第43話 魔法使いとドラゴンとエルフで大掃除をしたら、家が半壊しかけました
3話更新の2話目です
年末。大掃除の日だ。
普段は俺の【クリーン】で一発だが、今日はスズの提案で「一年の感謝を込めて、手作業で掃除しましょう!」ということになった。
「たまには体を動かすのもいいか」
俺たちは手分けして掃除を始めた。
だが、この家の住人は規格外しかいないことを忘れていた。
「埃を払うのじゃな? 任せろ、【ウィンド・ブラスト】!」
マーリンお爺ちゃんが杖を振るうと、暴風が巻き起こり、埃どころか障子と襖が吹き飛んだ。
「わしの大事な壺がーーっ!?」
「何やってんだジジイ!」
一方、庭ではフィアナが落ち葉掃除をしていた。
「集まれ、風の精霊たちよ!」
彼女が歌うと、落ち葉が竜巻のように舞い上がり、さらに勢い余って庭の植木まで引っこ抜いてしまった。
「ああっ! トマトの苗が空へ!」
「Target、頑固な油汚れを確認。……焼却します」
キッチンでは、リサが換気扇に向かって火炎放射器(どこから出した?)を構えていた。
「待て待て待て! 家が燃える!」
俺は慌てて止めた。
そして極めつけはリュウだ。
窓拭きを頼んだのだが、雑巾を持ったまま窓ガラスに突っ込み、ガラスを粉砕してしまった。
『……すまん。力加減を間違えた』
開始から三十分。
家はピカピカになるどころか、台風が直撃した後のような惨状になっていた。
「……はぁ」
俺は深い溜息をついた。
スズが涙目になっている。
「ごめんなさい主様……やっぱり魔法には勝てません……」
「いや、みんな頑張ってくれたよ(方向性はともかく)。……最後は俺が締めるか」
俺は家の中心に立ち、魔力を練り上げた。
壊れた障子、割れたガラス、吹き飛んだ植木、そして散らかったゴミ。
全てをあるべき姿に戻し、清める。
「――【オール・リセット(完全修復&清掃)】」
シュワンッ!
光が収まると、そこには新築同様に輝く我が家があった。
お正月飾りまで自動でセットされている。
「おお……さすが主殿」
「やっぱりサトウには敵わないわね」
みんなが感心している。
結局、魔法頼りになってしまったが、まあ、みんなで騒ぎながらやる掃除も悪くはない……か?
(続く)
大掃除(破壊活動)。
能力が高すぎるのも考えものですね。
結局、最後は主人公が尻拭いをするのがこの家のルールのようです。
次回、お正月準備の仕上げ「餅つき」!
最強のメイドと座敷わらしによる、音速の餅つき大会が始まります。




