もしも異世界転生をしたら
やってみた。
旦那ちゃんと嫁ちゃんはふとしたことで異世界転生してしまったのだった。
「なんだっ!このイケメンはっ!」
高身長眉目秀麗のイケている男になった旦那ちゃんは、池に映った自分の姿を見て驚いた。
「そうかっ!これが異世界転生ってヤツなんだな」
ご満悦の旦那ちゃん。
一方、
「おっほっほっほっ!私は悪役令嬢のヨメチャンよっ!」
いきなり蔑んだ目で旦那ちゃんを見下す嫁ちゃん。
(・・・ふっふっふ、嫁ちゃんよ。ここは現実世界とは違う異世界、いつもの俺と思うのは大間違えだぜ)
「ちっちっちっちっ」
舌を鳴らし、人差し指を左右に揺らす旦那ちゃん。
「無礼者っ!」
いきなり扇子で頭をはたかれる旦那ちゃん。
「・・・ぶったね・・・俺をぶった・・・親にも・・・」
ぺしっ。
二撃目をくらった。
(おかしいな・・・前より・・・過激になってない?)
「令嬢様よ・・・俺は流れの旅人・・・何人たりとも束縛する・・・」
「うるさいっ、使用人の分際でっ!」
ぺちっ。
「なんと!そんな設定?きいてないよ~くるりんぱ」
旦那ちゃんは帽子をくるりんぱして被ろうとする。
「この~HAGE~」
ぺちっ。
頭頂部に刺激が走る。
「HAGEの設定はマストなのかっ!」
「なに言ってんの?セバスチャン」
「ザ・使用人ネーム」
「アタクシ喉が渇いたの、紅茶をいれなさいセバスチャン」
「ウィ、ムッシュ」
「アタクシ、おっさんじゃないわよ・・・閣下の意味かしら」
「ウィ、マダムヤン」
「なんか香ばしさを感じるわね」
セバスチャンこと旦那ちゃんは、急須の先が長~いのを取り出し、2m先のヨメチャン令嬢のカップに注ぎ込む。
「ありがとうセバス」
ごくり。
「・・・こっ、これは・・・ぬるい、ぬるすぎるっ!」
「然り」
旦那ちゃんは頷いた。
「セバスチャン・・・いいえ、旦那ちゃん」
「・・・嫁ちゃん」
こくり頷き合う2人。
「僕らには、この世界は狭すぎるっ!」
空間に亀裂が入る。
バリバリバリ~ぷりっ。
ドサクサに紛れて、
「あっ、失礼」
旦那ちゃんは、とびっきりの笑顔をおくる。
箱庭の世界が開けると、そこはいつもの場所。
「ふう」
「ね」
「・・・・・・」
「ん?」
「旦那ちゃん」
「・・・ん?」
「あなた全裸」
「はうっ!だが、それがいいっ!」
どやさ。




