第52話 休み明けの体に鞭打ってダンジョンへ。未踏破エリアには「広大な海底都市」が広がっていました
4話更新の2話目です
一月四日。
コタツから出るのが辛い。正直、コタツそのものに引っ越したい。
だが、俺の平穏な日常を守るためには、ダンジョンで素材を調達し、金を稼がねばならない。
「よっこいしょ……」
重い体を起こし、俺はリビングに集合した面々を見た。
全員が休みボケで生気が薄い。
「マスター、防衛システムは正常ですが、メイドの起動に時間がかかっています」
「サトウ、おミカン……もう一個だけ……」
そんな中、マーリンお爺ちゃんだけが元気だった。
「主殿、行くぞ! 未踏破エリアじゃ!」
今回の目的地は、ダンジョンの最下層に見つけた**「隠し通路」**の先だ。
俺が【テレポート】で隠し通路の先にある大空洞に飛ぶと、そこは文字通りの「異界」だった。
「……海?」
広大な空間。
天井からは光が差し込み、足元には白い砂浜が広がっている。
その向こうに広がっているのは、どこまでも続く**青い海**だった。
空洞の中なのに、波の音と潮の香りがする。
「な、なんだこれ!? ダンジョンの中にビーチ!?」
「信じられん……この空気、間違いなく『異次元』の海じゃ! そして魔素が濃すぎる!」
マーリンが興奮している。
そして、海面をよく見ると、遠くには巨大な構造物のシルエットが見えた。
「あれは……街?」
海の中に沈んだ、巨大なドーム状の都市。
SF映画で見るような、**「海底都市」**だ。
「フィアナ、あれは何だ?」
「あれは……私の国の伝承にある『竜宮都市アトランティス』かも……。太古の時代に、海のエルフたちが築いたと言われています」
「へぇ。金目の物、あるかな?」
俺はワクワクしてきた。
新しいダンジョンは、新しい素材と、新しい金脈を意味する。
とりあえず、準備だ。
「スズ、防水服と潜水装備、頼む」
「はい、主様! アイテムボックスから**『エンチャント潜水具(防水・耐圧・深海照明付き)』**を出します!」
「リサ、水中での戦闘モードに切り替えろ」
俺たちは早速、海に潜る準備を始めた。
この海底都市には、これまでとは全く違う、深海の魔物やアイテムが眠っているに違いない。
コタツで鈍った体を叩き起こす、最高の冒険の始まりだ!
(続く)
お正月休み明け、さっそく海底都市に突入です!
ダンジョンの中なのに海。もはや何でもありですね。
深海の秘宝、古代の技術、そして水棲の美少女? 新たなロマンスの予感!
次回、海底都市の最深部で「人魚の少女」と出会います。




