第85話 もう通い妻は嫌!アイドル・アイリが主人公の家に「引っ越し」を宣言します
諸事情により4話更新です
4話更新の4話目
魚拓ビジネスで数億円を稼ぎ出した俺は、リビングで平和にコーヒーを飲んでいた。
「ふふっ。主様、この家は本当に飽きませんね」
スズとリーリアが、楽しそうに家庭菜園の手入れをしている。
そこへ、アイリさんが事務所からの送迎車でやってきた。
彼女は俺を見るなり、鬼気迫る表情で詰め寄ってきた。
「佐藤さん、私、決めたから!」
「え、また新しい契約ですか?」
「違う! 私、もうこの家に引っ越す!」
驚いた。
彼女はタワーマンション住まいで、仕事も東京中心だ。
「何を言ってるんですか。仕事はどうするんですか」
「もう限界なのよ! 週に三回、あなたとスズの料理が食べられるけど、残りの四日はマネージャーが買ってきた冷たい高級弁当よ!」
彼女の不満は切実だった。
一度究極の美味を知ってしまった舌は、もう戻れない。
さらに、彼女の不満は食だけではない。
「しかもね! 帰ってもお風呂は普通の水圧だし、自分で掃除しなきゃいけないし、エアコンの効きもイマイチだし! この家は【エンチャント】で全部チートなのに、私の家はただの高級マンションよ!」
俺の家は、スズと俺の魔法で「常に清浄で完璧な環境」になっている。
一度この環境に慣れると、普通の高級マンションですら**「汚くて不便な場所」**になってしまうのだ。
「Master、アイリ様の身体から、ストレス成分が検出されました。早急に処置が必要です」
「ほら! リサも言ってるでしょ! 私、このままだと病気になる! だから、お願い!」
アイリさんは、切実な目で俺を見つめた。
「もう通いの『彼女』じゃ嫌なの。私もスズやフィアナみたいに、**この家の住人**になりたい!」
彼女の決意は固いようだ。
俺は頭をかいた。アイドルを自宅に住まわせるなんて、大問題になる。
「分かりました。ただし、条件があります。事務所を納得させてください。あと、料理は手伝うこと」
俺が渋々承諾すると、アイリさんは飛び上がって喜んだ。
「やったー! もう事務所はなんとかするわ! ありがとう佐藤さん!」
こうして、国民的アイドルは、俺の家に**「食の安寧」**を求めて、正式に家族の一員として加わることになったのだった。
(続く)
アイドル・アイリ、正式に豪邸に引っ越し!
究極の贅沢生活に慣れてしまうと、普通の高級マンションは「不便な汚部屋」になるという、現代ならではの弊害ですね。
次回、アイリの引っ越しで、またまた問題発生!?




