第88話 【クリーン】の超広範囲展開!難病と化した汚泥フロアを「清浄化」してチームを救出
3話更新の3話目です
俺は西園寺さんと共に、難易度Sダンジョンの最深部にある**「黒い汚泥フロア」**にテレポートした。
周囲は粘性の高い黒い泥に覆われ、魔力の流れが完全に阻害されている。
「うっ……! この汚泥、空気が腐ってる!」
西園寺さんが鼻を押さえる。
汚泥は生き物のように蠢き、腐敗した魔力を放出していた。
そのフロアの中心で、精鋭チームは最後の抵抗を続けていた。
「佐藤様、彼らが限界です! お願いします!」
「分かりましたよ」
俺は、汚泥の沼に向かって、手を広げた。
イメージするのは、このフロアを**「傷つく前の、魔力的に清浄な状態」**に戻すこと。
「――【クリーン】、広範囲浄化」
ドオオオオオオン!
一瞬、フロア全体が純白の光に包まれた。
黒い汚泥が、まるで時間が逆戻りするかのように、サラサラの泥になり、そして**澄んだ水へと還元**されていく。
「な……!? 汚泥が、消えた?」
西園寺さんは、あまりの光景に言葉を失った。
数百メートル四方の「黒い汚泥フロア」は、たった一発の【クリーン】で、清らかな水が流れる普通のダンジョンフロアに変わったのだ。
「フッ……。所詮は**汚れ**だ。俺の【クリーン】の前では、どんな猛毒も存在できない」
汚泥の腐食性によって、救助チームが閉じ込められていた岩壁も崩壊寸前だったが、彼ら全員が汚泥が消えたことで、無傷で脱出できた。
「あ、ありがとうございました! あなたが、ダンジョン庁の秘密兵器……!」
救助チームのリーダーが、俺に向かって深々と頭を下げた。
彼らは、自分たちが救われたのが、最強の攻撃魔法ではなく**「掃除魔法」**だったとは夢にも思っていないだろう。
「報酬は、汚泥のサンプルを少しもらうことで結構です」
俺は汚泥が純水になる直前の成分を少しだけ【アイテムボックス】に回収した。
この魔力の「汚れ」は、きっと何かの役に立つはずだ。
任務完了。俺は西園寺さんを置き去りにして、さっさとテレポートで自宅に帰った。
スズが作ってくれた、獲れたての魚の煮付けが待っているのだ。
(続く)
「黒い汚泥」という最悪の汚れを、一瞬で浄化しました!
【クリーン】はどんなチートスキルよりも最強の掃除魔法です。
次回、回収した汚泥のサンプルが、意外な用途に化けます!




