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パソコンが異世界と繋がったから両世界で商売してみる  作者: フェフオウフコポォ
新世界の調査と基盤作り編

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53話 経費バンザイ

本日3話目




「魔法……ねぇ。」

「はい。魔法なんです。

 加藤さんも写真を見て不思議に思っていたかと思いますが、俺、つい最近魔法のある世界に行くことができるようになりました。で、そこで傷を治す魔法の巻物を手に入れたので、持ってきて金にしようとしたという訳です。」


 オバちゃんは頭を抱えている。


「で、加藤さん。」

「はい。」

「さっきのお話しにあった抜糸のあとが気になるご友人に、この巻物を使ってみてもらって頂いてもいいですか? 巻物を広げて治したい人に触れて『治れ』と念じると使えますんで、俺以外の人が使えるかも知りたいので。」

「わかりま――」

「待ちなっ!」


 頭を抱えていたオバちゃんが俺が加藤さんに巻物を渡そうとしたのを止める。


「まだアタシは、あんたの言う事がよくわかってないけれど、それを使えば傷が治るって事は分かった。」


 オバちゃんは大きなため息をつく。


「あんたね……コレ今あんたが想像している以上の大問題になるよ? だからそんなポンポン渡しなさんな。あぁ……ダメだ。考えがまとまらない。」


 オバちゃんはまた頭を抱える。

 しばらくオバちゃんを見ていると、とりあえず悩んだ後持ち直し俺をじっと見た。


「対処法は追々考えるとして、まずは確認だ。アンタはコレを仕入れられるんだよね?」

「はい。日本円で大体4万円の価値の貨幣と交換することで買えます。もちろん日本円は使えないので、向こうで手に入れた貨幣を使っています。」


 異世界の説明用に念の為に持ってきていた銀貨を取り出し渡す。


「コレ1枚で1万円の価値があります。」

「……銀?」

「そうですね。銀貨って言ってます。」

「ふぅん……コレ預かっていいかい?」

「ん? ええ…いいですよ……あ。もしかして」

「ん? うん。そうだよ。大した作りでもないし、これで型を起こして同じ物が作れるか確認するんだ。

 こっちの世界じゃただの美術品だからね。」


 その手があったか。流石。


 …………


 超いいと思いますっ!


「で、あればそれは返却不要なので、好きにしてください。

 あともう一枚成分分析用で置いていきますね。」

「ん。預かった。じゃあ、それはそれとして……アンタは向こうの貨幣を持っているって事は向こうで金を稼いでいるってワケだよね?」

「そうです。チョコ売ったり手回しLEDランプ売ったりウイスキー売ったりしてます。今日届いたボールペンも商材です。」

「へ~。大量に売り捌くなんてやるじゃないの……それは自腹を切ってるんだよね?」


 オバちゃんは加藤さんを見る。


「清算して欲しそうな感はありましたけど自腹でされてますね。」

「ちゃんとこれまでのレシートは取ってありますよ?」


 オバちゃんは天を仰ぎ思考を巡らせている。


「その、なんだ……向こうの世界ってのはコッチで売れそうな物とかはあるのかい?」

「食品とか衣料とかは何世紀も前のような世界なんで、あまり価値はないと思います。

 ただ日本と違って、アッチには人を襲う怪物がいるので、それと戦う為の武器や防具が豊富にありますね。あとは今回持ってきた魔法の巻物だとか、まだ詳細を確認してませんが魔法の道具とかもあります。

 あ~……後、工業試験場に出している『糸』も向こうの特製の物でかなり強い糸です。」

「魔法の道具……ね。危険かい?」


「基本的には使い方次第ですが、とても危険だと思います。なんせ戦いのある世界で使うものなので……今、その魔法の巻物とか魔法の道具を作れる人間とコンタクトを取っているので、こちらの要望を出すと好みの物を作れる可能性もあるかもしれません。」


 オバちゃんは目を閉じて考え始める。


「よし。アンタの向こうでの活動をバックアップしようじゃないか! これまでの清算も許可しよう!」


 ガタっと俺のイスが鳴ると同時にオバちゃんが手の平を向けた。


「ただしっ! 何にどんな目的で使うのかは加藤ちゃんに話をしな。それを後でアタシが聞いて判断するからね。加藤ちゃんもそんな感じでヨロシク。」


 加藤さんが頷く。

 俺はとりあえず両手を掲げた。

 今、俺の仕入れの課題が解決されたかもしれないのだ。


「やったーっ!! 金の心配なくなったーー!!」


 思わず声がでる。そんな俺を見てオバちゃんが小さく笑う。


「フフっ、アンタのそういう顔……久しぶりに見たよ。」

「いやぁ~、向こうで売れるようになってきたから本当に仕入れ困ってたんですよ。」

「それならそうとサッサと相談に来いって話よ。」

「いや絶対信じないじゃん。」

「まぁ……間違いないね。」


「もうね、俺かなり金策に頭絞っててさ。魔法使ってもらってる動画とか取って、それで広告収入! とかも考えてたから……あ~~。ほっとした。」

「ん? 動画? そういうのって、どうなの加藤ちゃん」

「ええ。よく聞きますね。動画で数億円稼いだ人もいるとかなんとか。」

「あらっ!? えっ!? 動画で??」

「ええ。そうですね。」


 オバちゃんがギンっと獣のような眼光を俺に向ける。

 やめてその目。嫌な予感しかしない。


「アンタ! お金出してあげるから、良い動画取ってきなさいっ!!」

「…………」

「返事はっ!?」

「…………ぇーい。」


 納品があると伝え、残りの回復の巻物を置いて会社を出る。

 経費で落ちる事になったけれど、その代わり業務命令が出てしまうというジレンマ。

 ムシャクシャしたので、クッソ高めのビデオカメラとかネットで買えば安い事間違いないメモリを新品で電機屋で買ってやった。結局自分の首を絞めることになるのだが後悔はしていない。


 なにはともあれ、オバちゃんに対して結果を出すなり売れる物を見つけるなりしていれば仕入れに対する現金の問題は解決しそうだ。


 今日ギルドにボールペンを納品したら、もう一度アニと話をしよう。

 そしてアニに魔法を使ってもらっているのを動画を撮るテストにしよう。


 今後……もしかするとモンスターとのバトルとかも撮る必要あるのかな?

 安全を考えると下水道でゾンビとかも撮らなきゃいけないのかな? ……憂鬱だ。


 そんな事を考えながら、歯ブラシも買い物カゴに入れれるだけ入れて買って帰り、家で新品のビデオカメラの充電をセット。ボールペンやチョコ、歯ブラシを部屋へと運ぶ。


 運搬がやっぱり面倒だ……まだまだ課題は多いなぁ。

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