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パソコンが異世界と繋がったから両世界で商売してみる  作者: フェフオウフコポォ
日本での問題編

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98話 超スキルカードハイ かーらーの

本日2話目




 戸惑うオバちゃん……いや、今の姿のオバちゃんをオバちゃんと呼ぶのは失礼過ぎる。

 戸惑うサリーさんを見て、会場から割れんばかりの喝采が巻き起こりはじめた。


「見たか愚か者共よ! これが俺の力! この俺! イチ様の力なのだよ!

 くくく……くははは……はーーはっはっはっ!」


 俺の悪役三段笑いと共に歓喜に沸く会場。

 この後、滅茶苦茶説教した。


 エセ教祖が裏で何をしていたかと人間の強欲を説き。

 そいつらに罰を与えた事で自業自得を説き。

 我が子を前のクズ教祖に差し出した親に向けて、子供は親を選べんとか、子供は所有物じゃない一個の人間なんだとかを説き。

 体を差し出した女の人達に向けて簡単に自分を傷つけるな、もっと自分を大事にしろだとか、誰もが思いつく一般的な道徳や当たり前の事を力説する。

 信者達は俺の一語一句を有難そうに聞き、無駄に感動すらしているようだった。


 俺は真剣に自分の声に耳を傾ける人間達の様子に気分が良くなってしまい、調子に乗って何人かの信者をピックアップして傷を治してあげたり、病気を緩和したりすると、さらに会場が盛り上がる。


 流石に一気に魔法を使いすぎて疲れたので、最後に

「これからが本当の『新世界の風』が吹くのだー!」

 と、片手をつき上げ宣言し、喝采の中、会場を後にした。


 とりあえず休憩しようと、伊藤さんに一休みできる所に案内してもらいながら歩いていると、サリーさんに襟首を捕まえられ


「ぐぇ」


 とか変な音が出た。


「イチ……アンタ! 大馬鹿だろう!!」


 サリーさんが俺の襟首を捕まえている手を、伊藤さんがいい音立ててはたく。


「私達の教祖様……イチ様に無礼な事は許しませんよ!」

「っー! 何言ってんだい! アタシャアンタなんかよりずっと、この子を見てきてんだよ!

 この子の為に言ってんだから余計な口出すんじゃないよ!」


 伊藤さんの前に手を出して止め、問題ないので控えるよう伝えてサリーさんに向き直る。


「まったくヒドイじゃないか……折角綺麗になったのに、そんな顔してたら台無しだよ?」

「……うわぁ……なに気持悪いこと言ってんだいアンタ。」


 ドン引きした顔をするサリーさん。


「何もおかしなことは言ってないよ。サリー。君はとても綺麗だ。」


 サリーさんが白目をむいた。


「…………はっ! 放心してる場合じゃなかった!

 そんな事よりアンタ! 自分のした事でこれからどうなるかわかってんのかい!?

 アンタが人を若返らせる事が出来るなんて世間に知られたら、それこそ世界中から狙われる事になるんだよ!」


 ふっ『世界中が俺を狙う』か。

 悪くないじゃないか。


「それも楽しそうだ。」

「なぅっ!?」


 サリーの腰に手を回す。

 目の前で人差し指を振る。


「安心しろサリー。

 またおかしな事になっても、俺がお前を守ってやるさ。」

「なっ!」


 思考が追いつかなくなったのかサリーが硬直しまたも白目を剥く。


「結香子」

「はい。」


 伊藤さんを見ると、得心したように頷き口を開く。


「本日の事は秘密にするよう、箝口令を敷くよう手配します。」

「ふっ。手間をかけるな。」


「とんでもございません。

 イチ様のお役に立つことこそが、この身の喜びです……一つだけお願いなのですが、サリー様をお借りして良いですか? 内部資料用に写真を撮影しておきたいのですけれども。」


 サリーさんを見ると、未だ固まっていた。


「ふっ、好きにすると良い。」


 女事務員たちに脇を抱えられ、ようやく意識を取り戻すサリー。


「ちょ、っちょーー!! イチーーー!!!」


 やがてサリーはどこかへと連れ去れら、その姿が見えなくなった。


「では、イチ様。お湯の準備ができております。」

「ほう? 気が利くな。流石、結香子だな。」

「有難き幸せ。では、お手伝いさせて頂きます。」




 ?



 んっ?


 ……風呂は一人で入れるよ?


 俺の様子に当然そうな顔で言う。


「イチ様の疲れを癒すのも私達の務めですから。」


 脱衣場に案内されると『肌襦袢だけだよね。今着てるの。』という格好の女の人が2人待機していて、その人達に服を脱がされ、そして伊藤さんも服を脱ぎ始めた。


 …………まぁ

 ……いっか。


 俺……教祖だし。役得役得。


 3人に体を洗われると……何というか、やっぱり元気になってしまう。

 だって若いんだもの。薄着なんだもの。色々見えちゃうんだもの。


 すると、結香子が


「私の身体で宜しければ、隅々までお清めさせて頂きますが?」


 と、声をかけてくるじゃなの。

 『じゃーお願いしようかな』

 と思った瞬間。


 女神が般若に変わる姿が思い浮かび、思わず首を横に振る。


「う……うむ…………今日はよい。

 またの機会に頼む。」


 そう返すと、少し結香子が残念そうな顔をした気がしたが、それ以上に俺も残念なのだ。だからそんな顔をしないで欲しい。


 脳内がピンク1色になったので、これはもうさっさと帰って、アデリーを可愛がることにしようと決め風呂も早々に上がって自宅に帰る事にした。


 が、取決めだの会費だのその辺どうするかという事で、引きとめられそうだったのだが「結香子とサリーで好きにしろ。」と伝えて、さっさと自宅に帰りアプリを起動しアデリーの部屋に戻る。


 脳みそピンクな発情期真っ盛りヒート状態で、家の中の様子を探るとアデリーは作業部屋で編み物をしているような気配がしたので、ドアをノックしてすぐ入る。


「ただいまー。 my angel アデリー。」

「お帰り―、イチ。 早かったのね」


 横からアデリーを抱きしめ、その豊かな胸に手を伸ばす。


「今朝の約束を守る為に、急いで帰ってきたんだよ。さぁ。」

「ふふ、イチったら……あら? あらあら?」


 アデリーが俺の手の動きを気にすることなく、俺の肩を両腕でガシっと押さえ、髪、頬、首、胸とスンスンとニオイを嗅ぎ始める。


 俺はこの状態になって、ようやく『あ、そう言えばスキルカード使った後って……』と、少し冷静になり始める。

 アデリーは顔を離し、無表情に微笑む。


「ねぇ、イチ。イチから私の知らない女のニオイがするんだけど。」

「えっと……」


 アデリーの首がコキコキコキ……と、ゆっくりと横に傾いていく。

 その傾きの角度がゆっくり変わる度に俺の中にあった、仮初の万能感がしぼんでいくのが分かった。


 そしてアデリーの首が90度傾いたような姿になる。


「なんでこんなニオイがするのか教えて欲しいなぁー! クワシクっ!」

「ぴっ」


 また変な声が出た。


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