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パソコンが異世界と繋がったから両世界で商売してみる  作者: フェフオウフコポォ
新世界の調査と基盤作り編

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50話 ニオイ対策は万全だぜ!

本日3話目



 ギャビィと別れ、アイーシャに腕を組まれた事で俺についているニオイの一切が消し飛ぶようにアニに念入りに2回のクリーン魔法をかけて貰う。


 俺の様子に『1回で十分よ』と笑うアニに合計4回分のクリーン魔法代金を支払おうとすると、なぜか銅貨1枚にまけてくれた。

 1回鉄銭3枚と言っていたので、ほぼほぼ一回分得した気分になりつつも、それで良いのかと問うとアニが意味ありげに笑う。


「さっきのチョコ。もう4袋も売れたのよ。」

「えっ!? この短時間でですか!? ……ちなみに幾らで売ったんです?」

「フフ……私にあつ~い視線を送ってくるオジ様達に一袋銅貨4枚で。」


 値段を聞いて驚いているとアニがしてやったり顔をしている。


 アニは屋台で売り子とはいえ持ち前の美貌もあるし、それに単純に魔法使いが不利な地域に住んでいるから今は冒険者として活動していないだけで、本来の冒険者としての地位はそれなりの実力者に位置するだろうという印象が垣間見えた。


 美貌もあり優れた冒険者。

 冷静に考えれば高値の花のような存在なのかもしれない。

 そういった人間が土産にも良さそうな菓子を売っていれば話す機会を持ちたくておじさん方は頑張って買ったりしちゃうだろうな。

 まぁアニが言葉巧みに売りつけたっていう線もあるから詳細は分からないけれども。


「今日はイチも巻物を買ってくれたし、もう私久しぶりの繁盛でホクホクなワケよ。ふふふ。」


 ニコニコしていたと思ったら、急に真顔になるアニ。


「で、相談だけど……あのチョコをもっと沢山仕入れられない? 新しい物見たさとか、そういった空気もあるから今ならあればあるだけ売れると思うわよ。」


 これは嬉しいお言葉。


 ただ取り扱い量が多くなれば、それに伴った問題もある。

 特に食品の場合なんかは品質管理は大事だ。保管方法や運搬も。


 まずは品質管理を第一に考えれば、チョコは徳用チョコとはいえ温度管理が必要。屋台で昼間、直射日光を浴びるように野ざらしにされたら、でろでろ状態のチョコになってしまうだろうし品質は日に日に悪くなる。 チョコは一旦悪くなれば売りにくい。


 となると屋台での売り方を考える必要がある。


 アニにチョコを渡す前に、きちんとチョコに関する最低限の知識を渡す前に説明すべきだったかもしれない。保管についても同様だ。

 蒸し風呂のサウナになりそうな所とかに置いておくのは論外だし袋が破れたりしたら賞味期限も切れやすくなるから一定のルールを設ける必要がある。


 そしてなにより一番の問題は運搬。


 日本でなら車で運ぶが、こっちだとオーファンか俺が持ち歩くしか今のところ運搬手段が無い。

 一輪車やカートはモニターを通らないし通る大きさのカートがあったとしてもきっと少量しか運べない。


 いっその事……アニに俺が別の世界に行ける事を話して協力者に仕立て上げるか? 美人だし。なんといっても谷間なおねーさんだし……

 いや……アニは既に魔法使い仲間が居ると言っていた。大人数に知られるのはあまりよくないだろう。


 なにからどう解決したもんか……


「う~ん……」


 俺が悩んでいるのをじっと見ているアニが目に入る。

 夕焼けに照らされたアニの顔は、どことなく紅潮しているようにも見えた。


 そんなアニが手招きしているので顔を近づける。アニが俺の耳に顔を近づけ小声で囁く


「ねぇイチ……コレが商売になって儲かるようになったら個人的に色々な事をレッスンしてあげてもいいわよ。だから、考えておいてね。」


 と、一言残して店仕舞いを始めた。


 レッスンって……なんだ!?


 なんのレッスンですか先生!?

 そこんとこはっきりしないと生徒のやる気に直結します! これはかなり重要なポイントですよ先生っ! カモンっ!


 ……とは聞きにくい雰囲気になっていたし、周りの屋台もチラホラと入れ替えを始めたり帰る準備を始めていたので明日までにアニに話すことをまとめて、しっかり問う事を決意しアデリーの店に帰る事にした。


 アデリーの店に向かう道すがら、今日これからの事と明日やるべき事を考える為に腕を組み顎に手を当てて熟考する。


 今日はこれでアデリーの所に帰って問題ないはず。

 他の予定もなかったと思うし一応アデリーと食事をとって、普通に話を聞いて早めに帰って寝よう。

 今日は色々な事がありすぎて、まずは整理と休憩が必要だ。


 とりあえず一番の課題だった今日俺の左腕についたアイーシャのニオイは、髪染めの薬液を落とすレベルのクリーンを2重にかけて完璧に削除できたはずだから、もう心配ない。


 俺もアイーシャもポリポリの犠牲になる事はない。ふはは。クリーンの魔法最高!


