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旦那ちゃんと嫁ちゃんの秋の夜長

 ある日の事。


 風呂あがりの旦那ちゃんは寝室の扉を開ける。

「ただいまっ!」

「おかえりっ!」

 すかさず嫁ちゃんの返事がかえってくる。

「ただいまっ!」

「おかえりっ!」

「ただいまっ!」

「・・・・・・」

「ただいまっ!」

「・・・・・・」

「なんで返事をしない」

「いや、したでしょ」

「全部返して」

「断るっ!」

「いけずう」

 

 旦那ちゃんは布団に潜り込んだ。

 嫁ちゃんはスマホをじっと見ている。

「また漫画みてるの~」

「そだよ~」

「俺の作品も読んでよ~」

「賞とったらね」

「・・・見る気ないでしょ」

「えへへ」

「えへへじゃないよ」

 旦那ちゃんもスマホを起動し、YouTube動画のお気に入り沖縄音楽集を流す。

「ちょっと」

 と、嫁ちゃん。

「ん?」

 と、旦那ちゃん。

「うるさいよ音」

「聴きたいでしょ?」

「まさか、何回聴かせるのよ」

「いい曲は何度聴いてもいいじゃん」

「押しつけしないで」

「・・・ほ~い」

 旦那ちゃんは音量をさげる。


「あ~やっぱいい。沖縄の風を感じるなあ」

「・・・・・・」

「ん~ハイサイおじさんっ、変なおじさんっ!」

「・・・・・・」

「ねぇ、やっぱり聴きたい」

「別に」

「・・・あ、そう」


 2人はそれぞれ秋の夜長を楽しむ。

「あ~なんか、興奮してきたっ!」

 旦那ちゃんはノリノリでリズムにのりスゥイングする。

「ほ~」

 ちらりのぞき見る嫁ちゃん。

「いいよ~、すごくいいっ!」

「は~」

「う~ん、いいっ!えくすたすぃ!」

「ふーん、心とアソコは反比例か」

「なんか言った?」

「別に」

「あお~ん!」

 秋の夜長に旦那ちゃんの遠吠え。

 2人は深まる秋の夜長を過ごすのだった。



 深まる秋。

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