第76話 面倒なので【クリーン】で精神武装し、完璧な服装で防衛省へ向かいます
4話更新の3話目です
「Master、私がお供いたします」
リサが完璧なメイド服姿で、俺の前に跪いた。
「敵の有無に関わらず、Masterを一人で政府機関に送るわけにはいきません。完璧な秘書兼護衛として、お供させてください」
「助かるよ、リサ。頼む」
俺は普段着のTシャツを脱ぎ、クローゼットから数年前に買った高級スーツを取り出した。
久しぶりに出したせいで、少しシワが寄っている。
「うわ、シワだらけ。面倒くさい」
俺はスーツに魔力を込めた。
「――【リペア】、繊維復元」
スーツは瞬時にシワ一つない状態に戻った。さらに、その上に魔法を重ねる。
「――【エンチャント】、威圧付与」
俺のスーツは、見た目は変わらないが、触れた人間に「この人はただ者ではない」と感じさせる、強烈なオーラを放ち始めた。
次に、自分の頭に手をやった。
「よし、最後は俺の心も掃除しないと。面倒だ、行きたくない、というネガティブな気持ちは掃除屋には不要だ」
「――【クリーン】、精神清掃」
一瞬、頭の中がスッと冷たくなった。
すべての雑念や不安、面倒くささが消え去り、残ったのは**「この問題をさっさと片付けて、ソファに戻る」**という純粋な目標だけだ。
「よし、これで完璧だ。リサ、行こう」
完璧なスーツを纏い、精神武装した俺の隣を、完璧なメイドが歩く。
俺たちは玄関を出て、門の陰に隠れた。
「テレポート!」
俺たちは一瞬で、防衛省庁舎から一駅離れた場所へと移動した。
正面からテレポートすると、さすがに政府を刺激しすぎる。
「Master、さすがです。移動後のシワもゼロ。このまま面会に臨めます」
リサが俺のスーツの肩を軽く払い、満足そうに微笑んだ。
日本の最高権力に近い場所で、俺の「掃除」の流儀が、いよいよ披露される。
(続く)
防衛省の面会という面倒なイベントに向けて、主人公は生活魔法で万全の準備をしました。
【クリーン】による精神的な調整と、【エンチャント】による威圧感の付与。
これで主人公は「究極の営業マン」のような状態です。
次回、ついに防衛省の会議室へ。高官たちとの対面です!




