81話 朝チュン
本日2話目
チュンチュンと鳴く雀。
柔らかな朝の日差しに微睡みから覚める。
まるで揺り籠のようなベッド。
アデリー特製の特大ハンモックだ。
重みのある所に転がってしまうので自然と密着する。
左を向くと俺に覆いかぶさる様に一糸まとわぬ姿で抱き着いているアイーシャが目に入った。
そっか……俺、アイーシャたんペロペロしたんだった。
念願が叶ったはずだがイマイチ気分は晴々としたものにはなっていない。
右を向くと、アデリーが目に入る。
コチラも素っ裸で幸せそうな寝顔を見せている。
そう。
アイーシャたんペロペロのみが出来るはずもなく、アデリーによる俺ペロペロも行われてしまったのだ。
しかもアイーシャたんペロペロについても、その過程を考えると少し複雑な気持ちになってしまう。
詳細を事細かに思い返すと……ちょっと凹む。
簡単にまとめるならば
アデリー、アイーシャの御主人様にもなる。
そういう事だ。
昨日アデリーが『アイーシャは俺の事を別に好きじゃない』と宣言した後『何を言うのよ』と、アイーシャが慌てて否定するような言動をとった。
俺もアイーシャが否定してくれたのが間接的に『俺の事を好き』と言ってくれているように思えて照れっ照れしていると、アデリーがそれにイラっとしたのか『打算もなにも考えずに素直な気持ちを正直に話せるようにしてあげる』と、アイーシャの口に指を入れて小さい舌を弄んだんですよ。
なんとなくビデオカメラで撮影した映像から想像はついたんだけど、まぁアレです。
エイミーにも使った媚薬ですわ。
その証拠にエイミーがハァハァしだしたもの。
驚いた表情の後、段々と蕩け顔に変わっていくアイーシャ。
なぜかその様子に興奮して
「わ、わたしにもご褒美くださぁい御主人様ぁ」
と口走るエイミー。
まぁ、アデリーにニッコリ顔で
「ゴードンを商館に連れてって寝なさい。」
と言われてしょんぼりしながら帰っていったけどね。
俺はなぜか追い出される事も無く
「全然危ない事をする気は無いけどイチは優しいから心配だろうし、そこで見てていいのよ……ううん。というよりも見てて。この子の本音を聞かせてあげるから。」
と、アイーシャが天国を見る様子を観察する事になった。
まぁ~。
まぁ~~。
なんといいますかエイミーの時よりも手が込んでいるような感じがしましたですよ。
『糸とかってそういう使い方もできるのね』と思うよりも、言葉攻めや間接的な触れ方に焦らし方、攻める時の盛り上げ方なんかが感心する以外の何物でもない。
俺の体感時間でだけど15分くらい経った頃には、アイーシャは我慢しながらも快楽の虜になってた感があるですよ。
30分くらい経ったら2人とも脱いでるし、俺もうどうしよう状態。
45分くらい過ぎた頃にはアイーシャが「お姉さまぁ~~っ!」って叫びながら喜んでた。
俺は相変わらず放置され、もうどうしよう状態。
開始から1時間後には、お姉さまの焦らしに促されて自分から話し始めたよ。
その時のアイーシャの言い分は簡単にまとめると
『イチは金持ちだから恋人になれば安泰だ』
もちろんそれ以前に、優しいからとか云々のもっともらしい事を言ってはいたけど、金の存在がとにかく大きいようにしか思えなかった。
俺、もうどうしよう状態とは言え……しゅーんですよ。
色々とちょっと『しゅーん』ってなりましたよ。
アイーシャが絶頂に至る姿を見ても、しゅ……んですよ。
でもまぁイケメンが多いこの世界で俺に好意を持ってくれてる理由なんて内心では想像して分かってたし、実際俺も金の力を利用しようと思っていたから素直に合点はいったんだけどね。
そんな事を思ってたら、アデリーがフニョンで抱きしめてきて。
「大丈夫よ。イチ……私が誰よりも貴方の事を好きだから。」
とか言うんですよ。
正直そんなんされたら
『なんかもう蜘蛛でもいいかな?』
と思うくらいズキューンと撃ち抜かれたような感じがしましてん。
結果アデリーペロペロになりかけたんです。
が、やっぱり蜘蛛部分が目に入ると微妙にしゅーん化するのです。
そこでアデリー閃いた。
アイーシャを起こして、みんなでプチ会議開催。
アデリーは俺とイチャイチャしたい。
俺はとにかく女とイチャイチャしたい。が、蜘蛛だとイチャイチャが難しい。
アイーシャは金が欲しい。
欲望会議の至った結論は、アイーシャを俺の愛人化『みんなで仲良くねんごろりんになりましょ』だ。
その結論に導かれるまま、ねんごろになって朝を迎えた……というわけ。
まぁ……ねんごろになるとアデリーの独壇場になるよね。
アイーシャはなーんの心配もなくなったのか安心して『お姉さまハァハァ』のヘブン状態になるし。
今更になってアレだけど冷静に考えてみると、今回の件は俺とアデリーとの仲を進展させる為の道具としてアイーシャが使われたんじゃないだろうか?
結局アデリーの手の平の上でうまく転がされたんじゃないかと思いながら、二人の寝顔を見る。
「まぁ、なんか悪い気はしないから……これはこれでいっか。」




