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act,6_友人役Aの難敵・弐

短いです。ミッチー視点。その後楓ちゃんのフラグ事情。



『さっきから浮かべている薄っぺらい笑顔』

『でも、成程。これは確かに気持ち悪い』

 ――誰にも、気付かれなかったのに。



「いやー! よかったね、藍ちゃん。殺されなくて」

「うん……。一時はどうなるかと思ったけど……」



 藍ちゃんは、ほっと息を吐く。

 俺ら超能力者が〝理科準備室〟と称する隠し部屋。そこは防音設定されており、誰にも話が聞かれないからと設置された。誰にもばれないと思われていたのに、小田桐藍那という例外が出来たのは、仲間である夢移が眠っていた棺桶の中に入っていたからだった。


 夢移が閉じこもったのは三か月前。杠に晴れて入学し、これから俺らと生徒会か風紀に入って活動しようと思っていた矢先。元仲間だった白銀(しらがね)ってやつに裏切られた。夢移の力を一般人に広め、今まで好意しか持たなかったやつを化け物扱い。能力関係者じゃない親友は離れて行った。元から心の弱い夢移だったから、それきり自分の〝夢〟に入って、起きてこなかった。植物状態などではなく、あくまで力で眠っているため体は大丈夫だったんだけど――。



「どこに行っちゃったんだろうねえ……」

「夢移くん、のこと?」

「そ」



 じっとしていられなかったのか、それとも――逃げたかったのか。いつもは便利だと思う力も、本人を目の前にしか使えないのだと、かなり小さいものに思えてくる。

 果たして、長く眠ったことで傷が癒えているのか。心配だ。

 それでも、藍ちゃんに教えられてすぐ探しに行ったのに見つからなかったのだから、もしかしたらまた新しいところで、夢の中に入っているかもしれない。見つけた人が優しければいいけど。



「――満くん、大丈夫?」



 声をかけられて、ハッとなる。



「大丈夫大丈夫! 夢移もその内一人で帰ってくるでしょ!」

「――大丈夫じゃないじゃない」



 疑うような視線は、しかし言葉は疑問文ではない。

 少しだけ泣きそうな目で、藍ちゃんが訴えかけてきた。



「無理に笑おうとしないで、気持ち悪い。その薄っぺらい笑顔を張り付けるくらいなら、仲間が見つからないのを素直に落ち込んだ方がいいわ」



 まるで心の内側をさらけ出されているような、違和感。真っ直ぐな目とその言葉に、ああ、あの子と同じことを言うんだな、と。

 ――椎名楓。赤いリボンの似合う、可愛い子。

 初めは火八馬が女子を連れ動くなんて珍しいな、と思って声をかけた。少し強引でも、誘ったら顔のお陰か案の定、二つ返事で肯定。だから、いつもどうり笑顔で話しかけた時、心の声を聞いて驚いた。


『さっきから浮かべている薄っぺらい笑顔』

『でも、成程。これは確かに気持ち悪い』

 罵詈雑言を並べて、また何で気付かないんだろう、とまで思っている。



「……ばれてないつもりだったんだけどなー」

「え? 結構分かりやすいと思うけど」

「え、あ、そう?」

「うん」



 思考に呟いたつもりが、隣の藍ちゃんが返事して驚いた。

 そういえば、今は藍ちゃんと話してるんだった。



「そういえば藍ちゃん」

「何?」

「楓ちゃんと同じクラスだったよね?」

「うん、……そうだけど」



 ニンマリ。いつもとは違う笑い方をしてみる。



「え、え? 満くん? 何、その笑顔は?」



 ポン、と藍ちゃんの肩に手を置く。分かりやすく跳ねた肩。



「ちょっと、悪戯してみようか!」





 

