141話 アデリーハーレム
「あらあら……どうしたの~? イチちゃん?」
「勇者がぁ~! 勇者がぁ~~! うわぁぁん!」
とりあえずアデリーの胸に飛び込む。
揉みながら谷間に顔をグリグリと押し付ける。
「よしよし。
それは困ったわねぇ……」
頭を撫でてくれるアデリー。
……ちなみにこんな事をしているのには理由がある。
日本で『人殺し』となってしまってから既に一ヶ月は過ぎているのだが……やはり禁忌としていただけあって反動があった。
夜眠ると、俺に殺されたやつら。
特に引き金を引いてしまって『殺した』と強く認識した初老の男が夢に現れては、俺に恨みつらみを言っていくのだ。
眠るのが徐々に怖くなり精神的に病みかけた俺をアデリーが放置するはずもなく、なんとかしようと動いてくれた。
具体的には、アデリーが優しく包み込んで精神的な安定を保つようにしてくれたのだが、その結果として俺はアデリーの前では若干の『退行』を取るようになってしまった。
『退行』は人間の持つ防衛機能だ。
耐え難い事態に直面した時に、現在の自分よりも幼い時期の発達段階に戻り自我の安定を保つ。
俺には物心ついた時には母がいなかった事もあり『甘えられる存在』と認識してしまったアデリーの前で思い切り子供のように甘えるようになってしまったのだ。
甘えるという行為は、とても心地よく。
自分の心が静まるのを感じ、よく眠れた。
もちろんアデリーは他の策として俺をアリアと一緒に出掛けさせて狩りをさせたりもした。
命を刈り取る行為を重ねる事で意識をずらそうとしたのだろう。
またアリアは命を刈り取る行為に慣れている事もあり、俺がそれに対しての罪悪感を覚えにくいという事もあった。
獣を仕留めた時も、アリアは
「おほほほーーっ! やったぁーーっ!! やったねイチー!」
と、明るい。
ちなみになぜ俺が気軽に狩りに出られるようになったかというとニアワールドの外で『ジャイアントの気配が消えた』のだ。
というよりも各地から『手強いモンスターの気配が消えた』らしく、普通の野生の獣が多くなっている。
ちなみに。
俺の装備は、万が一を考慮し銃を持つ事にしている。
今、夢と欲望の園のアデリーの部屋に置かせてもらっているのは、『M4A1カービン』アサルトライフルと『89式』
そして俺がメインで使用しているのは89式。
89式を使う理由は簡単。
『ア』『タ』『レ』『3』と書いてあって、それぞれが安全、単発、連発、3連発を指しているのだが『当たれ!』って感じが小粋で気にいっているのだ。
大型の獣を狩ると、初めのうちは『命を奪った感』がなかなか凄まじい物があった。
だが、夢と欲望の園で、ムトゥやアト、サト、その他の元気なった子供達や、勇者の街から言葉を話せるようになったり元気になったオーファン達と羊のお姉さんが夢と欲望の園に移り住んでいて、そのみんなが喜んであっという間に食べつくしてくれたり宿泊客にも出す事が出来たりしたので、その嫌悪感は徐々に薄れていった。
……余談だが、羊のお姉さんはムトゥの事がずっと好きで尊敬していて、その気持ちからオーファンの面倒を見ていたのだそうだ。
そしてオーファン達が元気になり手がかからなくなった事で、今度はムトゥの世話を焼き始めている。
もちろん、俺もアデリーもみんなでお姉さんを応援しているがムトゥは頑として受け入れていない。
聴けば年の差がある事をムトゥが気に病んでいるからだそうで、その内長命のカードを使わせる事は俺とアデリーの間では既に決定済みだ。
こんな日々を過ごす内に、悪夢を見ることも少なくなったのだが、ここで重要なお知らせだ。
アデリー。
母性に目覚める。
いや元々母性も強い方だと思うのだが『私が守らなきゃ!』的な使命感が増えたというか、俺に対して過保護になった。
そして、俺。
ソレを利用して、とうとう犬耳姉さん『ベラ』とエロい事をする事に成功する。
朗報。
朗報。
犬耳とエロい事をする事に成功する
え? 今更でしょ?
そう思ったヤツは甘い。
だって、俺。
きちんとエロい事が出来たのは、アデリー、アイーシャ、アリアだけだもの。
エイミーは……ほら…下半身……馬だから……
上半身でエロい事はさせて頂いてますが……きちんとは……ほら……ねぇ。
うむ。
ここで一度、アデリーハーレムの確認をしておこう。
まずはハーレムメンバーの名前をアデリーにペロペロされた順に挙げていく。
・エイミー
・俺
・アイーシャ
・アリア
・レノラ
・ソフィリア
・ベラ
・エレン
・キャシー
の9人。
『ウチのアラクネ』こと、アデリーは持てる力を最大限に利用してハーレムを作っている。
そう。アデリーがハーレムを作っている。
俺はハーレムを作れていない。
そもそもの話として『俺のハーレムは存在していない』のだ! くそうっ! 俺はおこぼれに預かる身なのだ!
