第91話 今度は「武力」ではなく「取引」!謎の海外組織が接触を試みる
3話更新の3話目です
疲労回復キャンディで西園寺さんを骨抜きにした翌日。
俺はリビングで、リュウの背中を掻いてやっていた。
『うむ、サトウのブラッシングは天下一品じゃ。この背中が痒いのが治るとは』
そこへ、リサがタブレットを持って報告に来た。
「Master。新たな侵入者の魔力反応を確認。ただし、今回は『侵入』ではありません。『面会要求』です」
モニターに映っていたのは、黒塗りの超高級車に乗った、一人の初老の東洋人男性。
彼の背後には、屈強なボディガードが数名立っている。
前回までのような「殺意」はない。だが、「交渉」の圧力が尋常ではない。
「彼は、世界的な資源流通企業『カイザー・インダストリー』のアジア統括責任者です。裏では、様々なマフィアや組織と繋がっていると言われています」
「へぇ。ヤバそうな人だな」
マーリンお爺ちゃんが唸った。
「主殿、この男は危険だぞ。金と権力を武器に、世界中の資源を牛耳っておる」
「彼らが何の用でしょうね。汚物処理の依頼ですか?」
俺が首を傾げていると、リサが彼のスマホから盗聴した会話を再生した。
『――あの狐仮面は、我々と同じ「商売人」だ。武力は無駄。金とチートな素材、そして、我々の持つ**「異世界の情報」**で取引を持ちかける』
どうやら、彼らは俺の清掃能力ではなく、**素材製造能力**に目をつけたらしい。
そして、その手には、俺が知らない「異世界の情報」がある。
「チートアイテムの製造技術を、情報と引き換えに売れ、ということですか」
俺は面白くなってきた。
悪徳業者の次は、世界の裏を牛耳る「資本の怪物」との交渉か。
俺の平穏は乱されるが、新しい素材や知識を手に入れるチャンスでもある。
「Master、どうしますか? 拒否しますか?」
「いや、受けて立とう。ただし、ウチのやり方でな」
俺はリサに指示した。
「庭にテントでも立てて、そこで会おう。あと、ビビを連れてきてくれ」
「ビビ? 貧乏神を?」
「ああ。相手は金と欲にまみれている。ビビの『値切りスキル』が、最高の外交カードになるはずだ」
俺は、金と権力にまみれた「資本の汚れ」を掃除する準備を始めた。
(続く)
神の刺客は尽きません。今回は「資本」の怪物との交渉です。
最強の交渉役は、意外にもビビ(元貧乏神)の「強制値引きスキル」!?
ビジネスの汚れを、掃除屋がどう処理するのかご期待ください。
次回、ビートたけし……ではなく、異世界版の「世界のキタノ」と対面です!




