第75話 政府から緊急連絡!防衛省の偉い人が「東京の魔力異常」で面会を求めてきた
4話更新の2話目です
リビングで、俺は頭の上のヒヨコを撫でながら、ぼんやりとニュースを見ていた。
東京湾岸エリアで、数日前から突如として空気が澄み、原因不明の結界異常が多発しているという報道だ。
「これ、全部俺のせいなんだよな」
魔力循環システムの余波が、とうとう国のレベルで無視できない事態になっている。
その時、滅多にならない固定電話が鳴った。
ガチャン、と受話器を取る。
「はい、佐藤です」
『佐藤様でいらっしゃいますか。わたくし、**防衛省特殊事態対策局**のヤマダと申します』
電話口から聞こえてきたのは、非常に硬く、そして焦りの含まれた高官の声だった。
『単刀直入にお話しします。この度、東京エリアで観測されている「異常な魔力現象」について、ご相談させていただきたいことがあります』
「魔力現象って、なんですかね? 俺、ただの一般人ですが」
俺はとぼける。
しかし、相手は俺の能力に確信を持っているようだった。
『我々は、貴殿の自宅から半径5km圏内の魔力濃度が、世界最高レベルにあることを把握しております。そして、その魔力循環の"異常な清浄さ"が、異世界との境界を不安定にしている』
さすが、日本政府だ。監視能力は高い。
『貴殿の能力は、世界の均衡に関わるレベルです。つきましては、非公式・極秘で、**今から二時間後**に、弊省の会議室にてご面会願えませんでしょうか』
二時間後。急すぎるだろ。
リサが隣で目を細める。
「Master、危険です。罠かもしれません」
「大丈夫。罠だとしても、逃げられます」
俺が一番面倒に感じたのは、**「スーツに着替える」**ことだった。
「防衛省、ですか……面倒くさいなぁ」
『佐藤様! これは国家の危機に関わります! どうかご協力をお願いいたします!』
相手の声の焦りが本物だと分かった。
これを無視して、もし本当に結界が崩壊したら、もっと面倒なことになる。
俺は諦めて返事をした。
「分かりました。二時間後ですね。場所を教えてください」
(続く)
神からの監視を振り切り、日常に戻ったのも束の間。
今度は現実世界、日本政府からのコンタクトです。
最強の生活魔法の副作用が、ついに国家レベルの「異常事態」として認識されました。
主人公は、面倒くさいながらも、さらに面倒な事態を避けるために面会に応じます。
次回、防衛省へ向かうための「完璧な準備」をします。




