第46話 薄汚れた貧乏神を【クリーン】でお風呂に入れたら、銀髪の美少女に進化しました
3話更新の2話目です
泣きながらミカンを食べる貧乏神を見て、俺は思った。
……汚い。
着物はボロボロだし、髪は油でギトギト、体からはカビのような臭いがする。
「貧乏」を象徴する姿なのだろうが、掃除屋としては見過ごせない。
「おい、ちょっと風呂入れ」
「え? 嫌よ。お風呂なんて入ったら『福』が増えちゃう……」
「うるさい。この家のルールだ。――【クリーン】!」
俺は問答無用で魔法をかけた。
対象は「貧乏神の汚れ」と「負のオーラ」。
シュワワワワッ!!
彼女の全身から、真っ黒なヘドロのような瘴気が噴き出し、消滅していく。
ボロボロの着物は【リペア】で修復され、パリッとした新品同様に。
「ひゃあああ! 私の『貧乏成分』がぁぁぁ!」
光が収まると。
そこには、透き通るような銀髪と、宝石のような紫の瞳を持つ、儚げな美少女が座っていた。
「……え?」
彼女自身も、自分の手を見て驚いている。
「肌が……ツルツル? 体が軽い……?」
「あら。磨けば光るタイプだったんですね」
スズも驚いている。
どうやら長年の「貧乏汚れ」が落ちて、本来の神様としての姿(?)に戻ったらしい。
「すごい……私、こんなに綺麗になれるんだ……」
彼女は鏡を見て、うっとりと頬を染めた。
俺は彼女に、フィアナが着なくなった部屋着を貸してやった。
「で、名前は?」
「……ないわ。貧乏神だもの」
「じゃあ『ビビ』な。貧乏のビビ」
「安直! ……でも、悪くないかも」
ビビは嬉しそうに笑った。
その笑顔には、もう陰気さは微塵もなかった。
「決めた! 私、ここに住む! この家は『福』が多すぎるから、私がバランスを取ってあげる!」
「いや、貧乏にされたら困るんだが」
「大丈夫! もう『不幸』は撒き散らさないわ。代わりに、この家の『厄』を食べてあげる!」
どうやら彼女は、綺麗になったことで「厄除けの神」にクラスチェンジしたらしい。
スズが「福」を呼び、ビビが「厄」を食う。
……あれ? これ最強のコンビじゃないか?
(続く)
貧乏神改め、銀髪美少女の「ビビ」ちゃんが仲間になりました。
【クリーン】は神様の属性さえ変えてしまうようです。
スズ(福)とビビ(厄除け)。プラスとマイナスの最強タッグが結成されました。
次回、みんなで年末の買い出しへ!
ビビの能力が、スーパーの「値引きシール」に奇跡を起こします。




