表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代日本で「生活魔法」が使えるのは僕だけのようです。社畜を辞めて「特殊清掃」を始めたら、いつの間にか億万長者になっていました  作者: かるびの飼い主


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/94

第30話 謎の賢者様が現れて、俺の魔法が「歴史的にありえない」ことを教えてくれました

本日4話投稿の3話目です(07時・12時・17時・21時)

寿司パーティーの翌朝。

 庭でリュウ(ドラゴン)が残り物のマグロの骨をかじっていると、門の前に一人の老人が立っていた。

 白い髭を蓄え、杖をついた、いかにも「賢者」といった風貌の外国人だ。


「……ふむ。ここか。世界を歪めておる特異点は」


 老人は勝手にゲートを開けて入ってきた。

 リサが即座に反応し、ナイフを構えて飛び出す。


「Stop! Who are you?(止まれ! 何者だ?)」

「フォッフォッフォ。そう殺気立つな、若き暗殺者よ」


 老人は杖をトン、と地面に突いた。

 それだけで、リサの動きがピタリと止まった。金縛りだ。


「なっ……!?」

「騒がしいですね、どうしました?」


 俺とアイリさんが玄関から出てくる。

 老人は俺を見るなり、深く嘆息した。


「……なるほど。お主か。歴史の影に隠れてきた我ら『魔法使い』の常識を、根底から覆す存在は」

「魔法使い? 俺以外にもいるんですか?」


 俺が驚くと、老人は自嘲気味に笑った。


「おるよ。太古の昔からな。だが、我々の魔法はあくまで『自然現象』の模倣。指先にライター程度の火を灯したり、静電気のような火花を出したりするのが精一杯じゃ」

「……ショボくないですか?」

「そうじゃ。だからこそ、我々は異端として迫害されるのを恐れ、細々と正体を隠して生きてきた。力など誇示せず、歴史の影でな」


 老人は俺を指差した。


「だというのに! お主はどうじゃ! 『洗浄』だの『修復』だの、聞いたこともない【生活魔法】を行使し、しかもその出力は桁外れ! 山を直し、海を浄化し、あまつさえ伝説のドラゴンをペットにするとは何事じゃ!」


 めちゃくちゃ怒られた。

 どうやら俺は、魔法界の常識から見ても「バグ」のような存在らしい。


「それに、そのドラゴンや異常な事態を見ても、周りの娘たちが平然としておるのはなぜか分かるか?」

「……適応力が高いから?」

「違うわ! お主が無自覚に**【精神干渉マインド・カーム】**の波動を垂れ流しておるからじゃ!」


 老人が杖を振るうと、空気がパチンと弾けた。

 その瞬間、アイリさんが庭のリュウを見て「ギャアアアア! 怪獣ぅぅ!?」と腰を抜かした。

 どうやら、俺の「騒がれたくない」という願望が、周囲の常識認識までねじ曲げていたらしい。


「……すいません、戻してください」

「ふん。……エイッ」


 再び杖が振られ、平穏が戻る。


「ワシは『世界魔法協会』の長老、マーリン。……どうじゃ若いの、ワシをこの家に置いてくれんか? お主のそのデタラメな力が、これからの『大異変』の時代にどう作用するのか……見届けたいんじゃ」

「大異変?」

「世界中でダンジョンが活性化しておる。我々のような微弱な魔法使いでは太刀打ちできん。……世界を救えるのは、お主のような『規格外』だけかもしれんぞ」


 話が壮大になってきた。

 だが、とりあえず俺の返答は一つだ。


「……分かりました。ただし、働かざる者食うべからずですよ?」

「交渉成立じゃ! ではさっそく、昨日の残りのマグロ丼を所望する!」


 こうして、我が家に「解説役のお爺ちゃん」が住み着くことになった。

 俺の魔法は、どうやら世界にとっても「希望」であり「劇薬」であるらしい。


(続く)

世界観の種明かし回でした。

・魔法使いはずっといた(でも弱くて隠れてた)

・主人公の魔法(生活魔法)は未知のジャンル

・ヒロインたちが平気なのは主人公の精神干渉のせい


すべての謎が解けました。

マーリンお爺ちゃんも加わり、いよいよ物語のスケールが広がります!

次回、お爺ちゃんの知識を借りて、さらなる新アイテムを開発します。


皆様のコメントはすべて目を通しております。

世界観が現代なのにおかしい等頂いておりましたがネタバレになるかと思ったのでお答えできなかったです。これからもよろしくお願いします。


【新作・短期集中連載のお知らせ】


いつも本作を読んでいただきありがとうございます!

明日から、短期連載で別の新作を投稿し始めます。


タイトルは『 ご都合主義について物申す。〜敏腕編集長は異世界出張リテイクで忙しい〜』です。


主人公は、理屈っぽい「ラノベ編集長」。

彼がいろんな異世界に行っては「設定が甘い!」「コンプラ守れ!」と説教して回るコメディなのですが……


なんと最終章で、本作『生活魔法』の世界にカチコミに来ます。

佐藤健太の「ストレスフリーな生活」が、鬼編集長にどう論破されるのか(あるいはされないのか)。


全40話、11/30日から8日間(1日5話更新)で一気に完結させます!

完結までお付き合いいただけると嬉しいです!


▼新作はこちら https://book1.adouzi.eu.org/n8864lk/

11/30 07:00に第1話が公開されます。

(それまではリンクを押してもエラーになりますのでご注意ください!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
この老人、マグロを食べたかっただけ説
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