第87話 西園寺からの緊急要請!難易度Sダンジョン「黒い汚泥フロア」の絶望的状況
3話更新の2話目です
アイリさんが料理に熱中し始めた頃、俺のチートスマホが鳴った。
相手は防衛省の西園寺さんだ。
「佐藤様、緊急事態です。すぐに力を貸していただきたい」
声は焦っている。
聞けば、難易度Sクラスのダンジョン**『煉獄の深穴』**で事故が起きたらしい。
最深部近くにある、通称**「黒い汚泥フロア」**。
「日本の精鋭探索チームが、そのフロアで身動きが取れなくなりました。汚泥がチームの進路を塞ぎ、魔力も阻害され、テレポートもできません!」
「汚泥、ですか」
俺は興味が湧いた。
それは、ただの泥ではないだろう。ダンジョンが生み出した、魔法的な**「汚れ」**のはずだ。
「はい。その汚泥は、触れたものを腐食させ、数時間で人を怪物に変えてしまう猛毒性です。彼らはあと3時間しか持ちません」
「3時間でチーム全員を安全に救出できる手段は、現時点ではゼロです。自衛隊の特殊部隊も救助に向かいましたが、汚泥の腐食性で装備が破壊され、撤退しました」
つまり、**絶望的**な状況だ。
政府はもう、俺のチート能力に頼るしかない。
「佐藤様、報酬はいくらでもお支払いします。どうか、あのフロアの**『汚泥をどうにかする』**ことは可能でしょうか?」
「汚泥をどうにかする、ね」
俺は笑みを浮かべた。
「簡単ですよ。だって、それは**汚れ**ですから」
「汚泥は、俺の専門分野だ。行くぞ、西園寺さん」
俺は、普段着のままで【テレポート】を発動した。
向かう先は、誰もが恐れる難関ダンジョンの深層。
そこで俺は、ただの「掃除」をするだけだ。
(続く)
最強の敵は、最強の魔王ではなく「黒い汚泥」でした。
主人公の【クリーン】が最も力を発揮するシチュエーションです。
汚泥とは、ただの泥ではなく、魔力的に「汚染された物質」と解釈します。
次回、【クリーン】によるダンジョンフロア一掃劇です!




