第74話 神が送り込んできたのは、チート能力を監視する「天使の雛」でした
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神の使者を追い返した翌朝。
俺はリビングで優雅にコーヒーを飲んでいた。
「ふう、やっぱり神様も、面倒なことは俺に押し付けようとするんだよな」
その時、俺の頭の上で、チーッという可愛らしい鳴き声がした。
「Master、おはようございます」
リサが俺の頭から、手のひらサイズの**光る鳥**をそっと引き離した。
全身が淡い光を放つ、小鳥のような生き物だ。目には知性が宿っているが、言語を話す代わりに、警戒すると「チー、チー!」と鳴く。
「これは……神の魔力です。おそらく、Masterの能力を監視するために送り込まれた**『監視役』**かと」
ウーナが鑑定してくれた。
神の使者は、力でダメなら、可愛らしさで攻めてきたわけだ。
「おい、神様も必死だな。こんな可愛い生き物、どうしろってんだよ」
「主様、逃がしてはいけません! 可愛い! ペットです!」
フィアナがすぐに鳥を抱きかかえる。
鳥はフィアナのポテチに興味を示し、羽をパタパタさせた。
「うむ! サトウ殿! これは掃除が不要な、**『神製のチリトリ』**だ! 常にサトウ殿の魔力に触れていることで、魔力循環の調整役になるかもしれん!」
ガイルは天使の雛に妙な役割を見出し、熱心に観察を始めた。
「Master。この生物の存在は、我々の警戒網から常に漏れます。非常に面倒です」
リサの言う通り、監視役は面倒だが、可愛い生き物を【クリーン】で消すのは気が引ける。
「まあいいか。害はないなら。――お前、『ヒヨコ』って名前にするからな。俺の頭の上に乗ってていいぞ」
俺がそう言うと、ヒヨコはチーッと一鳴きし、再び俺の頭の上に戻ってきた。
究極のスローライフに、また一つ、ささやかなトラブルが増えたのだった。
(続く)
神が送り込んできたのは、チート能力の監視役「天使の雛」でした。
無害で可愛いトラブルの種ですが、主人公は「面倒」だと処理を放棄。
そんな日常に戻った主人公の元に、現実世界からの大きなトラブルが舞い込みます。
次回、日本政府(防衛省)からの緊急連絡が入ります。




