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私、ニセモノ令嬢から帝国皇子の愛され侍女になったようです  作者: 奏多


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34 皇太后が明かす過去設定

「聖女への、執着……ですか?」


 とんでもない話が飛び込んで来た。

 聞き返してしまった私に、皇太后が言う。


「あなたはレゼクが騎士の能力を持っていることを知っていますよね? 今まで、こうして二人だけで話すことがなかったので、言えませんでしたが」


「はい……その」


 あれ。私がそれを知った経緯は、皇太后って知ってるのかな?

 戸惑っていると、察したようだ。


「あなたの秘密も、聞かされています。私も、侍女として帝宮へ連れて来ることを心配していましたが……。そのままにしていても、いつか見つけ出して酷い思いをするよりは、と思ったのです」


 なるほど、全て知っているならと思って私は言った。


「帝国は、まだ聖女を探しているのですか?」


 皇太后はうなずきながら言った。


「おそらくは。そして聖女の血族が、ヴァール王国にしかいないと思いつつも、まだ望みを捨てきれずにいる。我が息子もその一人……」


 一度言葉を切って、皇太后は付け足した。


「けれど現皇帝アドリアンの場合は、そう言い聞かせられたせいなんでしょうね。そうすることが帝国のためになると。思慮に欠ける子なので、その言葉を忘れられずにいるのでしょう。認めてほしい相手は、もうこの世にいないのですけどね」


 皇帝が妄信しているのは、亡き父親ということ?

 でもそういう関係は、男であれ女であれ、ままあるものだと思う。

 お母さんが昔からこう言ってた、お父さんにこう言われていたから正しいはず、で行動する人は案外多い。

 たいていは子供が失敗しないようにという親心からの物だし、本人のためになることもあるんだけど。

 皇帝の場合はなぁ……。


「この国は、どうしてそこまで聖女を欲しがるのでしょう?」


 肝心の動機がわからない。

 単純に、国を大きくするため利用したい、というだけなのかもしれないけど。

 何年も、何代もの皇帝が同じ目標を抱き続けるというのも、妙な感じがしていた。


「そうね。他国を侵略しようとするのは、聖女や騎士を探すためでもあるんでしょう。ランヴェール帝国は、聖者に捨てられた国だから」


「捨てられた……ですか?」


 皇太后は小さく笑う。


「昔から皇族にのみ伝わる、話があるのです。元は、ランヴェール帝国を建国したのは時の皇帝ではなく、聖者であったと」


「建国者が、聖者……」


 驚いた。

 でも、考えてみればそうであってもおかしくはないのだ。

 人の心を操って統率する力。

 それがあれば、国を作ることもできるだろう。


 その聖者から移譲されて、皇帝になって統治し始めた初代か、その後の代の皇帝が、なにかやらかしてしまったのかもしれない。

 皇太后がその答えをくれた。


「皇帝になった初代は良かったみたいですけれど、やはり次の代からは、自分こそが皇帝なのにという気持ちを強く持ってしまったの。そうして、聖者の子孫達を奴隷のように扱おうとして、彼らは逃げてしまった」


 その後、帝国は分裂し今に至るのだと、皇太后は語る。


「その事情を聞いた皇帝達は、みんな聖者や聖女を探し始めるようです。最初は、いつか自分達を滅ぼすのではないかと思って。そのうちに時が経つと、元の領土を取り戻すために利用しようとするようになりました。力ある道具のように思うのでしょう」


「だから、帝国は聖女を探すのですね」


 皇太后はうなずいた。


「でも、六十数年前の戦争で、ヴァール王国に聖女達は根付いた。それ以降の皇帝達は、対抗しつつも取り戻すために……聖女の血族よりは人数が多い、騎士を探しそうとし始めたの」


「え? 騎士ですか? でもそれでは、ヴァール王国が聖女の血族とつながっていた場合、言うことを聞いてしまうようになるのでは」


 聖女の血族を取り戻すのと、皇族が騎士の血族になることが繋がらない。

 なんで?

 私が首をかしげていると、皇太后が渋い表情で言う。


「どうやら……聖女のような力を騎士にも与えられる技があるようなのです」


 私は目を見開いた。


「え、騎士を聖女に? そんなことできるんでしょうか?」


「私は目撃したわけではないのよ。でも、私の母はそれを見ていた。ヴァール王国との戦いで、先々代の皇帝はそれを実行できてしまったことを」


 六十年前のヴァールとの戦争。

 そこで聖女と対抗したのは、帝国の聖者だったはずなのに。


「まさか、ヴァール王国の聖女と戦ったっていう帝国の聖者は……」


「元々は騎士だったそうよ」


 まさに、青天の霹靂。

 予想外の話が出て来てしまった。


(そんな話、設定にもなかったんですけどおおおお?)


 ゲームを一周しただけでも、さすがに重要な部分は覚えている。

 ここがゲームの世界だとわかってから、ずっと記憶を反芻したり、書いて思い出したり、考察したりしてきたから。


 もちろん、私が知らない事実があるのは承知していたけど。

 でも、まさかそんな重要ポイントがゲームで語られてなかったとは。


「あの、どうやってそんなことができたんでしょう?」


 騎士と聖女じゃ、性質が違いすぎる。

 騎士は人の精神を操れない。

 その魔法を覚えられない存在だとしたら、壁をどうやって破ったのか。


「それが、皇帝のみに伝えられているので私にはわかりません。レゼクはまだ伝えられていないそうです」


 皇太后は息をついて続けた。


「私とレゼクは、それを突き止めようとしています。そして今回のカール・デアーク小伯爵の件を聞いて……確信しました」


 私はつばを飲み込む。

 皇太后はまっすぐに私を見て言った。


「おそらく皇帝は、ウルスラ妃にその秘密を明かしていると思います」

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