表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代日本で「生活魔法」が使えるのは僕だけのようです。社畜を辞めて「特殊清掃」を始めたら、いつの間にか億万長者になっていました  作者: かるびの飼い主


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/94

第63話 魔王軍の残党が現れましたが、装備が汚かったので【洗濯】して無力化しました

3話更新の2話目です

浄化された森を進むと、前方の茂みがガサガサと揺れた。

 現れたのは、全身を黒い鎧で覆った兵士たちと、彼らに使役されているオークの群れだ。

 魔王軍の残党だ。


「なんだ貴様らは! 瘴気が晴れたのは貴様らの仕業か!」

「人間と……裏切り者の王女か! 殺せ!」


 問答無用で襲いかかってくる。

 ガイルが剣を抜いて前に出ようとした。


「姫様、下がってください! ここは私が……」

「いや、いいよガイル。下がってて」


 俺はガイルを手で制した。

 彼らの装備を見る。

 黒い鎧は、血と泥と油でギトギトに汚れ、悪臭を放っている。

 剣も錆びついてボロボロだ。


「……うわぁ。手入れしてないな」


 道具を大事にしない奴は嫌いだ。

 それに、あんな汚いもので斬りかかられたら、こっちの服まで汚れてしまう。


「まとめて洗ってやるよ。――【クリーン】&【リペア(分解)】」


 俺は指を鳴らした。

 対象は「彼らの装備」。


 カシャン! カシャン! パラパラパラ……。


 突如、兵士たちの鎧が、留め具が外れたようにバラバラと崩れ落ちた。

 錆びついた剣は、刀身と柄が分離して地面に落ちる。

 そして、それらのパーツから汚れが一瞬で消え去り、ピカピカの鉄屑となって積み上がった。


「えっ?」

「な、なんだ!? 鎧が!?」


 残されたのは、下着姿の兵士たちと、素っ裸のオークたちだけ。

 戦場の空気が凍りつく。


「な、何をした!? 魔法か!?」

「ただのメンテナンスだよ。……ほら、君たちの体も汚れてるから」


 俺はついでに、彼らの体にも【クリーン】をかけた。

 戦意を高揚させていた「興奮剤」の成分や、体臭、垢あかが綺麗さっぱり洗い流される。


「……あれ? なんか、スッキリした?」

「戦う気が……起きない……」

「お風呂入りたい……」


 身も心も(装備も)丸裸にされた残党たちは、その場にへたり込んでしまった。

 戦意喪失だ。


「な、なんという……」


 ガイルが剣を持ったまま震えている。


「血を一滴も流さず、敵を無力化するとは……。これが、サトウ殿の戦い方……」

「いや、戦ってないし。汚いから洗っただけだし」


 俺たちは、パンツ一丁で賢者タイムに入った残党たちをロープで縛り上げ、森の奥へと進んだ。

 次はいよいよ、この騒動の元凶である「呪具」と「世界樹」だ。


(続く)

敵の装備を分解・洗浄して無力化。

リサの時と同じ戦法ですが、集団相手だとシュールさが増しますね。

「戦う前に身だしなみを整える」のは大事です。


次回、森の最深部へ。

枯れかけた世界樹を、日曜大工感覚で治療します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