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パソコンが異世界と繋がったから両世界で商売してみる  作者: フェフオウフコポォ
命の価値 編

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131話 救出

本日2話目

 結香子の居場所を確認すると魔道具の針が斜め下を指していたので地下への階段を探す。


 なぜ若頭の探索ではなく結香子の幽閉されている部屋を確認しに行くかというと、結香子の状態が気になるという事もあるが、なにより若頭という人間の特徴を知らないから探そうにも探せない。

 だから、結香子の部屋を探し、恐らくそこにはチンピラが見張りをしているであろうから、そいつらに鍵を持っているであろう若頭の特徴を吐かせて特徴を確認してから探して鍵を手に入れ結香子を救出。そして脱出を図る作戦にした。


 もちろん動けるチンピラは少ない方が良いので目に入るやつは全て殲滅していく。

 大体の場合は俺が隠密をかけているので、チンピラが気づいてない状態で、遠慮なく雷弾を撃ち込んで気絶させる事が出来る為、慣れてしまえば簡単な物だ。


 チンピラが倒れていることで俺の進んでいる足跡を残すことになるが、隠密を使っているから見つからないだろうし、それに、どちらにしろ俺自身が、もう屋敷に居る全員に対して撃ち込むつもりになっているから関係ない。


 それに、隠密は疲れるから捜索と救出には長い時間はかけたくないので、急ぎ足でサーチ&デストロイが一番効率がいいはず。

 出会うチンピラに対して雷弾を撃っていく。


 途中魔法銃の反応が切れたので、咄嗟に自分の魔力を使い雷弾を発射し殲滅した後に、魔蓄カートリッジを交換する。

 今後、魔法銃の研究も進めていくつもりだから、同時に魔蓄カートリッジの大容量化も研究した方が良いかもしれない。


 しばらく探索を進めると、地下に向かう階段を発見し、階段を下りて魔道具を確認すると水平になっていた。

 ……間違いなく結香子がこの地下階に居る。


 魔道具に従い殲滅しながら足を進めると、廊下の先で5人ほどが警戒をしながら見張りをしているのが目に入りピンと来た。きっと結香子はあそこにいる。直観だがそう思った。


 見張りがそこに集中していることから迂闊に手を出すと何かしら反撃をくらうかもしれない。

 それにも結香子を人質に取られる可能性もあると思い、どうするか少し悩みつつ様子を伺っていると、結香子が居るであろう部屋は鍵が開けられていて、自由に出入りをしているような感じがした。


 もしかすると鍵がかかっていないかもしれない。

 様子見をして無駄に時間が過ぎるのもなんだし、いっそのこと全員まとめて殲滅してしまい、もし鍵が開いてなければ回復させてから拷問して聞き出そう。


 そうしよう。


 魔蓄カートリッジの残弾数はまだ十分だが念の為新しい物に交換する。。

 息をゆっくり、ふー。と吐き、照準を見張りに定める。


 照準を定めながら近づき、そして連射した。


 人を的にすることにも慣れてきていたから見張りの4人はすぐに倒せた。

 だが、撃たれたヤクザが最後の足掻きにふところから何かを取り出そうとして失敗し、ガシャリと固い物が落ちる音が聞こえた気がした。


 一人を仕留めそこね部屋の中に逃げ込まれてしまったので、落とした物を気にすることなく隠密を全開にして追い、逃げ込まれた部屋の中を覗く。


 すると、見張りの男はこっちに銃口を向けていた。

 銃の存在に面食らってしまい、慌てて覗いていた顔を廊下に戻す。


 銃の存在に戸惑いつつも倒した見張りを確認すると、拳銃を落としていた。

 

