第20話 温泉旅行に行ったら、美少女たちと混浴して、ついでに源泉を掃除しました
本日3話投稿の2話目です(07時・17時・21時)
国家任務のご褒美として、俺は西園寺さんから「高級温泉旅館のペア宿泊券」を貰った。 というわけで。
「わぁっ! 広いお部屋! 露天風呂もついてる!」 「主様、お茶菓子がありますよ」
俺はアイリさんとスズを連れて、山奥の秘湯に来ていた。 ペア券だったが、スズは「幼児料金」だし、アイリさんは自腹で隣の部屋を取った(結局俺の部屋に入り浸っているが)。
夕食前。 部屋についている貸切露天風呂に入ろうとした時だ。
「佐藤さん、一緒に入りましょ♡」 「主様、背中をお流しします」
当たり前のように、バスタオルを巻いた二人がついてきた。
「い、いや、さすがに混浴は……」 「減るもんじゃないし! それに、佐藤さんには私の肌(スライム美容液の効果)のメンテナンスをする義務があるでしょ?」
アイリさんが強引に腕を引く。 湯気に包まれた露天風呂。 白い肌。上気した頬。 ……うん、男としてこれを拒否するのは失礼というものだ。
俺は観念して湯に浸かった。 極楽だ。 両サイドに美少女。とんでもないハーレム空間だが、湯あたりしそうだ。
「ん……? なんかお湯の出が悪くないか?」
湯口を見ると、お湯がチョロチョロとしか出ていない。 そういえば、チェックインの時に女将さんが「最近、源泉の調子が悪くて……」と暗い顔をしていたのを思い出した。 なんでも、配管に「湯の花(ミネラル分)」が詰まってしまい、業者もお手上げらしい。
「……せっかくのいいお湯なのに、もったいないな」 「佐藤さん、直しちゃう?」 「まあ、お礼参りってことで」
俺は湯口に手を当てた。 イメージするのは、地下深くまで続く配管と、その先に詰まった固形物の除去。
「――【クリーン】、パイプ洗浄」
ボコッ、ボコココッ……!!
地面の奥底から、重低音が響いてきた。 直後。
ドッパァァァァァン!!!
湯口から、勢いよくお湯が噴出した。 以前の倍……いや、三倍くらいの湯量だ。 しかも、詰まりが取れたことで新鮮な源泉が直結し、お湯の色がさらに濃くなっている。
「きゃあ! すごーい!」 「主様、お湯が生き返りました!」
騒ぎを聞きつけて飛んできた女将さんは、溢れ出る源泉を見て腰を抜かして泣いて喜んだ。
「ありがとうございます……! これは当館の宝です……!」
結果。 俺たちは「温泉の神様」として崇められ、宿泊代がタダになっただけでなく、一生使える「VIPパス」まで渡された。 風呂上がりのコーヒー牛乳を飲みながら、俺は思った。 掃除魔法、温泉地でも最強すぎるだろ、と。
(続く)
サービス回かと思いきや、やっぱり掃除してました。 「詰まり=汚れ」なので、配管掃除も一瞬です。 温泉宿の救世主になりました。
次回、いよいよ物語が大きく動きます。 「魔法レベル」が限界突破!?




