表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パソコンが異世界と繋がったから両世界で商売してみる  作者: フェフオウフコポォ
日本での問題編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/166

91話 情報収集からの解決策の検討


 沈んだ気持ちのまま迎えた翌日、腹を決めて朝一にオバちゃんに報告に行く。


 もちろんオバちゃんが報告内容でショックを受けるだろうという事もわかっている。だが、持ち込んだ俺、売ったオバちゃん。元凶を作ってしまった張本人である俺達は、今、何が行われどうなっているかをきちんと理解する必要があると思った。


 病院で報告すると、やはりオバちゃんはやっぱりショックを受け顔を伏せた。

 だが、ある程度予想もしていたようで、すぐに顔を上げて二人で今後どうするかを話し合う。


 まずちょっかいをかけられている加藤さんには睡眠の巻物を持たせ、いざという時にはソレを使って自衛してもらい、すでに術中に落ちてしまっている中村君には会社の事を少しでも外部に漏らせば首ということを念押しする事を決めた。

 話からオバちゃんはひとまずの安全が確保された事も分かったので病院を退院することにした。


 そして一番の難題。

 首謀者3人をどうするか……だ。


 俺は、あの3人の首謀者については同じ人間とは思いたくないほど軽蔑をしている。


 あの3人は人の姿をしているが人じゃない。

 ただのモンスターだ。

 3人の言動と行動を思い返すだけではらわたが煮えくり返る。


 あれは人を食い物にする。人食い。

 人食いのモンスターだ。


 人間ではないと思うと、ふと頭に考えが浮かぶ。

 モンスターなのであれば……処理できる人間が処理してもいいんじゃないだろうか。と。


 あの3人はどうやってもオバちゃんや俺の関係者を苦しめてくるだろう。それにこれからもどんどん不幸な人間を増やす。

 泣いて苦しむ人間を心から楽しそうに甚振いたぶもてあそぶような人間を、どうして許せるだろう。


 許せないならばどうする?

 もうすでに腹は決まり実行するつもりでいた。


 だが、そんな俺の様子を見ていて感じ取る物があったのかオバちゃんが強い視線をぶつけながら口を開いた。


「アンタまで人の道を外れちゃいけないよ。」


 オバちゃんが暗に俺が考えている事を実行し、犯罪者になるような真似をするなと言っているのは分かる……もし今実行して3人の人間が居なくなれば、オバちゃんは間違いなく俺の仕業だと気が付くだろう。


 そうしたら、オバちゃんとの関係は今のままでいられるのだろうか……

 一息ついて気を鎮め、落ち着いてから腕を組んで右手を顎に当てて考える。


 実際に3人を殺してしまうのは簡単にできる。


 隠密で近づいて首に触れて温度を上げてやればいいだけなのだから。そして死体は肉と変わらない『モノ』だからニアワールドに持ち込めるだろう。

 そしてニアワールドの街の外にでも放置しておけば、向こうの世界の理では消えてなくなるのだから処理に困る事も無い。 


 だができるからといって、やってしまえば、オバちゃんとの信頼関係にヒビが入るのは間違いない。

 もしかすると実行した後、今回の事態を招いた事で元々正義感の強いオバちゃんが気にやんで発作的に何か良くない事をしてしまうかもしれない恐れもある。

 となると、まず『3人を殺す』という選択肢は無いものと考えた方が良い。


 じゃあどうするか。


 俺が他の手段で追いつめて3人が謝ってきたとして、俺はそれを受け入れられるだろうか?

 多分ムリだ。表面上取り繕っているだけと思い、そう理解するだろうし、所業を目の当たりにしただけに、とても許せそうにはない。


 ならば……3人には恐怖と絶望を味わってもらい、そのまま舞台から退場してもらう事にしよう。

 最悪の場合を想定して考えていた俺が一番やりたくない方法を実行しなくてはならないけれど、もう嫌だとかそんな事は言ってられない。

 なによりやりたくない事を実行する事で、何も考えずに巻物を持ちこんだ俺に対する罰にもなる。



 ……実行後に3人を舞台から下ろした後はどうしたらい良いのだろうか。


 宗教団体は信者の心の拠り所だ。

 苦しんでいるからこそ救いを求めて人がやってきているのだろうから、それを解体するとなると信者はどうなる?


