待ち合わせ
大雨の出来事。
ラインのメールが旦那ちゃんに入る。
嫁ちゃんが待ち合わせ場所に、2時間後に迎えに来てくれという内容だった。
そこは・・・20㎞ほど離れた場所である。
(あと・・・二時間か・・・)
部屋は当然、誰もいない無人。
旦那ちゃんは、ピンクのトイレットペーパーを手に持ち、そそくさとスタンバイをはじめる。
(さぁ、レッツエンジョイ!)
心の中で、そう叫ぶと、左手にスマートフォンを持ち、右手は我が息子へと。
(へへっ、久々に可愛がってやんよ)
入念にネタ・・・題材を吟味する。
(よしっ、こいつに決めたっ!)
準備万端あとはイタスだけだ。
しかし無情に流れるは着信音。
ラインのメールには、「ちょっと予定が早まりました。今から迎えに来れる?」という嫁ちゃんからの無慈悲な知らせ。
「ノーうぅ!」
悲しみに雄叫び一つ。
車を運転し、待ち合わせ場所に向かう。
曇り空がやがて、雨にそれから豪雨となる。
場所をちょっと移動しただけで、この差。
(線状降水帯か・・・)
旦那ちゃんは、ワイパーを最大にする。
叩きつけるような雨はおさまる気配はない。
「旦那ちゃん」
「嫁ちゃん」
旦那ちゃんは嫁ちゃんもお迎えする。
「いや~大雨になっちゃって、予定がキャンセルになって・・・」
「そう」
どうしようもない憤りと寂し気な顔の旦那ちゃん。
「どうしたの?」
「別に」
「沢尻エ○カ?」
「違うわ」
「じゃ、何」
「この豪雨に物申したい」
「何」
「俺の楽しみ返せっ!」
「?」
豪雨の中、旦那ちゃんはフロントガラスに向かって、心の中で叫ぶ。
(俺のオ〇ニー返せっ!)
「ふーん」
「へっ」
「心の声聞こえてるよ」
「はうっ」
雨にむせびなく中年男が、ここにいる。
雨にむせびなく男がいたんですよ~。
なあに~やっちまったな。
男は黙って、出発。
男は黙って、発射。
なに言ってんだよ~。
雨に叫べば。




