそこで待ってな」
と、ここで名乗り出たのはハリアー。その姿は華奢なボディに深緑の長袖ジャケットとズボン、そして緑のマフラーを首に巻いた近代型怪盗の姿であった!
◇――――――――――――――――――――◇
・HARRIER: Pレベル:35
・アバター装備によるステータス変化
・頭『ホークアイ・キャプチャー』【15秒以内に敵の行動を察知できる】
・上半身『風読みのジャケット』【弾道距離を10%上げる】
・下半身『追い風のズボン』【スプリント速度が2倍上昇】
・装飾物『新緑のマフラー』【近距離内の射撃回避率を40%アップ】
・プレイヤースキル
【ホークアイ・サーチ】【エアロジャンパー】【トリガー・ツールシステム/002】
・アルティマスキル【気まぐれな神風】
・PAS:シルフ
◇――――――――――――――――――――◇
「―――『ホークアイ・サーチ』!」
デスボックス回収前に、ハリアーは頭装備の『ホークアイ・キャプチャー』を使って持ち前のプレイヤースキル、敵探知ソナー能力を発揮して約70m内の敵を警戒し作動させるが、反応は無い。敵の気配は見当たらないと判断した。
「よーし異常無しだ、今取りに行くからな!」
立て籠もる遮蔽物から扉を開いて、水平な平野をスプリント加速で全力疾走するハリアー。
片道40mを3秒で到着したハリアーは、テキパキと手先良くデスボックスの中身を確認し、必要なものをバックパックに納めて直ぐにアリス達の元へ戻ってきた。その時間、たったの10秒!!
「あったぜ、スタビライザーバレルのレベル3。それとシールド補給電池『シーセル』と治療キットも持ってきたぜ」
「すごーい! ハリアー、韋駄天みたいだったよ」
「ハリアーは元から脚速かったからな。スプリンターに特化したカスタマイズにしといて良かったわ」
これもツッチー御手性のカスタマイズ装備の恩恵か、空気抵抗もPASのシルフの力で風を受け流すハリアーの個性に特化した怪盗衣装。こんな事にも使えるんですねぇ。
早速持ってきてくれた『スタビライザーバレル』を、ライフルの銃口の中に装着するアリス。これによって発射炎の抑制や、遠距離射撃による反動のブレも抑えることが出来るのだ。
――――ピリリリリ! ピリリリリ!
と、突如静かな戦場に鳴り響く三人の携帯端末のメール音。これがゲーム中に受信されたということは。
「来たな、久々のミッション!」
急いで三人は、送られたミッション内容の書かれたメールを開く。
□――――――――――――――――――□
【A.I.M.S ミッション】
・これよりアトランティカ全域に
プレイヤー殲滅ロボット『ファントム』を
50体出現させた。
・彼らは強固な装甲と強力武器を手に
プレイヤーを攻撃する。
様々な手段を用いて撃破せよ。
・尚今回のマッチの『ファントム』は従来の機体より遥かに強化されたものを投下するため、
撃破した者には賞金3000Mと、レベル4以上の装備・武器をランダムに獲得できる。
□――――――――――――――――――□
何と、トリガーズの初陣戦にて出現したプレイヤー殲滅ロボット『ファントム』が、今度は空中都市に投入されるという。彼らにとっては二度目の対峙だが……?
「ちょっと待って。何よこの『従来の機体より遥かに強化された』って」
「それに撃破報酬も豪華になってやんの」
「多分あれや、こないだのファントム投下で全く【プレデター】討伐に活かせんかったから、運営が強化させたんやろ。あっちが施策やらんかったらヒンシュク買うだけやし」
ゲームを運営する側の貢献にはシビアにクールなツッチー。
とはいえ、様子を伺うに既にフィールド内にファントムが出現した事を示唆したようで、心配になったハリアーが遠方のキッドに無線で連絡する。
「―――キッド、さっきのメール見たか?」
『あぁ見た。ファントム強化されたんだってな』
「お前一人だろ、【プレデター】出てる話は分かったからそろそろ俺っち達と合流しようぜ」
『………あー、その事なんだが。もしかしたら向かったら巻き込まれるかもしれねぇ』
「巻き込む? 何を言って――――」
――――ピィィィィィッッ、バゥゥン!!
突如、無線から鳴り響いた甲高いレーザーの発射音。そしてそれに直撃して破裂したような不吉な音が三人の顔色を青ざめた。
「………………キッド、お前まさか」
『強化ファントム5体分、取り囲まれた!!』
単独行動は敗因の元か、レーザー音から連想されるファントムの強化とは一体何か!? キッド、早期退場の危機迫る!!
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エレメント◇トリガーズ、次回も宜しく!!