まぁ、それはそれで満足ですが。はい。
さて、ハーレムメンバーの詳細を見ていくと、まずはケンタウロスメイドの『エイミー』
このお馬ちゃんは俺がゴードンと知り合う前に、ゴードンの指示で俺を探して尾行、逆にアデリーに捕まって調教され『お馬ちゃん』として弄ばれるようになった、ちょっと色んな意味で可哀想な子。
ちなみにニンジンジュース好き。
最近はヨーグルトと野菜のスムージーがお気に入り。
人部分はスレンダーな美人さんだ。
次に『俺』と、一応ドワーフの『アイーシャ』
俺とゴードンが、ひょんな事からアイーシャの部屋に行ける事になって、それを盗聴してたアデリーに強制連行と同時に喰われた。もちろん性的に。
で、ここで、俺はアデリーとアイーシャとは関係を持つようになり、アデリーも俺がアイーシャに手を出す事は、アデリーが一番であることを忘れなければ許容してくれている。
ちっちゃいプニロリちっぱいで可愛い……けど計算高い感あり。後、意外と性欲は強い。
続いて犬耳戦闘メイド『アリア』
アホ犬メイドではあるが戦闘に関しては物凄く頼りになる。
尚、好物はアメリカンドッグとジャーキー……だったが、最近は焼肉のたれにハマって『ホルモン焼肉』にご執心。「シロ! ミノー! うまー!」だそうだ。
七輪と、焼き肉のたれ(甘口)が特に好みらしく、最近ようやく『すりおろしにんにく』と『唐辛子』をタレに混ぜる快感に目覚めている。
この犬メイドはアデリーがコーヒーゼリーでご乱心したキッカケで、ねんごろになり、なし崩し的にアリアとも関係を持つ事を許されている。
もちろんアデリーが一番であることを忘れてはいけない。
戦闘職だけあって身体はキュっとしまっていてスタイルはとても良い。そしてアグレッシブ、アンド アグレッシブだ。
ここまでが勇者の街で出会ったハーレムメンバー。
そしてここからは王都で出会ったハーレムメンバー。
王都で出会ったハーレムメンバーは王都1番の商会、アルマン商会が俺につけた『首輪』のような存在として俺と同行する事になったアルマン商会のメイド達だ。
一番はじめにハーレムに取り込まれる被害にあったのは、ネコミミの『レノラ』
スレンダーで知的な印象を感じるクールビューティー。
タイトスカートとブラウスそしてメガネが最高に似合いそうなお姉さんで、俺がアンジェナにプロポーズしたという誤解をアリアがアデリーに報告してキレたとばっちりで、無理矢理ハーレム入りさせられた可哀想な人。
戦闘もできるはずなのに、成す術もなく弄ばれた可愛そうな娘さん。
ネコなのに生真面目。もちろん可愛い。美人。いや、ビューリホー。
そして俺は手を出す事は許されていない。
お預けである。
ちょっと触れるくらいしか許されていない。
ちょっと触れても背中がゾワゾワする不思議。
そしてレノラが落ちた事で『鈴』を外しちゃおうと考えたアデリー。
次々にメイドに手を出して落としていきましたとさ。
次の被害は蛇メイド『エレン』
不思議系な感じの子だけど、この子は手を出されて『いや~ん。背徳的ぃ~』と、逆に興奮するような変態だった。
いや、もちろん、ぐぅの音もでない程に調教されていたんですけどね。
あ。はい。
俺。ただ見てました。
蛇がくねりくねり、クネリンコしてるのを。はい。
で、別行動で整備途中だった夢と欲望の園に待機してた、
ぽよぽよほわほわむっちりウサミミさんの『ソフィリア』
仕事キッチリちょっと怖い超真面目の犬耳『ベラ』姉さん
ロリロリドワーフ『キャシー』ちゃん
……いや、キャシーは、分かっていてロリ風に振る舞っているタイプだから、キャシー…さん……かなぁ? キャピキャピしてたと思ったら、時々遠い目してるからな……あの哀愁は、年季を感じさせる……
うん。腹黒キャシーさんです。
この3人は、アデリーが巣みたいな部屋を作って誘い込み、3人同時に縛りに縛って調教ですよ。
ベラ姉さんが落ちる瞬間は、ゾワゾワして思わずフヒって変な声でました。
え。はい。
もちろん見てただけです。
…………
そう。
俺が、しっかり関係を持てているのは……
もう一度言おう。
アデリー、アイーシャ、アリアだけ 『だった!』
そこに犬耳ベラ姉さんが入った!
うほほほーいっ!
アデリーに『ぼくちん怖くて眠れないのクスンクスン』攻撃を繰り出し、アデリー俺を心配する余り、戦闘経験の豊富なベラに相談を持ちかけ、ベラもベラで姉さん系で面倒見がいいから、
「男はやはり、女を抱く事である程度発散できると聞くな……」
と、呟いたのをキッカケに、アデリーとベラとねんごろタイム突入できましてんっ!
やったあぁぁっ!!
犬耳さん。
お姉さん風に見えて、俺のスキル性感帯発見でどんどんと乱れてくる感じがとても素晴らしかったです。
いい。いいよ。
俺もハーレムできるかも!
俺。もっとハーレム浸食できるまでは退行しまくるんだ!
蛇娘の舌とかすごそうなんだもの!
うへ
うへへへ
うへへへへへへ
「……ねぇイチ?」
俺を撫でる手が止まる。
うへっ?
「前みたいに元気になったみたいで良かったわ」
ニッコリ微笑むアデリーが居た。




