第56話　古代知識×生活魔法で「スマートフォン」を改造したら、地球上のすべての電波を傍受可能になりました

ウーナの持つ古代都市の知識は、俺の【生活魔法】と驚くほど相性が良かった。

　特に、彼女がいた都市の「クリスタル通信技術」は、現代の電波技術の遥か上を行っている。

「ウーナ、この知識をスマホに応用できないか？」

　俺は手に持ったスマートフォンを見せた。

『これは……小さな情報端末ね。私たちの都市の「波動受信器」の原理を応用すれば、可能よ』

　ウーナが俺のスマホに触れ、古代文字のような波動を送り込む。

俺はそれに合わせて、【エンチャント】でスマホのアンテナ部分を改造した。

素材はダンジョンで拾ったオリハルコンの微細な塵（ちり）。

「よし、これでどうだ？」

　見た目はただのスマホ。だが、中身はとんでもないことになっているはずだ。

電源を入れた瞬間、スマホの画面に、世界中の電波情報が滝のように流れ込んできた。

「うわっ、すごい情報量！」

　衛星通信、軍事通信、暗号化された無線……。

地球上のありとあらゆる電波が、俺のスマホ一つに集約されている。

「Master、これは軍事的に価値がありすぎます。すぐに隠蔽を」

　リサが慌てて俺のスマホを取り上げようとする。

俺は慌てて【フィルタリング】をかけ、必要な情報だけを表示させた。

「大丈夫だ。これで政府の緊急連絡網にも、いつでもアクセスできる。……よし、西園寺さんに試してみるか」

　俺は内閣府の西園寺さんに電話をかけた。

コール音が一回鳴っただけで、西園寺さんは悲鳴のような声を出した。

『さ、佐藤様！？　今、私専用の**衛星通信**が鳴ったのですが！？　まさか、ハッキング！？』

「いや、ただのスマホだよ。これで、いつでもどこでも連絡がつくようになりました」

『あ、あなたが通信を強化すると、国家機密レベルになるの、やめてください！』

　西園寺さんは頭を抱えている。

「これで、政府が俺に連絡を取れない、なんて言い訳は通用しないぞ。代わりに、緊急事態は確実にキャッチできる」

　俺の平穏な日常を守るための**「世界監視システム」**が、スマホ一つで完成してしまったのだった。

ウーナは「すごいね！」と無邪気に喜んでいる。

（続く）