生返事
ふうん。
パチパチパチパチ。
興が乗ってパソコンで文を打つ旦那ちゃん。
「ねぇ」
「ん?」
「今日、会社でね、後輩の子がね」
「うんうん」
旦那ちゃんは頷きながらも、パソコン画面から目を離さず文を打っている。
「・・・・・・」
パチパチパチパチ。
無言となった部屋に、旦那ちゃんのキーボード強打の音だけがする。
「おじさんって、パソコン強打するよね~」
「うん」
「旦那ちゃんも、かなり音させるよね」
「俺もおじさんだからね」
「でさ、最近の子って出社した時、挨拶しないんだよね」
「そういうもんじゃないの?」
「でも、うちらの時って挨拶って絶対だったじゃん」
「まあね」
「で、何も言ってないんだけど、その子今日、何故か「おはようございます」って挨拶した訳」
「ふーん、嫁ちゃんのプレッシャーが伝わったんじゃないの」
「まさか」
「あの・・・」
パチパチ・・・。
旦那ちゃんは手を止める。
「俺、今、文を打ってるんだよね」
「知ってる。ね、いつになったら賞とるの」
「明日」
「ほー」
「ちょっと、各自自由時間ということで」
「りょ(了)」
パチパチパチパチ。
パチパチパチパチパチパチ。
パチパチパチパチパチパチパチ。
「あのね~」
「ん?」
「鬼〇の無限列車編で「溝口少年」って煉獄さんが言うじゃん」
「うん」
「本当に近くのの溝口竈神社と思う」
「んーあー」
パチパチパチパチ。
パチパチパチパチパチパチ。
パチパチパチパチパチパチパチ。
「旦那ちゃん」
「ん?」
「生返事はやめなさい」
「んー」
パチパチパチパチ。
パチパチパチパチパチパチ。
パチパチパチパチパチパチパチ。
ぎゅっ!
「ぐえっ!乳首つまむなっ!」
ああ、そう。




