表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日から使える異世界ライフハック  作者: 白生荼汰


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/58

里芋と芋がらと土魔法

 朝食を終え、裏の畑で絵を描く。

 ここから見えるとんでもない大木を描いてみたくなったからだ。

 樹齢何百年なんだろう。

 軽いスケッチをしていたらお腹が空いたので、おむすびとお茶でお昼にする。魔法瓶て偉大よね。朝淹れたお茶がまだ温かいんだから。

 天ぷらそばを炊き込んだおむすびとお茶の取り合わせって、天茶っぽい。そういえば、天むすなんてのもあった。フェルバイデン領には海もあるそうだけど、海老はいるのかな。魚も干した物くらいしか流通していないようなのに、海老は難しいか。食べたければ現地に行かなきゃいけないかな。

 一息ついてふと畑に目を向ける。

 コロポックルの傘みたいな葉っぱが一部枯れかけている。

「この下に小人がいたりして」

 気まぐれに折り取ろうとぐっと引っ張ってみたら、その下からゴロゴロ土塊が出てきた。

「うわっ、これ里芋か」

 面白い形をした葉っぱだから、鑑賞用かと思ってた。

 何度か絵に描いたことがあるから、知識としてはこれが里芋の葉だと知っていたはずなのに、現実と結びついていなかった。

 腰を屈めて転がり出た芋を拾う。

「あいたたたた」

 まだ治らない筋肉痛でしゃがむのが辛い。

 しかも掘りたての里芋は土だか芋だかわからない。

「もう。この場で水洗いしちゃう?」

 里芋はよく土付きで売ってるから、ごぼうなんかと一緒で乾燥に弱いんだろう。洗っちゃうと日持ちしなくなりそう。

「水魔法みたいに、土とその他が感じ取れればな」

 水はだいぶできるようになってきたのよ。

 水と、水に溶け込んだ異物の判別。

 異物の種類が多すぎて、例えば塩水から塩だけ取り出す、みたいなことはできないけど、異物ごと操作はできるようになった。

 同じように、土とそれ以外を感じとれれば……。

「……ん? できるな」

 正確には魔力の通りやすいものと、通りにくいものを判別できて、転がってる塊には魔力の通りやすいものと中に魔力の通りにくいものを抱えた塊がある。

 その魔力が通りにくいものが芋なのだ。

「これとこれが芋で、こっちは土の塊。……ビンゴ、合ってるわ。なるほどなー」

 微生物や虫もいるだろうけど、多分芋は生きていて、ある程度のサイズがある生きているものには魔力が通りにくい。

 だから土塊と里芋の区別が付くんだと思う。

「水みたいに土を動かせれば、鍬もシャベルもいらないよね」

 思いついて、目の前の里芋に鍬を振るうイメージをする。

 もちろん自分で鍬を振った時みたいにヘロヘロした動きじゃなく、深くまで差し込み、ボコっと耕すイメージだ。

「あ、イケるかも」

 土は深くまで掘り返され、植えられていた芋を地中から吐き出した。

「あ、イケるイケる」

 調子に乗ってザクザクとすっかり里芋が植えられた一角を掘り返したわたしは、我に返って頭を抱えた。

「筋肉痛だって言ってるじゃーん」

 なんという人間耕運機。

 ひっくり返した土の上にはゴロゴロと里芋が転がっている。

 予定にない農作業をしてしまったわたしは、すごすごとスケッチセットを片付け、筋肉痛に悲鳴を上げつつ、掘った里芋を拾い集めた。

 いや、こんなに食べられないよ。

 とりあえず、芋だけは大根とにんじんの並びに埋め、様子を見ることにする。

 上手く保存できるといいな。

 土魔法を覚えたおかげで、穴を掘るのも埋めるのも楽になって助かった。

 里芋も茎は食べられるんだったよね。

 戦国時代の兵糧であったという、干した芋がらに味噌汁を染み込ませた芋がら縄は、里芋の茎で出来ていたはず。

 里芋の茎も柔らかそうなヤツを選んで集める。

 硬そうなヤツは深く埋めちゃえ。

 土魔法いきなり便利。

 さつまいもの茎と処理は同じでいいのかな?

 あとで干すことを考えて、おばあちゃんの遺産にあった炊き出し用っぽい鍋をアク抜きに使う。

 とりま、同じように塩をまぶして暫くおいて、皮を剥いて水に浸す、ってやってたら、さつまいもの茎なんか目じゃないくらいゆびが真っ黒になった。

 ひぇえええ。

 そういえば、ゴボウやレンコンを白く仕上げたい時、アク抜きの水に酢を入れるよね。コレはソレが必要なヤツでは……?

 改めて剥き終えた分も合わせて酢水に漬け直し、せっせと皮を剥いて……アク抜きってどのくらいすればいいんだろう。

 とりあえず一時間程漬けて、それから茹でる。念の為、茹で水にもお酢を入れた。これ、アク抜きだけならクエン酸でも良かったのでは? クエン酸ならおばあちゃんの遺産にもあった。

 調味酢、予備の開けてないやつもあるけど、こっちに来てガンガン使ってるから、ケチれるとこではケチりたい。こっち産の調味料もそのうち試してみないとな。

 なんとなく茹で上がったら、再度水に漬ける。

 酢で茹でたから酸っぱいの残りそうじゃん。

 冷めたところで一本齧ってみたら、少し喉がイガイガした。

 これまだアクが残ってるヤツでは?

 水を取り替えてそのまま放置。

 気がつけば日が暮れていて、夕食の時間だ。

 もう色々と面倒になって、茹でたジャガイモに塩振って食べる。あとベーコン。焼きながらって音と香りも美味しいし、滲んだ脂をジャガイモに吸わせても美味しい。茹でたジャガイモにベーコンとビールってドイツ人ぽい。

 ジャガイモとベーコンと玉ねぎがあるなら、ジャーマンポテトが出来るな、って思ったけど、今日は面倒臭いからやんない。マヨネーズもあるし、もっと面倒だけど、ポテトサラダも出来てしまう。

 どんなに手を洗ってもアクの染みついた指先はまっくろで落ちやしない。

 お風呂に入って髪を洗っても、わたしの指先は黒いままだった。

いつも読んでいただきありがとうございます。

ブックマークや★★★★★、レビュー等で応援してもらえると嬉しいです。


どうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