第54話 海底都市の秘密兵器は「無限発電装置」でした。これ、世界のエネルギー危機を解決できますよね?
4話更新の4話目です
クリスタルの部屋で、俺たちは人魚のウーナから、この都市の秘密を聞いていた。
『この都市は、遥か昔、環境変動から逃れるために海のエルフと人魚が協力して作ったの。クリスタルの柱は全て「増幅器」よ』
「増幅器?」
「はい、主様。ここに流れている水は、ただの海水ではありません。濃縮された魔素です」
マーリンお爺ちゃんが解説する。
都市全体が巨大な魔法陣となっており、海中という環境を利用して、魔力を増幅させているらしい。
『そして、ここが都市の心臓。見て』
ウーナが指差したクリスタルの台座の下には、巨大な渦を巻く光のコアがあった。
『これは、深海の地熱と魔素を結合させて、無限にエネルギーを生成する**「無限炉」**よ。都市の維持と、生命維持を担っているわ』
「無限発電装置……!」
俺は息を呑んだ。
もしこれを地上に持ち帰れば、世界のエネルギー問題、電力不足、CO2排出……ありとあらゆる問題が一発で解決する。
「うわぁ……夢のような技術だ」
「佐藤さん、これがあれば、うちのアイドルのライブも、照明を気にせず世界同時中継できますね!」
アイリさん、スケールが小さいよ。
しかし、ウーナは悲しそうな顔で首を振った。
『これは外に出せないわ。この都市のクリスタルと、深海の魔素がなければ動かない。それに、一度起動を止めると、都市は崩壊してしまう』
「なるほど、都市と一体化しているのか」
持ち帰りは無理か……残念。
だが、これで得られた知識は大きい。
「ウーナ、この都市の技術を、俺に教えてくれないか?」
『……? いいけど。でも、あなたには何の得があるの?』
「俺の平穏な日常を守るためだ。エネルギーが安定すれば、世界は揉め事が減る。それに、この都市を、誰にも見つからないように『結界』で完璧に隠してやる」
俺は【エンチャント】の知識で、この「無限炉」の構造を解析し始めた。
完全な技術移転は無理でも、その**「原理」**を抽出できれば、現代日本の技術で応用できるかもしれない。
ウーナは、そんな俺の姿を見て、少しずつ心を開き始めていた。
(続く)
古代の超技術、「無限発電装置」の登場です!
これで世界のエネルギー問題解決か!?と思いきや、持ち帰りは不可でした。残念。
しかし、解析して原理だけでも持ち帰れば、現代の技術に応用できるはず。
次回、ウーナを説得して、彼女にも地上で現代文明を体験してもらうことに。
人魚が初めて見る、現代日本の「テレビ」の反応は?




