第82話 国民的アイドルが「専属契約」を迫ってきましたが、その内容は料理目当てでした
諸事情により4話更新です
4話更新の1話目
神が仕掛けたトラブルも解決し、再び平穏が戻った佐藤家。
リビングでは、アイリさんが真剣な顔で俺に向き合っていた。
「佐藤さん。私、決めたわ」
「何をですか?」
「私と佐藤さんの関係、もっと……『盤石』なものにしたいの」
アイリさんの頬がわずかに赤い。
周りで聞いていたスズとリサが、ピクリと反応する。
これは、まさかのアプローチか?
「具体的には、どういうことでしょう」
「……専属契約よ。私、もう佐藤さんの家の『ご飯』なしじゃ生きていけない体になっちゃったの!」
……そっちか。
アイリさんは、スズが作るダンジョン食材の料理と、俺の【クリーン】による食材の下処理が生み出す「究極の味」に、完全に胃袋を掴まれていたのだ。
「週に三回……いや、毎日でも食べたいの! だから、私の専属シェフになって!」
「いや、俺は掃除屋ですし、料理してるのはスズですよ」
俺が断ろうとすると、アイリさんは涙目になった。
「お金なら出すわ! 私の事務所の売り上げ、半分あげるから!」
「(金ならあるんだよなぁ……)」
困っていると、スズが助け舟を出した。
「アイリさん。主様をシェフにするのは無理ですが、私が作ったお弁当を『配達』することなら可能ですよ?」
「本当!?」
「はい。主様の【テレポート】と【時間停止タッパー】があれば、いつでも出来立てをお届けできます」
スズの提案に、アイリさんの顔がパァッと輝いた。
「それ! それがいいわ! 採用!」
こうして、俺は掃除屋に加えて「アイドル専属のウーバーイーツ(超高級)」という副業をさせられることになった。
まあ、報酬としてアイリさんの事務所の株を少しもらったので、損はない……か?
(続く)
アイリさんからのアプローチ(物理的欲求)。
胃袋を掴むというのは、恋愛において最強のカードですね。
主人公は配達員になりましたが、報酬が事務所の株って、もはやオーナーでは?
次回、お弁当のおかずを求めて、世界中の海へ買い出しに行きます!




