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パソコンが異世界と繋がったから両世界で商売してみる  作者: フェフオウフコポォ
新世界の調査と基盤作り編

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12話 LEDランプよ壊れているがいい!

 起きる。

 目覚まし使っていない。

 目を擦り、伸びをしてから動き出す。


 俺の朝はご飯を作る事から始まるのだ。


 寝る前に冷蔵庫に入れておいた昆布と水をいれた容器を取り出して鍋に注ぎ、そこに市販の出汁パックと豆腐を入れて火にかける。

 豆腐は面倒なので鍋の中でお玉で切る。


 その間に目玉焼きを作り、タイマーでちょうど炊き上がったご飯をホコホコとしゃもじで切るようにほぐしてから大きめの茶碗に盛り、その上に出来上がった目玉焼きを乗せる。

 

 鍋が煮立ったらすぐに火を止め、味噌をとき、冷蔵庫から納豆を出して全部を盆にのっければ朝ごはんセットの完成だ。


 味噌汁に目玉焼き付き納豆ごはん。

 いただきます。


 朝ごはんセットの最初の一口。それは目玉焼きとご飯だけを混ぜて醤油をたらし食べることから始まる。

 卵ごはんも美味しいけれど、目玉焼きご飯も白身の食感と濃厚な黄身の味が素敵だと思うのだ。


 きっちり2口食べ終わると七味を少しだけかける。

 ぴりっとした刺激と風味が変わってこれまた美味しい。


 この2口後にかける物は気分で変わる。ラー油だったり粉チーズだったり色々だ。

 味噌汁を飲んで舌をリセットしながら楽しみ、ご飯が半分無くなったら納豆の出番。


 添付の醤油を半分とカラシをまぜて、ぐちぐちぐちと混ぜる。

 その日の気分で混ぜる回数は変わる。


 もう今日は適当でいいや。


 ご飯に全部だばーっと納豆をかけて、まずは、そのまま納豆乗せ卵ご飯で食べる。

 一口食べてはっきりとした納豆の味と卵ごはんのハーモニーを楽しみながらぐにぐに全部を混ぜつつ味噌汁をまた一口飲む。


 まぜまぜ納豆状態になったら、後はむしゃむしゃ食べるのみ。そして楽しんで残りが少なくなったら味噌汁の残りを納豆卵ご飯にぶっかける。

 『汚い』『マナー違反』などと言われそうだけれど、こうすると洗うのが楽なんだから仕方ない。


 ご馳走様でした。


 ちゃっちゃと洗い物をしてシャワーを浴びて、一休み。

 一休みが過ぎてダラダラしていると9時をまわりそうになったので、少し慌てて車を出し工業試験場に向かう。

 とりあえず試験場に行くだけ行って調べられる事を聞けばいいだろう。


 工業試験場に到着し受付の人に「偶然すごい糸が出来たような感じなので、強度とか調べたいんです。」と伝え、担当者を呼んでもらう。


 一応名ばかりとは取締役の名刺があるので、交換して諸々聞き、耐摩耗性や引っ張り強さ摩擦などに対する強度等、堅牢度に絡む調査を依頼する事にした。

 連絡はメールが確実と伝えて用件を終え、工業試験場を出て家に戻る。


 一応会社にも「変な糸作ったから工業試験場にだした。連絡あったらヨロ」的な事をしっかり連絡しておく。


 うん。午前の用事終了。


 家に帰ってきたけど、全然昼には早い。

 ニアワールドに向かおうか悩む。


 もしかすると、もうアイーシャさんがランプを壊しているかもしれないじゃないか。

 なんたって神様にお願いしたんだから。

 ……いや、結局電話はしていないんだけれどもね。流石に変な事を神様に言って行き来できなくされても嫌だから。


 『住処を決めるまでは行き来自由』


 って言ってたから、向こうで住まなきゃいつまででもOKって事でしょ?

