第69話 【神の視点】「東京」という名の魔力ブラックホールと、高次の存在
3話更新の2話目です
(視点:高次の存在)
無限に広がる次元の狭間。
そこは、世界と世界を繋ぐ「神々の庭」と呼ばれる場所だ。
一柱の神が、虚空に浮かぶ無数の世界の一つ――地球、その中でも「日本」という島国に目を留めた。
『……おかしい』
その神は、地球の魔力の流れを管理する役目を持つ。
地球の魔力は、本来、自然界に薄く拡散し、異世界からの影響を遮断する「結界」の役割を果たしているはずだった。
しかし、その魔力の流れが、今、不自然な形で**一点に吸い上げられている**。
まるで、巨大な掃除機が魔力を吸い込んでいるかのようだ。
『あの小さな都市……「トウキョウ」と呼んでいたか。あの一画だけ、世界の理が歪んでいる』
原因は、間違いなく異世界の魔力。
だが、その魔力は邪悪なものではなく、あまりにも**「清らか」**すぎる。
清らかすぎることが、逆に世界の均衡を崩していた。
特に、トウキョウの練馬区に存在する「佐藤」という人間の住居。
そこからは、ありえないレベルの「自動化されたチート魔力」が放出されている。
――【クリーン】、【リペア】、【エンチャント】。
本来、これらの魔法は生活を補助する程度のもの。だが、その人間が使うと、**「世界の理を書き換えるレベル」**の出力になる。
『このままでは、地球の結界が完全に崩壊する。早急に調査と対処が必要だ』
神は、自分の管理する世界で起きた異常を、他の神々に知られることを嫌った。
彼は、自らの眷属を派遣するのではなく、ある別の世界にいる「特別な存在」に力を貸すことにした。
『ふむ……ちょうど、あの世界にも「トウキョウ」への転移を試みている者がいたな。彼に、少しだけ力を与えてやろう』
高次の存在は、自らの魔力のごく一部を、地球の結界のひび割れに向けて流し込んだ。
その瞬間、佐藤が暮らす東京の空に、一瞬だけ**虹色の亀裂**が走った。
それは、究極のスローライフを満喫する主人公の元に、**新たなトラブルが向かっている**ことを示していた。
(続く)
今回は視点を変えて、主人公のチート生活が世界の危機に繋がっていることを描写しました。
生活魔法の強力さが、ついに「神」にまで気づかれてしまいました。
神は、東京への転移を試みる「特別な存在」に力を与えます。
次回、その「特別な存在」、自称・異世界転移者が主人公の家を訪れます!




