第93話 「血の証拠を消せ」裏社会の依頼を【クリーン】で一瞬で処理する
3話更新の2話目です
リュウ・ロンは、SPによって報酬が二億に値切られたことに憤慨していたが、すぐに表情を切り替えた。
「よかろう。報酬のことは、後で仕切り直す。だが、貴様の力を見せてもらう」
彼は、テーブルの上に、一枚の写真を見せた。
そこには、床一面に広がる、おびただしい量の血液と、散乱した遺留品が写っている。
「これは、我々の裏の仕事だ。証拠はすべて消去しなければならない。通常の清掃業者では不可能だ」
「なるほど。汚物処理の依頼、ですね」
俺は写真を見ても顔色一つ変えない。
リサも横で無言だ。彼女にとっては、慣れた風景なのだろう。
「ターゲットは、数時間後には警察が突入する廃工場だ。痕跡を完全に消し去ってほしい。もちろん、報酬は別途支払う。どうだ、佐藤様」
リュウ・ロンは挑戦的な目をしている。
殺人現場の処理。一般の清掃業者は拒否する、最も「汚い」仕事だ。
「楽勝ですよ。――リサ、行くぞ」
「Yes, Master」
俺たちはリュウ・ロンに座標を教えてもらい、廃工場へとテレポートした。
そこは、想像以上に凄惨な現場だった。
「ひどいな。壁も床も、血の汚れが染み込んでいる」
俺は鼻をつまんだ。
俺の【クリーン】は、普通の汚れだけではない。「不正な情報」も浄化できる。
そして、この現場に残された「痕跡」や「証拠」もまた、**世界を混乱させる『汚い情報』**だ。
俺は両手を広げた。
「――【クリーン】、完全浄化」
白い光が、廃工場全体を包み込んだ。
床や壁に染み付いていた血液の分子、指紋、遺留品の痕跡、そして空気中に漂う火薬のニオイまでが、光とともに一瞬で消滅した。
廃工場は、まるで新築時のように、チリ一つないクリーンな空間に戻った。
「よし。これで誰も、ここで何が起きたか知ることはない」
任務完了。俺たちはさっさとテレポートで帰宅した。
リュウ・ロンには、リサが「掃除完了」のメッセージを送った。
その後、警察が突入した廃工場が「あまりに綺麗すぎて不審」と逆に話題になったが、事件は迷宮入りとなった。
裏社会のドンは、俺の力の「便利さ」と「恐ろしさ」を骨身に染みて理解したのだった。
(続く)
裏社会の「汚い仕事」も、主人公の【クリーン】にとっては楽勝でした。
現場の痕跡を完全に消し去ることで、裏社会のパイプを完全に掌握します。
これで、リュウ・ロンは金銭的な報酬ではなく、主人公の「サービス」そのものに依存することに。
次回、裏社会から得た巨額な報酬の使い道。
豪邸地下に、俺だけの究極の娯楽施設を増築します!




