西首塚での対戦 陸
ふと、私は相手側が気になりちらりと様子を見てみる。すると、大きめの紙を中心に外人さん達が輪になって何かを見ていた。
その中心には金属のチェーンの先に四角錐のような金属を付けた物を振っていた。
えっ、ダ、ダウジング?
「ねえ、皆、あ、あっち、見て」
私は小声で促す。
「彼らダウジングみたいなのしているけど……」
「えっ、何だって!」
山科は驚いた様子で視線を送る。
「ま、マジかよ、そんなんで決めてたのかよ!」
田中も顔を強張らせる。
「そんなのじゃ読めないわよ、読める訳ないじゃない!」
輝美は小声ながら切れ気味に叫ぶ。
「どうする?」
山科は改まって聞いてきた。
「どうするって、もう時間は無いわよ、もう、そのまま行くしか……」
「わ、わかった」
躊躇いがちながら山科が布陣表を審判に手渡しに行った。もうなるようにしかならない。対戦だ。
両軍、最初の紹介時と同じように並び立つ。審判員はまた合戦の合図である法螺貝を鳴り響かせた。
「それでは本軍対本軍、第一陣の者はそれぞれ前へ!」
審判に促され此方からは本多忠勝が前へ出る。そして相手陣からはアフロヘア―でちょび髭を生やした黒人が出てくる。って全然想定と違うぞ!
「わ、儂は徳川四天王の一人、本多忠勝じゃ、いざ、お相手仕る」
ちょっと動揺がみえる形で女忠勝が名乗りを上げる。
一方の小川祐忠であろうちょび髭黒人は、リボルバー式拳銃にソードがくっ付いたような禍々しいガンブレードを身に着け、それを構え不敵な顔をしながら忠勝を見遣る。
「YO、YO、ミイハ、頭脳派ノ、テズYO! 役ハ小川祐忠ヨ、作戦ヲ練ッテルヨ、NOSハ最後ニ使ウヨ!」
ほとんど意味が解らない。よく見ると鎧も西洋鎧をあしらった勇者風なやつだった。ところでNOSってなんだ?
「それでは双方任札の提示をお願いします」
審判から声が上がる。
「儂の任札は小大名じゃ!」
忠勝は札の提示をする。
「フフフフ、ミイモ小大名ダヨ、引キ分ケダネ」
確かに任札は引き分け。だが。
「任札引き分け! 双方武具札の提示をお願いします」
審判の促しに、忠勝は弓矢隊の札を提示する。
「ワオ、YOUノNOSハ弓矢ネ、デモネ、ミイハ……」
ニヤリと笑った黒人のテズは火縄銃隊の武具札を提示してくる。
「ライフルチーム…… ネ」
「く、くっ!」
や、やられた!
「第一陣、小早川、脇坂軍の勝利です!」
審判の声が上がり、外人チームからイエーイとかイエス! とかの歓喜の声が上がる。
「マジかよ、あのダウジングで完全にこっちの布陣を読んでいるぞ」
田中が焦り気味の声を上げる。
そんな事がはたして本当にあるのだろうか?
「それでは第二陣の方々前へ」
審判から促しの声が上がる。
そうか、私か、私の番か?
私は前へ出る。相手方はまた黒人の外人だった。こんどのは一回りデカくムキムキでスキンヘッドだった。
鎧はファンタジーのドラゴンメイル風、武器は先程の黒人と一緒で禍々しいガンブレード。兜だけは和風で小脇に抱えている。
というか完全に予想外の布陣だぞ。
「俺ハ、ローマン、ローマン・スピアーズダ。オ前、ロームヲ知ッテイルカ?」
「えっ、知りませんけど」
知る訳ねえだろ、個人名なんて。
「ナ、ナラ、俺ノ役ハ、クッキーダ。クッキーハ知ッテイルカ?」
「クッキーじゃなくてクツキですよね? ……クツキは知っていますよ、北近江の朽木氏ですよね」
「チッ、何デ、ローマン・スピアーズヲ知ラネエデ、クッキーハ知ッテイルンダ!」
ローマンは妙にムキになる。何か怖い。
「負ケネエ、俺ハ負ケネエ、俺ハ務所ニハ戻リタクネエ!」
務所? い、一体何をしたんだコイツ。銃でもぶっ放したのか?
私は何やら解らなり恐怖心が増していく。
「私は山内一豊でス。ヨロシク」
緊張から、なんかカタコトだ。
「では双方任札を!」
私は中大名の札を出す。どうだ?
「ハハッ、俺モ、ミドルダ、ミドル大名ダヨ、セイムダネ……」
引き分けだ。
「任札引き分け! 続いて双方武具札をお願いします!」
「私は、防護札の馬防柵です」
審判員の促しに応じて私は提示する。
「ハハッ、俺ノNOSハボーアンドアローカードダ! 俺ノ勝チダ! イィィィィィィィーハッ! アハハハハハハ!」
「ま、負けた…… 負けてしまったのか……」
彼らの歓喜の声の中、私はがっくり肩を落とす。
「あ、あの、NOSとは一体?」
訳が解らなくなっている私は質問してみる。
「オウ、NOSハ、ナイトラス オキサイド システムダゼ! 車ガ爆発的ニ速クナル特殊武器ダゼ!」
えっ 車……? 何、車って、何にも関係ないじゃん……。
「は、はあ…… 教えて頂きありがとうございます」
私は頭を下げ静々と自陣に戻る。なぜ車が出てくるのだろう……。




