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パソコンが異世界と繋がったから両世界で商売してみる  作者: フェフオウフコポォ
最終章 成金無双王編

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154話 初志

本日2話目



 俺に対するシェリーと服を着ててもエロい人ことルマナの誘惑は、アデリーの片眉ピクリに勝つ事は出来なかった。案内後そのまま夢と欲望の園に大人しく帰る。

 アデリーつおい。


 だが……俺の中に、熱い心を燃え上がらせるには十分だった


 俺はアデリーを愛している。

 これは間違いない。


 アデリーは蜘蛛要素が消えた今間違いなく女神のような美しさ。

 俺の要望にはなんでも応えてくれるエロさに、先読みして動く知恵や知識といった賢さ。

 そして母……いや、オカン級の器の広さを持っている完璧な女だ。


 ……ただ一つ。


 ただ一つ!

 俺の浮気に関してだけは、突然その器が猫の額より狭く、A4用紙の厚み程に薄くなることだけが問題だ!


 俺が『アラクネがハーレムを許すのはなぜか』とマドカに問うた時に、マドカは言っていた。


 『単純にボクの方が強いから』と。


 ボクの方が強いから……


 強いから……


 強いから……


 マドカの言葉が頭の中を何度も反響する。



 そもそも俺は何の為にニアワールドで金を稼いでいる?

 従業員となったオーファン達を路頭に惑わせない為か? 違う。

 美味い物を食べる為か? 違う。

 ニアワールド観光を楽しむ為か? 違う。


 金があればなんでもできるからだ。


 そう。


 『なんでもできる』


 俺がアデリーと出会う前、何をしたかった?

 この美男美女だらけの世界で何をしたかった!?


 ソレは単純だ。

 『いい思いをしたかった』

 美女に囲まれ酒池肉林を望んでいた。

 

 その夢を実現する金はもう手にしているし、さらに大きな権力を手に入れることすら既に時間の問題だ。


 酒池肉林……贅沢三昧な暮らしはもう用意できる土台が整っている。

 だが、俺の望む意味での『肉林』は……アデリーによって阻まれる。


 俺はアデリーの事は愛している。

 出会えた事にも感謝している。


 だが、他の女も愛したいのだ!

 そしてもっと色々したいのだっ!


 ならどうする……


「俺は……アデリーを超えるっ!

 そして俺のハーレムを作るっ!」


 今、俺史上最高に心は燃え上がるのだった。



--*--*--



 この日からムトゥやゴードン商会、アルマン商会の協力と、さらにギルドの協力まで取り付け、どんな些細な能力であってもスキルを買い求め、そして気を失ってスキルカードハイになりすぎない程度のカードをこっそりと割り続けるイチの姿があった。


 とある一日を観察すると


 朝、目が覚めると、アデリーの目を避けてスキルカードを割る。

 朝食を食べながらスキルカードを割る。

 会議があれば、会議テーブルの下でこっそりスキルカードを割る。

 昼食のお供にスキルカードを割る。

 昼食後の仕事で眠くなってきたらスキルカードを割る。

 仕事に疲れてきたらスキルカードを割る。

 ちょっとジョギングに出たら汗を拭くついでにスキルカードを割る。

 飲み会があれば、おつまみを食べ、酒を呷ったついでにスキルカードを割る。

 お休み前にもこっそりスキルカードを割る。


 とにかくスキルカードを割って割って割り続け、小さな能力を吸収し続ける。

 気絶するような大きな能力を手にすると、スキルカードハイで下手をうちかねないから、あくまでも慎重をきすためだ。


 そう。万が一にもアデリーに気取られて対策を打たれるわけにはいかないのだ。


 もちろんアデリーの気を逸らす事も忘れない。

 といっても、逸らしすぎる事に執心すると勘のいいアデリーに気づかれてしまうので極力バレないようにムトゥやアトの協力の下、日常下でスキルカードを割り続け自然に些細なスキルを手にしているのだ。


 しばらくハンドグリップでの筋トレのような感じでスキルを手に入れ続けていると、スキルカードを割っても余り手応えが無いように感じられるようになった。


 ソレが連続して感じられるようになってきたので違和感を覚え、アデリーと仲が良いサリーさんと二人での日本旅行を仕組んでアデリーを日本に追い出した上で、手にしたら気絶しそうなレベルのスキルカードを割ってみる事にした。


 出かける時に俺が来ない事に不満顔のアデリーを見送ってから、すぐにスキルカードを割る。

 流石に熱い粒子が襲ってきて気を失うはず……と思っていたが……俺は気を失わなかった。


「おおよそですが、イチ様の能力を受け入れる土壌が整った……もしくは器が大きくなっている可能性が高いのではないでしょうか?」


 見守っていたムトゥの言葉に、夢と欲望の園のギルド出張所へ出向いて、アンジェナに頼んで物凄く久しぶりのギルドカードの更新をする。


 アンジェナが運んできたオーブに両手で触れると、これまでにない輝きを放ち始める。

 アンジェナも目を見開くようにその光景を眺めて少し呆けたような雰囲気になり、一声かけるとハッとしてカードの更新を行う。


「うっわぁ……」


 アンジェナの耳が俺のカードを見てピコっと動く。

 『どうなった?』という視線を送ると、少し呆れたような表情をしている。


「……一体……何を目指しているんですか?

 明らかに異常な数のスキルです……体調に問題はないんですか?」


「……ん~……体調は全く問題ないですね。むしろ(すこぶ)る良い感じ。

 ちなみにアンジェナさんの見た感じで、今の俺の力量ってどんな感じ?」


「そうですね……ジャイアントの討伐程度なら単独でも問題ないレベルの冒険者。

 個別の難関クエストの討伐依頼があった場合に相談しようか悩むレベル……といった感じでしょうか。

 並以上の力を得られている事だけは間違いないです。」

「そうか……ありがとう。」


 アンジェナに礼を言い、腕を組んで右手を顎に当てて考える。

 アデリーはジャイアント程度はチョチョイのチョイのアデリー先生で倒してしまう。

 俺は今なら単独でも大丈夫だろうレベル。


 差はまだまだ大きい。


 勇者マドカは序盤でもオーブの測定でオーブを測定不能でぶち壊してしまったレベルだ。

 さらにそこから進化していて、それでアラクネの女王よりも強い状態なのだから、せめて俺もオーブをぶち壊せる状態になってから具体的な行動を開始したら良いかもしれない。


 そう思い至りコクリと頷き、ギルド出張所を後にした。


 ――が、後ろから


「折角来ておいて食事に誘わないのです?」


 というアンジェナの声が聞こえたので慌てて戻り、改めて誘う事だけ告げておいた。

 そしてスキルカードの質を上げて、またストイックに割り続ける日々を過ごすのだった。


 ――月日が流れ、勇者マドカとマドカのハーレムメンバーが、暇つぶしで日本でアイドル活動を始めてソレに火が付き、ニアワールドではゴードン商会と、アルマン商会の取り組みが具体化し始めてきた頃。俺はオーブを爆散させることに成功した。


 耳をピーンと立てたアンジェナを横目に、俺は呟く。


「これでようやく第二段階に進める……くっくっく……今から日本に向かう!」


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