第71話 しつこい自称転移者を【クリーン】(精神浄化)で「ただの一般人」に戻す
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俺は高橋ユウキの顔に手をかざした。
「な、なんですか、佐藤さん!?」
「あなたのその『世界を支配したい』とか、『チートを使って楽したい』という欲望。それ、心についた立派な『汚れ』ですよ」
俺は、リサの殺人衝動を消した時と同じ要領で、心の中の不純物をイメージした。
世界支配欲、金銭欲、名誉欲、そして俺への嫉妬。それらがすべて、ドス黒いヘドロのようにユウキの心を覆っている。
「――【クリーン】、精神浄化」
瞬間、俺の手から放たれた透明な光が、ユウキの顔に触れた。
ユウキは「う、うわぁぁああ!」と叫び声を上げ、その場で膝をついた。
バチバチッ……!
ユウキの体を覆っていた派手なブランド服の魔力が失われ、ただの安物の服に戻った。
彼の目からギラついた野心の光が消え、まるで風呂上がりの中学生のような、素朴で純粋な表情になった。
「あれ? ここは……」
ユウキはキョロキョロと周囲を見渡す。
豪華すぎる豪邸。完璧なメイド。目の前の俺。
「もしかして……僕、**佐藤さんという方の家**にお邪魔してたんですか? えっと、初めまして。僕、高橋ユウキと言います。あの、何しに来たんでしたっけ?」
完全に「世界を支配したい」という邪念が消え、**ただの無害な一般人**に戻っていた。
彼の異世界転移の記憶や、神から与えられた力も、すべて「汚れ」として【クリーン】が処理してしまったらしい。
「うむ。サトウ殿、見事な『魂の清掃』だ。もはや彼は、ただの『汚れた高橋ユウキ』ではない。『ピュアな高橋ユウキ』だ!」
ガイルが感動している。
「あの……僕、お腹が空きました。帰ってカップラーメン食べたいです」
「はい、どうぞお帰りください」
俺はユウキを優しく玄関から押し出し、テレポートで**最寄りの駅前**まで送ってやった。
「ふう。これで一件落着。余計な汚れはすぐ落とすに限る」
リビングに戻ると、フィアナが呆れた顔で言った。
「あなた、あんなチートになりたがってた男を、ただのカップラーメン好きに戻しちゃったわね。もったいない」
「もったいなくないよ。彼の**『最も幸せな日常』**を【リペア】してあげただけだ」
俺は再びソファに寝転がる。
高次の存在が送り込んだトラブルの種は、俺の生活魔法によって一瞬で掃除されたのだった。
(続く)
【クリーン】による精神浄化で、高橋ユウキは「世界の支配者」ではなく「カップラーメンを食べたい一般人」に戻りました。
チート能力を邪念と欲望のために使おうとする者は、主人公にとっては「心の汚れた人」でしかありません。
神が仕掛けた最初のトラブルは解決しましたが、高次の存在はまだ諦めていません。
次回、ついに神が主人公の家にコンタクトを取ってきます!




