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現代日本で「生活魔法」が使えるのは僕だけのようです。社畜を辞めて「特殊清掃」を始めたら、いつの間にか億万長者になっていました  作者: かるびの飼い主


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第70話 「僕も異世界転移者です!」と名乗る、妙にテンションの高い青年が来た

3話更新の3話目です

俺がソファでうたた寝をしていると、リサが静かに耳元で囁いた。


「Master、来客です。魔力反応は微弱、結界の正規ルートではない、非常に不安定な侵入ルートです」


 リサが警戒を強める。

 玄関のモニターに映っていたのは、派手なブランド物の服に身を包んだ、妙にテンションの高い若い日本人男性だった。


「誰だ、あいつ?」

「さあ……しかし、結界が不安定なのは確かです」


 俺は扉を開けた。

 青年は俺を見るなり、キラキラした目で手を握ってきた。


「おお! あなたは佐藤さんですね! わかっていた! 僕も同じ境遇なんです!」

「……え?」

「僕の名前は『高橋ユウキ』! 実は僕も、異世界に転移した経験を持つ**『選ばれた者』**なんですよ!」


 高橋ユウキはマシンガンのように喋り続ける。

 俺は内心で(俺は転移者じゃないんだが、能力が目覚めたのをそう見てるのか?)とツッコミを入れた。彼が異世界で得たという魔法は、明らかに中二病的な名前で魔力自体も素人レベルだ。


「それで、俺の家に何の用ですか」

「決まってるじゃないですか! 佐藤さんの『チート能力』ですよ!」


 ユウキは周囲を見渡す。

 無尽蔵に湧く魔力。完璧なメイド。豪華すぎる豪邸。


「僕が異世界で培った『世界を支配するための知識』と、佐藤さんの『万能な能力』が合わされば、僕たちはこの世界も、異世界も、思いのままですよ!」

「ふーん」


 俺は鼻で笑った。

 世界支配なんて、面倒くさいことこの上ない。

 俺が欲しいのは、静かで平和なスローライフだ。


「残念ですが、俺は世界支配には興味がない。お引き取りください」

「えっ、ちょっ! 佐藤さん、冗談じゃないですよ! こんな凄い力、使わないのはもったいない!」


 ユウキは必死に食い下がる。

 その瞳は、純粋な野心と、俺の力を利用したいという邪な欲望でギラついていた。

 しつこい。非常にしつこい。


「Master、排除しますか?」


 リサが冷たい目でナイフの柄に手をかけた。

俺はため息をついた。


「いや、リサ。暴力は掃除屋の流儀じゃない」


 俺はユウキの顔を正面から見据えた。

 彼の顔に張り付いた「野心」と「嫉妬」が、俺にはドス黒い汚れに見えた。


「――ユウキさん。あなたの心、ちょっと汚れてますね」


(続く)

神の力で転移に成功した自称・異世界転移者、高橋ユウキが登場。

彼は主人公の力を利用しようとしますが、主人公は面倒なことは大嫌いです。

ユウキのギラついた邪な欲望は、主人公にとっての「汚れ」でしかありません。


次回、生活魔法【クリーン】の意外な応用。

邪念まみれの転移者を、「物理的」ではなく「精神的」に綺麗にして差し上げます。

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