 ゾワっと、背筋に震えが走り、冷や汗が流れる。

 だが、ちらっと見た光景の中に結香子が居た。


 男が二人と結香子が居て、見張りがこっちに銃口を向けている。 

 結香子は倒れていて、一人の男が足蹴にされていた。


 このままだと人質に取られて状況は不利になる可能性が高い。

 それに俺の魔力の残量だって正直不安だ。


 俺が中を覗いた時に発砲されることは無かったから大丈夫だ。


 伏せてそっと地面の近くから覗く。

 見張りが向けている銃口は『立っている人間の胴』を狙っているような位置で固定されていて、足元から顔を出す俺に銃口が向いている気配はない。


 もう一人の男は結香子を盾にしようと起こそうとしている。


 いける。

 大丈夫だ。


 銃口が下を向かないか注意をしながら、見張りの男に魔法銃の銃口を向け、撃ち込む。

 ボシュっと魔法銃から雷弾が発射され見張りに命中する。


 パン。


 魔法銃の発砲音とは違う音が鳴った。

 見張りが引き金を引いたのだ。


 幸い弾は固定されていた胴部分に向けての発砲で、俺に当たる事は無かった。

 ただ、実銃で間違いない。

 エアガンなんかじゃない。


 そして、結香子を盾にしようとしていた男と目があう。

 男は、だらんと脱力している結香子の身体を容赦なく持ち上げ、盾がわりの人質にしようと抱えた。

 首を右腕に抱えられ、これまで見えてなかった結香子の顔が目に入る。


 俺の見た結香子の顔は、左目付近が腫れ上がって青痣になり、口からは血が流れていた。


 一瞬思考が止まる。

 綺麗な顔立ちだった結香子。


 その結香子が、なぜ、目を逸らしたくなるような顔になっているのか。

 呆然とした後、盾にしている男に怒りが沸き、気が付いたら俺は、土魔法を発動させていた。


 男の足に土魔法の棘がささって串刺しになり男が叫び声をあげる、痛みに耐えきれず結香子を離した瞬間に、何発も雷弾を撃ち込むと男は倒れた。


 全員倒した事を確認し倒れた結香子に慌てて駆け寄ると、後ろ手に結束バンドで結ばれていて腕の自由は奪われ、もがいたせいだろうか細い結束バンドが擦れて血にまみれていた。


 ……そして右手の爪が全部割られ、3本は剥がされていた。


「なんでこんなことができるんだよっ!」


 誰に言うでも無く、ただ口から漏れる。


 息を吐き、落ち着きを取り戻してから、自分の指先に火魔法を集中し結束バンドを焼き消り、結香子の怪我をしている箇所を中心に回復魔法をかけていくと、やがて結香子が目覚めた。


「…………あぁ……これは夢でしょうか。」

「すまん……悪い夢だと良かったんだが……こんなことになって本当にすまないと思っている。」

「いえ……違います。

 ……イチ様が助けに来てくれるだなんて……最高の夢ですよ。」


 回復魔法で綺麗な顔を取り戻した結香子が笑った。

 思わず抱きしめる。


「ご安心くださいイチ様。

 私は何一つとして喋ってませんから。」


 嬉しそうに結香子が囁く。

 俺は悔しさなのか、何か大きな感情が胸にこみ上げてきて、どうしようもなく泣きたくなった。


「……本当に…ごめん。

 こんな目にあわせて……ごめん。」


 結香子は言葉に詰まる俺を……そっと抱きしめた。



--*--*--



 結香子には拾った拳銃を念の為に持たせ、俺と一緒に持ち帰る荷物を引きずる事で隠密の能力を共有し、出会うチンピラを殲滅しながら脱出する。


 殲滅といっても、いくら結香子が撃つ気満々とはいえ流石に殺人までさせるワケにはいかないから俺が雷弾を撃つ。


 屋敷の外に出て中村君に連絡すると、玄関まで猛スピードで車を回してくれたので引きずってきた荷物を積み込んで乗り込み。


 間違いなく脱出できる状況になったことを確信し。

 俺は車に乗り込む前に、屋敷の適当な場所4か所に向けて火の玉を放った。


 ――クソは炭になればいい。


 できるだけ消えないように呪いを込めて魔法を放ってから逃げ出した。



 こうして俺は結香子を無事に救出することができた。


 だが……肝心な誘拐の指示を出したやつの姿が無かったように思う。

 今回は実行犯に対して少しダメージを与えただけだ。

 

 このまま放っておけば俺の関係者が結香子のような目にあう可能性が高く、それはとてもじゃないが許せない。


 ならば元を断つべきだ。

 その為の行動をこれから始める。



--*--*--



 山に隠れているようにヤクザの家を伺う影が4つあった。

 2人は伏せるように隠れながら双眼鏡で屋敷の様子を伺っている

 1人は少し後方でタブレット端末を操作し、もう1人はアンテナの付いたような機材などを弄っている。


「今のは一体何をしたんだろうな。特に何か武器を持っているようには見えなかったんだが……」

「サーマルでは、熱が放出された事くらいしか確認できませんでした。」

「ドローンからはどう見えた?」

「手から炎を飛ばしましたね。

 ただ、火炎放射器みたいな線上の炎が伸びる感じではなくて、炎の塊が飛んでいくように見えました。

 なんて言いますか……魔法みたいな感じです…………自分は正常です。事実を報告したまでですから、そんな目で見ないでください。」


「……で、上の方からは今の件について、なんか指示は来たか? 」


 機材を弄っていた男が答える。


「継続・続行だそうです。」

「へいへい。」


 双眼鏡を持っていた男が、走り去る車の方向をちらっと見て呟く。


「さてさて、ウィザードの教祖さんはマフィア幹部を連れ帰って何をするつもりかねぇ。

 期待してはなかったが、そこそこ面白いことになりそうだ。 ……撤収するぞ。」


 ドローンの回収を終えていたのか、あっという間にその場から消えていくのだった。


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