 ただでさえ子供を差し出すほどに妄信的な親が居るのであれば不用意に解体するのはよくないだろう。

 子は親を選べないが、俺の行動でさらにその子供が不幸になるような事は、もうゴメンだ。


 となると親の意識を変える必要がある………か。


 俺は腕組みを解き、オバちゃんに考えた案を話すことにした。



--*--*--



 オバちゃんは俺の案に信じられないような顔と、そして嫌悪感を露わにしたが、俺の意思が強い事を理解しているようで、渋々飲んだように頷き協力を約束してくれた。

 俺はオバちゃんと別れ、病院を後にする。


 家に戻ると中村君が来ていたので荷物を運び、彼女に何か聞かれても会社の情報を漏らさないように強く強く念を押す。

 中村君が、なぜ急に彼女の話題が出てきたのかと、どこか腑に落ちないような顔をしながらも帰ったあと家に一人になり、ゆっくりと深呼吸をする。


 しっかりと深呼吸をしてから携帯を手に取り『神様』に電話をかけた。


 1コール目で通話が繋がる。

 

「やぁ、久しぶりじゃのう。まーったく連絡をくれん薄情もんめ~。」

「おお、我らが父たる存在の神様。そんな万物の尊敬の対象たる神様に気軽に電話などどうしてできましょうか。ミジンコと同列たる私めの電話に出て頂けただけで感謝にたえません。有難うございます。有難うございます。」


「き……気持ちワルっ!」

「あぁ、申し訳ございません申し訳ございません。どうぞ神様のお気のすむまで、なじってください。貶してください。」


「も、もうええから。もうええから! 普通に話してくれんか!?」

「了解っす。」


「ま~た~か。……おべっかじゃったのじゃな」

「ああ、なんという事でしょう! とんでもございません。神様のご要望に精一杯応えようと努力したのでございます。無理をして精一杯の普通を演じたのでございます! オヨヨヨ。」


「わ、わかったから! ワシが悪かった。 すまんかった!」

「ん。じゃあ、この話し方で話しますね。」


「……はぁ。

 で、なんじゃい。久しぶりに電話なんぞかけてきおって。もうニアワールドに住むと決めたんか?」

「いや。それは申し訳ないですが、まだ決めてはないんです。今はなんとか向こうで暮らす土台ができはじめてはいるんですが、まだまだ本格的に住むとなると不安なもんで。移住云々はもうちょっとお金を稼いでから考えられたらなーって思ってます。」


「ほ~。したら、なんで電話をしてきたんじゃ?」

「相談というか質問がありまして……今、ニアワールドと日本の移動に使っているモニターがあるじゃないですか。あれって場所とかモニターの種類とか変えても大丈夫ですか?

 っていうのも、今ニアワールドで日本の物を売って生活してるんですけど。今の枠の大きさは結構狭くて荷物の受け渡しが大変なんですよ。」


「あぁ。なんじゃそんな事か。要は日本側で開けるゲートを大きくしたり固定ではなくしたいんじゃな?」

「そうなったら最高ですね。」

「ん~~。どうしようかのう……」


 ドキドキしながら神様の回答を待つ。


「まぁ、よかろ。ゲートとなっているパソコンのモニターは移動しても交換してもよい。

 パソコン本体と繋がっているモニターがニアワールドに繋がる。というのでどうじゃ?」


「ああああ! 神様! 有難うございます有難うございます!! やっぱりアンタ神様だよ!」

「ほっほっほ。まぁ、それほどでもあるの。」


「本当に有難うございました! おかげで腰痛筋肉痛ともおさらばです。!

 ……ちなみにもう一つ……そのパソコンって持ち運びできる小型のパソコンとかに変えちゃダメッスかね? さすがに今のデスクトップだと、本体が大きいから移動させるのも大変なんですよ。」


「うむ? ……うん? まぁ……よかろ。

 じゃあ、お主が次に買うパソコンにつながるモニターを新たな枠とすればええのかの?」


「神様。最高です神様! 有難うございます!

 あ、でも買って届くまでは今の使っててもいいんですよね?」

「ほっほっほ。かまわんよ。引き続きニアワールドに新しい風を送り込んでくれの。じゃあの。」


 電話を切りガッツポーズをする。


 俺が次に買うパソコンと繋がったモニターが『扉』になる事になった!

 これで俺は作戦を簡単に実行できる!


 早速インターネットを開き、超小型PCと80インチテレビを注文した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