「ただいまー」


 そう告げながら階段を上がり、自分の部屋へと帰って行く。制服を脱ぎ終わってカツラを取ると、すぐさまベッドにダイブ。イメチェン初日。ヒロインの転入二日目。草薙とか金坂とか草薙とか金坂とかうざかったけど、一応イケメンだし、今朝紅くんが可愛かったので許す。放課後生徒会の集まりがあって、一緒に帰れなくなったらしい、あの時のしょんぼりした時も可愛かった。流石ツンデレわんこ。暴愛系だとは思えない可愛さ。


 ちなみに紅くんのヤンデレ型は、暴愛系服従ルートである。監禁はしないが、自分以外の人と話したら殴られる。一人で外に行こうとしたら殴られる。自分の言うことを聞かないと殴られる。つまり殴られ三昧なのだ。ある意味子供のような俺様で、自分の思い通りに動かなかったら、自分の素直になれない性格ゆえ、自分から離れるようなことがあれば罰として殴る、ということだ。執着っぽい。


「あ、そうだ。グラフ」


 ハンガーでかけたスカートから、フラグ携帯を取り出す。白色の携帯に汚れは一つもついていない。今取り出されたかのような綺麗さ。何だか、こっちは疲れているのに、イラッとくるよね!

 開いて、まずは死亡グラフを出す。ふむふむ、〝火八馬紅貴 1〟とな?


 ――――――え?


 驚いて二度見する。そこには確かに、火八馬紅貴のグラフに、1と書かれていた。これは……、なるほど、言われてみれば、今日はヒロインが初めて攻略対象全員と会う日じゃないか。もう死亡フラグを立てているのか……。あれ? ヤンデレグラフと死亡グラフは、何が違うんだ?

 もしかして――死亡グラフだけ、僕のことを表してるとかないよね!?

 ………………いやいやいや、いや、いや。……え、まじで?


「じゃあ僕、紅くんに殺されるの!? どうして!?」


 何やっちゃってるの、ヒロイン。既にバットエンドを開始とか、正規のヒロインのくせに、何してるのさ!? さっさとハッピーエンド迎えてよ! それはハーレムエンドを!  されるのは誰だと思ってんの? 僕だよ? しかも幼馴染にだよ? ふざけろアホー!


「…………」


 暴走はしてしまったが、叫んで立ってしまったフラグ(もの)が消えるわけではないので、沈黙。死亡グラフは、紅くん以外誰も立っていないし、まだ1ぐらいだから、これから挽回できる、――はず。てか、そうじゃないと死ぬから困る。

 次は溺愛フラグを開く。一つ、グラフが立っている。立っているのは、金坂満のグラフだ。〝金坂満〟と書かれたグラフに、3と書かれている。ふむふむ、3か。まあまあだけど、初対面にしては凄いよね、ヒロイン。だが、他にはフラグが立っていない。残念。


「って、紅くんに溺愛フラグ立ってないのに、どうして僕が殺されちゃうの?」


 僕が殺されちゃうのは、ヒロインに関係ないってこと? 何それ超理不尽。僕、紅くんに何かやっちゃったかなあ。殺されるほどの何か。取り敢えず明日、謝っておこう。

 最期にヤンデレフラグを開ける。ふむふむ、――なんじゃこら。滅茶苦茶ビンビンに立ってますよ、奥さん(いや、そんな人いないけど)。しかも、紅くんところに。

〝火八馬紅貴 15〟

 いや、立ちすぎでしょ、フラグ。何、ヒロインにはそんなに魅力があったのか。15とか。金坂には3なのに。他の人なんか、まだ1も立ってないのに。15とか。でも死亡フラグはそんなにないみたいだし……、まあいいか。僕に関係ないなら、考えるのはよそう。


「それにしても紅くん……」


 暴愛はいいけど、幼馴染にくらいは手加減してくれよ?



いろんな意味でロックオン☆実はばれているというww

次からはちゃんとした楓ちゃん視点です

白銀くんは名前だけの予定。登場人物多すぎるからww

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