 そんな好条件邪魔させたくないってばよ。


 あ。

 その前に写真登録の仕事があったか。


 昨日のうちにパソコンに移しておいたデータを確認する。


「やっぱアデリーさんって上半身の色気スゴイよな。

 下半身は別の意味で凄いけど。」


 腕組みをしながらパソコンを眺め、唸ってしまう。


 売れそうと思うような写真を選り分けしていると、あっという間に昼が近くなっていた。

 普通ならご飯を食べてからニアワールドに向かうが、もしランプが売れたら向こうで物を食べてみようと思っていたので、今日は昼を食べずに向かう事にした。


 ニアワールド用の衣装に着替えてランプとチョコを鞄に入れてアプリを起動する。


 一応路地裏に入ってからアプリを起動したので、目立つような事もなさそうだが、顔だけ出して人気がないか確認しニアワールドへ移動する。


「さぁて……神頼みはどう出るのかな……」


 魔女の帽子の形の看板の店の戸をノックしてから開く。


「こんにちはー……」


 がらーんとした店内。


 早すぎたんだろうか?

 でも鍵がかかっている様子もないからきっと誰かいるだろう。


「すみませーーん!」


 少し大きめの声で呼びかけると、奥からバタバタと音がした。


「oh……」


 オッサンが来た。

 なんというか……オッサンが来た。


「失礼しましたー。」


 一度店を出る。看板に間違いが無いか見直す。

 うん。分かってる。店内昨日と一緒だったから間違いのはずがない。


 もう一度店内に入る。

 オッサンはちょっと太目の普通の人間で、変な顔で俺の様子をうかがっている。


「あ、あの~。すみません。

 アイーシャさんに用事があるんですが……いらっしゃいますか?」


 オッサンは納得したような表情に変わる。


「あぁ。アンタがイチだな!

 出たり入ったりと、おかしなことするヤツだなぁ。

 アイーシャなら今メシ食いに行ってるよ。」


「あ、そうですか。

 じゃあ、また後で来ます。」

「まぁまぁまぁまぁ! 待ちねいっ!」


 店を出ようとしたら力強く肩を掴まれた。


「俺もすげぇ興味あるんだよアンタがアイーシャに渡したトーチがよ!

 ここに置いてあるからさぁ、ちょっと色々教えてくれよ!」


 あぁああぁ……なんて強そうな掴み方。

 ロリータ成分を補給できるのをこっそり期待してたのにあんまりだ。


 あんまりだぁぁ!


「いやぁ、ほんとスゲェよなコレ、回すだけで光るんだもんな!

 これ値段によるけどさぁ、すげぇ売れるぜきっと!」

「ソッスネ。」


 オッサンがカウンターに戻って、カウンターの引き出しに入れてあったらしいLEDランプを取り出して、ニッコニコの顔で掲げている。


「なぁちょっと仕組み教えてくれよ! なんならそれに金を払ってもいいからさ!」

「ソッスネ。」


 グイグイくるな。このオッサン。

 掲げられているLEDランプは綺麗な物だ。


 ちくしょうっ! ちくしょうっ! よくも! よくも大切に使いやがってっ!!


「しかもさ、この回すハンドルも綺麗に収納できるのもスゲー細けぇ仕掛けだよ。いやぁこれはすげぇ!」

「ソッスネ。」


 オッサンが何故か得意げにハンドルを出したり回したり褒めちぎっている。

 テンション上がったのか滅茶苦茶にいじりすぎだ。


 バキョリ


「あ……」

「……ん?」


 オッサンが固まる。

 多分だけど勢い余ってどっか折ったくさい。

 オッサンと見つめ合う。


「ただいまー。」


 タイミングよくドアが開き、アイーシャさんが帰ってくる。


「って、イチさん早いね。ん? どしたの?」


 不思議そうな顔で俺とオッサンを見るアイーシャさん。 


 これはもしかしなくても……オッサンが、なんでも俺の言う事を聞く流れですか?


 まっぴらゴメンなんですが?


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