 安堵の息をつき朝一からの出来事を振り返る。


 ブライアンにLEDを納品したし、もしかするとまたすぐに仕入れを頼まれる可能性もあるよな……日本でもっと質の良くて安いのに当たりをつけておくといいかもしれない。


 アンジェナとエルフの男……クロムだかクラムだかって人から大口の注文を貰えたのは本当にラッキーだった。手配も滞りなく済んだし商品は午前着らしいから、明日届き次第会社に取りに行ってせっせと運ぶだけだ。

 あぁ、運ぶ時のオーファンの手配がまだだから明日午前の内に段取りしたらいいよな。明日の最優先はこれだ。なにせ金貨5枚の取引だからな。


 今日ブライアンから手に入れた金貨を巻物で使っちゃったていうのも、この取引で手に入る目算があってのことだし。うん。

 で、金貨で手に入れた回復魔法の巻物2巻と、睡眠魔法の巻物1巻……日本でどうやって試すかだ。


 俺はこれを日本の現金に変えなくちゃいけないんだ。


 銀貨4枚と銀貨1枚。一回4万と一回1万だ。

 慎重に扱いつつも早々に現金にしたい。


 アイーシャがエルドさんからウイスキーの注文を取ってくる可能性もあるし、ブライアンの店には頻繁に顔を出すことにしよう。

 何リットルの注文になるかが不安だが、これについてはアニに売るチョコも同様だ。どちらにしろ日本からの運搬方法を考える必要がある。


 一番楽なのは俺が納品場所でアプリ起動して部屋に置いてある物をポイポイ投げれば楽だがそうもイカンだろう。

 勇者は無限収納とかチートがあったけど、そういった便利能力は勇者しかないからな……やっぱりアデリーの店から人力で運ぶ方法を考えるのが現実的か。


 そういえば……アデリーはなんか本気で金稼ぐ的な事言ってたよな? ……まぁ、いっか。

 歯ブラシや靴下で稼いでくれたらラッキーだ。


 ギャビィは2日間放置して頭皮に異常が見られなければ取り扱いとして考えるのは悪くないだろう。なんせ結構利益率は高そうだからな。モニターとしてのギャビィもいるから興味を持つヤツもいるだろう。


 それとアニの魔法を使うシーンは動画撮影をするつもりだしビデオカメラが会社に無いか聞こう。

 オバチャンあたりが、なんか持ってそうな気がする……いや貸し借りは面倒だから買うか。


 高額でも最近のネット動画は高画質だし新しいカメラが良いだろう……うん。やっぱり買おう。


 あぁ、後パスタってのもあったな。

 ただこれも結局運搬がネックだ。

 どちらにしろ運搬方法をきっちり樹立する必要がある。


 現状だとアデリーの店から一番距離があってもギルドまでだ。


 やっぱり今はオーファンに頼るしかないかなぁ?

 まぁ? 人件費としては安いしあの子達に金が入るなら悪くない。明日のギルドへの運搬で使ってみてから考えよう。


 よし。多分これで一通り思い返せたし明日やるべき事も見えてきた。


 明日やるべきは、オーファンに頼んでボールペンの運搬手配。

 ギルドの金貨5枚の取引の納品と取引の完了。

 日本で金を稼ぐ方法として回復魔法の巻物の有効活用法の検討。

 動画撮影用のビデオカメラ購入と、チョコも購入しておこう。業務用食品販売店に行けば段ボールで買えるだろ。買えるだけ買おう。で、時間があればアニに納品。


 と。


 ……なんだか明日も忙しくなりそうだ。


 一通り考え終えるとアデリーの店の前についていた。店の戸を開けるとアデリーが居る。ちょうど貰った料理を2階に運んでいる途中だったようだ。


「ただいま~……いや~、今日はなんか忙しかったよ。」

「お帰りなさいイチ。お疲れみたいね。 なんならマッサージでもしてあげましょうか?」


 …………


 おかしいよね。

 また『ただいま』って言っちゃったよ?


「訂正っ! おじゃまします!」

「ふふ、なぁにイチ。また他人行儀になって。」


 変な物をみたようにフフフと笑うアデリー。


「あ、そうだったわ。はい。」

「ん?」


 両手を広げてハグを待つアデリー。

 はいはい。ハグと同時にニオイ確認ですよね。


 もう色々わかりません。


 なので大人しくハグされることにした。俺が手を広げると、アデリーが音もなく俺に近づき抱きしめ、フニョンフニョンの幸せを感じる。


 んんっ! やっぱり嫌いじゃない!

 嫌いじゃないぞ! この感覚!

 ちっくしょう! ちょっと疲れてるから、反応しちゃうだけだ!

 別にアデリーの事が好きなワケじゃないんだからね!


 突然アデリーの胸から力任せに離され、やっぱり首、肩、腕、胸、腹、腰とスンスンされる。


「ニオイがしない。」

「う、うん。そうだよね。だって仕事で飛び回ってたからさ。ニオイの事なんて考える余裕もなかったよ。」


 アデリーの両手が緩んだので、抜け出す。


「じゃ……明日もちょっと忙しそうだから今日はこれでアッチ行って仕事の続きをするよ。また明日そうだな……昼過ぎになるかも。」


 言葉の途中までは意思の通りに動けていた。

 ちゃんと2階に向かおうとする足は動いていた。


 だが、今足は動いていない。


 なぜなら俺の体がアデリーの糸で拘束されているからだ。


「あ、アデリー? こ、これはどういう――」


 アデリーが俺の目の前に移動し俺の顔をじっと見つめてくる。


「ねぇイチ。なんでなんのニオイもしないの? なんで今日の朝したニオイまで消えてるの? ねぇイチ。教えて?」


 …………あ~~……そっか~~。

 そりゃ、まるっと綺麗さっぱりニオイがしなくなってたら逆に怪しいですよね~。


 そっか~~――


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